魔法花その後の話。
「「ただいま」戻りました!」
「「「「「お帰りなさいませ」」」」」
うぐっ!?
ズラリと並ぶお仕着せ軍団には相変わらず慣れない!
「エルバート様は執務室、キャロル様は針子との打ち合わせでございます。すぐに茶話室にご案内致します」
「チャーリーさん、ありがとう」
「とんでもない事でございます」
ふわっと笑うチャーリーさん。
穏やかな笑みに癒されるわぁ。
茶話室でお茶を待ってたら、
「シャルル!お帰りなさい!ジークも!」
「ママ!ただいま戻りました!」
ってか、息子よりも先にわたしを呼んじゃうママってば!
「エルバートも、もうすぐ来るわ。それまでお話ししてましょ!魔法花の後、凄かったのよ〜!」
と、弾丸のように話し始めた。
ん?弾丸?まいっか。
「王妃の雄叫びには笑ったわ〜!ザマをみなさいって感じよね!それに、魔法花が終わってから、ジーク達のお部屋の前は、さながら籠に詰め込まれた小鳥みたいだったわよ!ピーチクパーチク!」
ぎょっ!?ママ!それは口に出してはイケナイ事実!
と、どうやら出待ちをされていたらしい。
リリアとカレラに即されなかったら、その餌食になってたのか!
恐ろしや〜!
「それでね、わたくしが全部蹴散らしたんだけど」
えっ!?
「東西北の公爵家だけはしつこかったのよ。その後何かされなかった?大丈夫?」
はて?
特に何もなかったよね?
「あぁ、メイドに任せてたから、俺達は何も知らんな」
「リリア、カレラ、何か聞いてる?何かあった?」
「.......お知らせすべき事は何もございません」
にっこり
あ、こりゃ何かあったな?
うふふふふ
「それでいいのよ。よくやったわ!リリア、カレラ、メイドを労っておあげなさい」
「ありがとうございます。そのお言葉だけで彼女らも喜ぶと思います」
.......これは深く聞いたらダメなやつ。
何事も無かった!って事にするが吉と出た。
まぁ、無理難題を吹っ掛けて来ても、全てお断りする権利を持ってるからね!
「ジーク、シャルル、お帰り」
「パパ!「ただいま」戻りました!」
「あれ?パパ少し痩せましたか?」
「ん?そうか?毎年魔法花の後はこんなもんだよ」
はははっ
「それより、父さん!あの魔法花は知らせておいて欲しかったよ!」
うむうむ!
「知らせたら城に残らないだろう?あの魔法花で随分とふたりの印象が変わったんだよ」
「そうよ!近衛をコテンパンにしたのだって信ぴょう性が出たから、今度は近衛が叩かれて、今は訓練に次ぐ訓練でてんやわんやよ〜!ダンジョンにも放り込む算段も付けたからね!実際、現役を退いたわたくしにも快勝出来ないし、何なら負けるのよ!?本当に不甲斐ないったら!」
え、それはママに遠慮してるとかでは.......?
「それなんだけど、事実、ハンターの方が強いと感じたよ。平和ボケしてるんじゃないの?これから他国との交易も始まるだろうし、ちょっと危機感持ってもらわないとダメな気がするよ」
「そうね。そうよね!やっぱり元団長と日参して来ようかしら.......」
ぶつぶつ
「.......キャル。せめて3日に1回とか、5日に1回とかにしては貰えないかい?私が寂しいじゃないか」
「あら♡.......じゃあ、あなたが登城する時に一緒になら.......どうかしら?」
「うん、そうだね。それなら」
おぉぉぉ.......イチャコラしとる。
微笑ましい♡
「はいはい!それは好きにして下さいよ!それより、ハンターとの模擬戦とかもあるといいかもしれませんよ?平民をバカにしてる貴族近衛が平民に負けたら意地でも見返そうとするかもだし」
「うーん.......それはクリスに打診してみた方がいいな。御前試合でジークに瞬殺されてから、かなり凹んでたからなぁ」
はははっ!
「まぁあれは俺もムキになったしなー。一応打診だけはしてみるよ」
「うむ、それがいい」
「.......で、本題に入りたい。奴は?」
いよいよか。
ごくり.......
「結論から言うと、テイム調教も婚姻式の襲撃、シャルルを狙った事もラッセルで間違いない」
あぁ.......やっぱり.......。
「城下の賊にも不審死の者がいる。まだここまでしか報告は受けてはいない。後はユージーンが聞き出すだろう。それにしても.......ラッセルの魔法抵抗をものともせず聞き出す事に成功してるのは、何かあるのか?」
おぉっとぉ!!
イカン方向に話が向かってる気がする!
「あぁーまぁそれは追追。とりあえずユージーン兄さんの取調べが全部終わるまでは、全ての詳細は分からないって事だよね。うーん.......どうすっかなー」
「ん?どう、とは?」
「家の様子も気になるから、泊まらずに帰ろうと思って」
「ええぇぇぇぇ!?泊まらないの!?」
「転移出来るから、帰るのも来るのもすぐだよ」
ははははっ!
「そうだけど!そうなんだけどっ!身体に負担とかないの!?」
チラッとジークが見るので、大丈夫、を込めて頷く。
こくん
「うん。大丈夫だよ。呼び出しされても即座に来られるし」
「ジークったら、本当に規格外になってしまったわねぇ.......。とても素晴らしい事なんだけど、我が子ながら驚きの連続よ」
ほぅ.......
ですよねー!わたしもそう思います!
え?自分のこと?もちろん棚上げですよ。
という事で、晩餐まで頂き、ユージーンお兄様を待ったが帰って来ず、デンタツで聞いたら、明日は午後から仕事なので、午前中に分かるだけの詳細を聞ける事になった。
どんな話が飛び出すやら.......。




