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フェスタリオス2年目。〜その3 魔法花前1〜

 料理長さんが帰った後、みんなでクレープを堪能した。

 もちろん、1番喜んだのはタージェスさんだ。


「かっ!感激でございますぅ!!」


 と、涙を流したのには引いた。

 全員が。

 ま、まぁ、喜んでくれたんだからいい事にしよう。

 そうしよう。


 クレープシュゼットは商業ギルドにレシピを出す事になった。

 暖かいクレープは見た事がないと聞いたからね。

 当然、カレラには「見た事は忘れる」と言う条件がついた。

 まぁレシピを登録するまでは、だけどね。





 ◇◇◇


 そんなこんなでフェスタリオス3日目。


「お持ちしたドレスの中でも、とっておきのドレスにしましょう!」


 と、見せられたのは、キラッキラのシャラシャラのゴージャスなドレスだ。


「え、あの3日間でこのドレスを作ったの!?」


「マダムフロリア渾身の作でございます!」


「あぁ、未発表だったドレス?」


「いいえ?あの3日間で作成した物と聞いております。何でも三徹したとか」


 三徹!?寝てなかったの!?


「昼間は他のドレスに掛かり、夜はこのドレスに魂を捧げたと」


 ひぇ!?

「そんな無茶な!でも凄く綺麗ね。改めてお礼をしなくちゃ」


「奥様も仰っていたように、このドレスは武装ですから」

 にっこり


 何と戦うんだろうか……?

 若干不安が()ぎるわ……。




「魔法花をご覧になるのは、特別席になります。王族とは、隣のブースになる予定です」


 え。まさか、ママとお茶会のマウント取りをしてる王妃殿下も居たりする。とか?

 いやいや!居たとしても、わたしには関わらないよね?

 ブースが隣でも、関係ないよね!?


「……」

 にっこり


「あの、リリア?何か注意事項とかあったり……する?」


「注意事項、でございますか?……いえ、いつも通りで大丈夫でございます。シャルル様の笑顔が1番の武器ですよ」

 にっこり


 武器!?

「そ、そのココロは?」


「雑音が聞こえても笑っていれば大丈夫!」


 ぐっ!とサムズアップするけど!何やら物騒な事が起きそうな予感!!!


「何なら魔法花開始まで、無音結界でご自身を包んでしまえばよいのです!」


 あー……なるほど。

「えっと、王妃殿下は、そんな感じ……?」


「はい」

 にーーーっこり


 目が笑ってないよ……。

 はぁぁぁ……。


「シャルル様、リリアもカレラも傍におります」


「そうなの?魔法花の間、傍に居てくれるの?」


「はい。全方位でシャルル様を、誰より何より、髪の一筋でさえ、美しく魅せる為におりますので」


 ふふふっ

「頼もしい!よろしくお願いします」


「はい、お任せ下さい。それに、シャルル様の特別席の反対はフランシア家のブースなので、奥様もおいでです。残念ながら旦那様は魔法花の為に一緒には鑑賞出来ないようでございます」


「そうなの!?パパは残念だけど……ママが居るのね。良かったぁ……」

 部屋が分かれてても、ママが居るなら心強い!






 ◇◇◇


 魔法花開始まで鐘ひとつ分前。

 立食パーティーの様な場所にて、軽く飲食してからブースに入るそうな。

 既婚者のみ立ち入れる場所。

 未婚者は未婚者同士、別会場で、って事らしい。

 大規模お見合いだね。


 もちろん、そこには王族も居る。

 上位貴族と下位貴族で分かれているので、わたし達の行く場所に集う貴族は伯爵からだそう。

 マジで勘弁して欲しい。


 ジークが、


「ブースに入るのに、そこを通らないとならんから、どうしたって顔を合わせる事になるんだよなー。めんどくせぇ」


 と、ボヤいていた。

 実質、わたしのデビューにもなる。

 ホントにめんどくせぇ。


 どうやらジークは、女の戦いは知らないらしい。

 リリアとカレラにこっそりとレクチャーされていた。

 大声でそんな事を言ってたら、叛意があると思われるからね!


「俺、女性には関わらないようにしてたし、子供の頃は自分に降りかかる厄災を払う事しか考えてなかったからな……」


「え、そんなちっちゃな頃からなの!?」


「子供には子供の社交があってね、魔力が落ち着いた子供からデビュタントがあるんだよ。俺は魔力が多めだったから9歳だったんだけど……あ、ダメだ。トラウマが蘇る」


「あぁ!いいよ無理しなくても!」

 つーか!何があったの!?

 聞きたいけど聞けない!


「まぁ、今はシャルルが居るし、何も出来ない子供でもないしね。シャルルは俺が護るからね」

 ちゅ


「ジークフリード様、控えてください。シャルル様の御髪が乱れます」


 ぶっ!


「んじゃこっち」

 ちゅ


「!!! んっ!」

 唇!


「程々になさいませ」


 はははっ

「精神安定剤」


「もう!」

 メイクは定着魔法で崩れないから紅は取れないけど!

 人前なのにぃ!


「シャルル様が愛らしい……」


 赤くなった顔見ないで!


「当然」


 ジーク勝ち誇った顔しないで!


「はー、めんどくせぇけど仕方ない。行くか」


「はい。リリア、カレラお願いね」


「「畏まりました」」






 ◇◇◇


【王様&王妃】


 ”今回の魔法花は、エイプリルご夫妻がいらっしゃるみたいだ”

 ”だから城に滞在されていたのか”


 ”奥方様が大層お美しいらしいですわよ”

 ”まぁ!……でも……平民でいらっしゃるのよね?”

 くすくす


 ”何でも近衛兵と御前試合をしたとか”

 ”おや、ご覧にならなかった?おかしな位強かったぞ”

 ”噂では忖度したとか……”

 ”いや、それはデマだろ?実際見たら凄かったぞ”

 ”いやいやまさか……はっはっは”

 ”近衛兵、鍛え直されてるんだろ?デマを信じるとはな”





「……随分とパッセルが騒いでおりますけど、どの噂が本物ですの?」


「うん?シャルルが美しいのと、流石SSと言わざるを得ない強さが真実だな」


「……俄には信じられませんけど」


「シャルルに会って、御前試合を実際に見た儂が言うのにか?」


「……まぁここで強さは分かりませんが、美しいかどうかは、もうすぐ分かりますわね」


 ははっ

「さぁ、王妃よ、参ろうか」





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