フェスタリオス2年目。〜その5 魔法花後1〜
「「「「「お帰りなさいませ」」」」」
「ただいま。あ、いきなりお部屋に戻っちゃったけど、大丈夫かな」
「ん?あぁ、兵士か。うん、まぁ大丈夫だろ」
ジークが言うならまぁいいか。
「「それにしても」あ、揃っちゃった」
くすくすっ
おや、メイドさん達がソワソワもじもじしてる。
「どうしたの?何かあった?」
「いえ!魔法花が素晴らしかったです!」
「おふたりの活躍が空いっぱいに広がって、ハラハラドキドキいたしました!」
「特に9本の首の魔獣の所!もうもう!手に汗握るとは、この事ですね!」
「最後の花びらのシーンも、とても素敵でした!」
「あんなに大変な戦いをされてきたおふたりにお仕え出来る事、心から嬉しく思います!」
うわー、目がキラッキラだよ!
.......この子達の感動を壊したらダメな気がする。
「そうだろうそうだろう?」
ふふふん
えっ!ジーク!?
「あの魔法花を見た貴族が面会依頼を出してきたら、断ってくれよ?フランシア家の者以外には会う事は無いからな。手紙も破棄でいい。頼むぞ?」
「「「「「はい!勿論でございます!」」」」」
「何で自慢気にしたの?」
「あそこで実はこうだったんだ、何て言えないだろ?それに、これで面倒な面会依頼はメイドが撃退してくれる。城滞在ももうすぐ終わるけど、帰る前に魔術師団を労ってから帰ろうと思ってるんだ。そうなると滞在日数も後2〜3日必要だし、その間に.......来そうじゃない?」
確かに。
「うん。でも外を歩きづらくなっちゃったよねー」
はははっ
「飛んじゃえばいいよ。もう餌になる必要ないんだから」
おぉ!なるほどっ!!
「俺も城の中で転移出来るか確かめたいしね」
ふふふっ
「じゃあ行く時は現地集合だね!」
「ん?シャルルと一緒の時はふたりで飛ぶよ?シャルルが転移出来るってバレてもいいの?」
はっ!
「ダメです!」
そうだ、ひとりで忽然と現れたら転移がバレる!
え?ならジークは?
「練習するだけ。シャルルは部屋で待機」
がーん!
って、その間に魔術師団への差し入れでも作ろう。
うん、そうしよう。
◇◇◇
さてさてさ〜て!
って、何かこんなのあったな。
もとい!差し入れ作るよー!
お城で作るから型が必要なものは却下。
持ち運びしにくいのも却下。
……やっぱり焼き菓子かな。
パイの片手ver.?マカロン?クッキー?
クリームを中に詰められるからシュークリームかエクレア?
あ、そもそもシュークリームのレシピが販売されてるか分からんかった。
登録に持って行った後は知らんしな。
うーむむむむむん……。
うん、片手パイなら練りパイで簡単だし、中のフィリングを変えたら種類も出来るからパイにしよう。
フルーツはアプリ(リンゴ)、ピルリア(桃)、リモーネ(レモン)、フィグル(いちじく)。
うむ、これだけあれば良き良き。
カスタードとフルーツでいいよね。
よぉっし!れっつ!くっきんっ!!
「「「お手伝いします!」」」
「あ、じゃあ皮剥きお願いします」
助手が優秀!
剥いたフルーツにお砂糖まぶしてジャムより実の残るコンフィチュールにする。
食感大事!
練りパイはバター織り込まないから比較的簡単だし、冷やすのは魔法がやってくれるしね!
いや、ホントに魔法様々ですよ。
「シャルル様は材料を計らないんですか?」
え?
「鑑定しながらだし……え?みんなは計るの?」
「鑑定したら分量って分かるんですか!?」
お?
「うん。あれ?鑑定使わない?」
「えぇ、わたくし鑑定スキル持っていないので。鑑定いいですねぇ」
えっ!?あああああああ!そうか!皆がみんな持ってる訳じゃないのね!?
そうか、そうだった。
ジークもクリエイトスキルが後から出たじゃないかー!
「ま、まぁ、レシピには分量書いてあるし、計れば同じ様に作れるから」
「はい。その、計るのが面倒で料理するのが億劫なのです。ダメですね」
ふふっ
「わたくしは鑑定スキル持ってはいますが、使っていないのでまったく育ちません」
くすくすっ
ほー……
やっぱり使わないと育たないのか。
誰がどんなスキルを持ってるのかは、自己申告制なのね。
そんなこんなしている内にパイシートが出来上がったので、フルーツと同じ数だけの形を作る。
長方形、三角形、円形、正方形。
これで、どれが入ってるのか分かるからね。
包むのもメイドさん達とやる。
最初は詰め過ぎたりしてたけど、あっという間に上手になった。
器用な人が多いのねー。
じゃなきゃ着付けや髪なんて結えないか。
たははは
最後に溶き卵を塗って、後は焼く!
出来上がりが楽しみ♪
熱々を食べるのも美味しいもんね!
タイミング良くジークも帰ってきた。
「お帰りなさい!どうだった?」
「うむ。問題なさ過ぎた」
ん?
「後で話すよ」
ちゅ
あぁ、メイドさん達も居るしね。
「じゃあ、丁度パイが焼きあがったから、お茶にしよう」
「お!いい香りがしてると思った!楽しみ!」
◇◇◇
メイドさんもパイを分けて休憩してもらった。
魔術師団の分はちゃんと取ってあるよ。
そこで話を聞いた。
「転移、問題なくどこへでも行けたよ。王都の家までも行けちゃってね、結界すら意味無く通れて、びっくりした」
あらま!
「さっきメイドさんとスキルの話をしてたんだけど、使えばスキルは育つって言うから、ジークの転移スキルも育ったのかな?」
「聖域までも飛べたしね。そうなのかなー。そもそも転移スキル持ってる人が少ないから検証も出来ないよね」
ふむ。
「そうだねー。わたし達以外だとパパしか知らないしね」
「だよね。まだまだ謎が多いな」
ほんとにねー!のねのねのね!
※誤字報告ありがとうございます!




