フェスタリオス2年目。〜その2 クレープ〜
2日目のフェスタリオスは何をしようか?と考えていた時に、タージェスさんから昨日のクレープのお礼を言われた。
が、「お気持ちありがたく……」の、お気持ちって何だろう?
「食べなかったの?もしかして甘い物キライだった?あ!まさか数間違えた!?足りなかったの!?」
「いえ!その……」
「何だ、煮え切らないな。言ってみろ」
「……その、仕事で場を外しておりまして」
「うん?」
「その……、食べられた後でした!」
「「え!?」」
詳しく聞いたら、クレープ貰ったよー、でもあなた居なかったから食べちゃったよー、と言われたそうな。
いつ戻るかも分からないし、ナマモノだし、争奪戦して勝者のお腹に収まった。との事。
なるほど、だから「お気持ち」なのか。
貰っておいて、お礼言わないのも何だし、かと言って、食べてないのになーって事なのね。
タージェスさん、めっちゃ悔しそう。
笑っちゃイケナイ。笑っちゃダメなんだけど……。
ぶふっ!
「あ、失礼」
ぷくくっ!
「そんなに甘い物好きだったか?」
「大好きです!3度のメシよりスイーツがあればそれでいい位好きです!なのにっ!」
「また買ってくるよ」
あははははは!
「いえ、それには及びません!お気持ちだけありがたく頂きます」
「あ、それなら今日はクレープ焼こうかな。結局キッチン使ってなかったし」
ぱぁぁ!
「わかりやすっ!」
あははははは!
となると、生地を寝かせる時間が欲しいので、今から仕込むと、丁度おやつで食べられるよね!
まだ3の鐘過ぎだし。
よし、久しぶりのお菓子作りだな!
◇◇◇
クレープは型とか必要じゃないので、お城で作っても大丈夫。
お城のキッチン、初めて使うけど……。
ぐるりと見回しても、うちのキッチンと同じ位の広さかな?
パン屋仕様のオーブンがない。
まぁ家庭サイズがあれば十分なんだがな。
時停棚もない。
そうか、あれは特別なのか。
材料は、うん、粉2種類、砂糖、卵、牛乳、バターあるし、大丈夫。
わたしは少し強力粉を入れるんだよねー。
破れにくくて、もっちもちになるのだ。
「シャルル様?」
「あ、カレラ。聞いたよー?タージェスのクレープ食べちゃったんだって?」
ぎっくーん!
「な、ナマモノでしたし、戻りの時間も分からなかったので……でも実際に食べたのはわたくしではありませんよ!?」
「そうなの?まぁ今回はお土産のチョイスがマズかったなーと、わたしも反省したよ」
「えぇぇ!?シャルル様は悪くありません!!」
ふふふっ
「食べられなかったタージェスの為に、クレープ焼くから。今度はみんなで一緒に食べようね」
「えっ!?態々タージェスの為にですか!?何と羨ましい!」
あの野郎!
「えっ!」
「何か聞こえましたか?」
にっこり
「あ、いや、うん、みんなの分もあるからね」
「ありがとうございます。お手伝いがあればお申し付け下さいませ」
「うん、その時はお願いね」
ふふふっ
◇◇◇
さてさて、昼餐も終わったし、寝かせておいた生地を焼く時が来ましたよ!
その前に、具だ、中身だ。
生クリームやカスタード、フルーツにチョコソース。
キャラメルソースもいいかも。
チャチャッと用意しておく。
熱したフライパンを、布巾の上にジュッ!と置いて温度を下げる。
バターを薄く、綺麗なちりめん柄になるようにっと。
おたま1杯分を流して、くるりくるりと広げる。
うん、いい感じ!
どんどん焼いては重ねていく。
生地を全部焼いたら、巻くんだけど……。
これ、手巻き寿司方式にして、好きなのを包んでもらおう。
はっ!唐突にクレープシュゼットが食べたい!
お酒あるかな?
「カレラ、お酒って何がある?」
「はい、一通り揃えてはおりますが、シャルル様がお飲みになるのですか?」
「違う違う!クレープに使いたいの!コアントローとかグランマルニエとかってあるかなーと思って。ミラン(オレンジ)由来のお酒なの」
「でしたら、ミランジュリエは如何でしょうか?」
あ、名前が違うのね。
出されたお酒をくんかくんか嗅いでみる。
うん、これはグランマルニエじゃないかな?
樽っぽい香りがする。
よし、これで行こう!
「これにする。ありがとう!」
「いいえ、いつでもお呼びください」
クレープシュゼット用にオレンジを絞る。
身体強化便利よね!
バターとオレンジ果汁、お砂糖で煮詰める。
とろりとしたら、折り畳んだクレープを入れて、ちょっと煮込んでお皿に盛っておく。
ミランジュリエを垂らして火を点ける。
「えっ!?シャルル様!?」
ぽわっ!と青い炎が上がり、アルコールを飛ばす。
ふふふっ
「大丈夫。これでアルコールを飛ばして、香りだけにするのよ」
「芳醇な香りがします!」
「ね!美味しそう!味見しよう!カレラもどうぞ」
ぱくっと1口。
ふわぁぁ!美味しい!
オレンジの香りとクレープのもっちもち!
夏だけど暖かいスイーツもアリだな!
「えっ!カレラ!?」
ぷるぷると、それはそれは産まれたての小鹿のようにぷるぷると震えてる!
「え、何かアレルギー!?大丈夫!?」
「お」
「お?」
「美味しすぎて!震えました!」
ぶはっ!
「びっくりした!」
「申し訳ないことでございますぅ!しかし!これは美味しすぎです!天にも登る心地……」
うっとり……
ふふふっ
「じゃあ、これも人数分作ろうね。クレープは好きな具材を好きに包んで食べるようにしましょう!みんなで座るのよ?」
「メイドも、ですか?」
「そうよ?お願い、わたしの我儘聞いて?」
ふぅ
「本来であれば許される事ではありませんが、シャルル様のお願いであれば……」
「うん!お城に居る間の、ほんの一時だけだから。ね?」
その後、メイド達とワイワイキャッキャウフフしながらテーブルセッティングして、クレープ祭りを開催!
メイド7人、使用人タージェス、ジークとわたし。
総勢10人で、
「「「「「いただきまーす!」」」」」
カランコロン〜♪
おや?誰だろ?
タージェスのクレープを勝ち取ったのは、メイドAです。
そのうち名前で呼ぶ事があるかもですね。
まぁ出るとしても番外編……だと思います。
へへっ




