フェスタリオス2年目。〜その1 城下〜
その後、他にも陣の刻まれたメイドさんは居るのかと調査をしたが、見つからなかった。
実質、4人もの人に陣を刻むのは離れ業だったと言う。
まぁ、全員をいっぺんに動かさなければ、消費魔力も抑えられるのは分かったが、それにしてもリスクは大きかったはず。
わたし達が城に滞在する理由はなくなったんだけど、フェスタリオスの魔法花を、どーーーしても!特等席で見て欲しい!と、パパもユージーンお兄様も言うので、魔法花が終わるまでは、と、滞在を続けている。
とは言え……部屋から出ると好奇の目で見られるし、話し掛けたそうに、手をわきわきさせているのを見ると、ちょっと早足になって、なるべく遠ざかる様にしたりするのも疲れてきた。
今日からフェスタリオスなんだけど楽しめない。
げんなり……。
「シャルル、城に居る事にして城下に行かないか?」
ぱっ!
「いいの!?」
「何かもー疲れてきた。家でゆっくりしたい。それに、屋台メシ、食いたくない?」
「食べたい!行きたい!帰りたい!」
ぶはっ!
「だよな!なら、ここは使用人に任せて、昼間は帰ろうぜー。何かあったらデンタツで知らせて来るだろ。そしたら転移で戻ればいいじゃん?」
こくこくこくこくこくこく!
首がもげそうな程頷くよ!!
やったああああああああ!!
リリアとカレラに不在にする事を伝え、お昼ごはんも晩ごはんも必要ないと告げた。
「晩餐も、ですか?」
「そうなの、ちょっと城下に行こうと思っ「ぇっ!?」て」
「あぁ、俺の転移で行くから、車とかは必要ないよ。何かあればデンタツくれたら、言葉通り飛んで来るから大丈夫」
「なるほど!畏まりました。では、お留守の間はお任せ下さい」
「ありがとう!お土産買ってくるね!……リリアとカレラって、城下の食べ物は大丈夫?タージェスも大丈夫かな?」
「はい。しかし、わたくし共の事はお気になさらず、楽しんで下さいませ」
にこっ
よぉぉっし!お祭りだーー!
◇◇◇
転移で家に戻った途端に、ジークはお風呂にお湯を溜め始めた。
「やっぱ、誰の目も気にせずに一緒に入りたい!アレコレ出来なかったし!」
アレコレってなんですか!?
って、アレコレなんですね!?
そして、お湯が溜まる前に溜まってたジークに食われた。
ぺろっと。
何が溜まってた?なんて聞いたらイケナイ。
まぁわたしも、その、なんだ、うん、頑張った。
「もっと、ぎゅってして?」
「あぁもうシャルルが可愛すぎるっ」
ぎゅぅぅっ ちゅちゅちゅっ
「くすぐったいっ!」
あはははは!
なんつって。
まぁ後から思うと、とんだバカップルなんだが、誰も見てない聞いてない。
だってほら、お城だと影さんとか、ねぇ?
見ないとは言ってたけど、ねぇ?
やっぱり落ち着いてごにょごにょなのは、お家なのですよ!
ふたりでお風呂に入って、ごにょごにょ。
あがってからも、ごにょごにょ。
だって新婚だしっ!!
わたしにだって、アレコレあるんですっ!!
◇◇◇
とっぷり日も暮れて、3区の夜の屋台巡り。
えぇ、ふたり共にツヤツヤっすよ。
はははん。
「あっ!串焼き買おう!えっ!?ジャム入りおにぎり!?……攻めてるなぁ……」
「ジャム……ま、まぁおやつだと思えばアリ?」
「俺はパス。俺の中のおにぎりはメシだからなー」
コソコソと話しながら屋台の選定。
ちょっと蒸し暑い夏のお祭りは、夜だと大分過ごしやすい。
とは言え、暑いは暑いので、定番の泡ジュースを買う。
売り子さんは、いつものお兄さんじゃなかった。
シュワシュワのサイダーは、夏にピッタリだ。
……そいやービールとかはあるのかな?
まだ飲めないけど。
「んまっ!!!!」
ん?
「シャルルちゃぁぁぁぁぁん!!」
スカッ!
えっ!
がばちょ!!
「ちょ!ダメっすよ!」
「久しぶりに会ったのよ!ちょっと位いいじゃない!!」
ジークに抱き込まれ、ジリジリと間合いを詰めるゴードンさんとの睨み合い。
何これ!
「ゴードンさん!お久しぶりです!」
ひょこっ
「シャルルちゃん!相変わらず可愛いわぁぁ!ささ!こっちへいらっしゃい!!」
と、両手を広げているが……
「ゴードンさん、目が怖いよ!?」
ギラギラしてるよ!!
「あらやだ!隠し切れない欲望がっ!」
「おいっ!!」
ぶはっ!
「とりあえずそのままステイ!!」
ちっ
「まぁいいわ!でも本当に久しぶりね!」
ぶふっ舌打ちしたよ!
「はい、お元気でしたか?」
「元気よぉ!ジークも元気そうね?ふたり共、何だかツヤツヤよ?」
「若さですね!」
「んまっ!ジークったら生意気っ!今年は魔法花一緒に見られないのぉ?」
「あー、実は城に呼ばれてて……」
「あらまぁ。まぁ今年は特別だものねぇ。じゃあ来年はまたパーティーしましょうね!っと、アタシ仕事中だったわ!近々お茶でもしましょう!じゃあねー!」
ふりふり
「「はーい」お仕事頑張って下さいね!」
「嵐のように現れて嵐のように去って行く……」
「あの勢いがなくなったら、ゴードンさんじゃなくなっちゃうよ」
「確かに」
あはははははは!
屋台でお腹いっぱいになったので、メイドさん達にクレープのお土産を買って城に戻った。
◇◇◇
「ただいま!お土産クレープにしたの。みんなで分けてね!」
「まぁ!ありがとうございます!」
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「タージェス居ないよね。きっと要らないよね?」
ギラリ……
その後、タージェスが食べられなかった、たったひとつのクレープは、リリアカレラ含むメイド7人での争奪戦が激戦だったと言う事は知られていない。
……タージェスを除いて。
「お土産にクレープ頂いたの!あなた居なかったから、ね?」
「俺のクレープ……誰が食った!」
さて、リリアかカレラかメイドABCDEか!勝者は如何に!?
待て次話!(誰も待ってない。




