メイドと使用人、解放。〜その2〜
「シャルル様、お持ち致しました」
「ありがとう」
自作のヒットポーションを少し垂らす。
心身が疲弊してるなら、身体の方だけはマシになるかも。
使用人さんにお茶を渡して、
「さぁ、ゆっくりでいいから、このお茶を飲んで」
手にカップを持たせ、飲むのを待つ間にジャスミンの花を飾る。
「この花は?」
「リラックス効果があるの」
「シャルルの香水に少し似てる」
ふふっ
「そうね、わたしの好きな香りでもあるわ」
「なるほど!何処かで感じた香りだと思ってました!シャルル様のお屋敷ですね!」
え?あぁそうか、リリアは挙式の時に家に来ていたもんね。
そうこうしているうちに、お茶を飲み終わったようだ。
「では、横になって目を閉じていてね」
ベッドに寝かせて、左右にタージェスさんとジーク。
前回のメイドさんは意識がない状態だったけど、この人は起きてる。
大丈夫かな……寝かせてからの方が良かったかな……。
今更だけど!
”リベレイト”!
淡く光り、文字が浮かび上がる。
文字がパラパラと解けて、光も消えた。
「あ……」
「大丈夫?」
「ああああああああああああああああ!!!!」
「タージェス押さえろ!!」
「はいっ!!」
ガバッ!と起き上がりそうになった使用人さんを、両側から押さえる!
びびったーー!びっくらこいた!
「大丈夫!もう大丈夫!陣は消えたから!暴れないで!」
声!届いて!聞こえているはず!!
「あああ……あり、がと、ございま……」
っく……ふっ……
「もう大丈夫。痛いところはない?」
「……はい、大丈夫、です」
お?落ち着くのが早いな。
「そう。なら少し休んでね」
タージェスさんとメイドさんに、頼むわ、と部屋を出た。
ふぇ〜……。
よし!あと2人!
◇◇◇
被害者のメイドさんふたりは、一室にしてもらった。
前回の事があるので、錯乱するだろうから、眠りの香で一旦寝かせる。
寝たら、今度はジャスミンの花を飾って、沈静効果促進!
そして、寝ている間に陣の解放をする。
……この2人の陣も、前のメイドさんと同じ所だ。
あんのエロジジイ!!!見た目はユージーンお兄様と同じ位に見えるが、ジジイ認定だ!!
眠らせていたので押える必要はないし、ジークは外で待機。
流石にうら若い(はず)お嬢さんのおしりを見せるのは、ちょっと……。
被害者メイドさんが起きて錯乱しても、フランシアのメイドさんが居れば押さえられるだろう。
強いし。ふへっ
◇◇◇
「シャルル様、お疲れでしょうから、お休み下さい」
「ありがとう、大丈夫よ。あ、ジークも味見する?ジャスミンティー」
「あぁ、飲んでみたかった。味見するするー」
「では、お持ち致しますので、お待ちください」
あ、わたしが、と思ったのに……。
まぁ任せるか。
お世話されるのって、慣れないわぁぁぁ!
はははっ!
「手がわきわきしてるよ!」
「全然慣れなくて……」
えへへっ
「シャルルは今まで全部自分でやってたからなー。俺は15まで、これが当たり前だったから、慣れてると言えば慣れてるんだろうけど、ハンター生活が長かったから、ちょっと戸惑いがある位だな。お世話されるのもたまにだから、これを楽しんだらいいよ」
「ずっとじゃないしね、うん、楽しむ!」
「お待たせ致しました」
「ありがとう。ジーク飲んでみて」
「いい香り。うん、美味い」
「でしょ?」
ふふふっ
◇◇◇
コンコンコン
「ジークフリード様、シャルル様、使用人がご挨拶をしたいとの申し出がございましたが、如何致しましょう」
「「え?」回復したのか?」
「まだ完全ではないようですが、大丈夫と思われます」
「そうか。では入れ」
「……失礼致します」
あ、来てたのね。
と、見たら見事なスライディング土下座を披露した。
ぎょへ!?
「ジークフリード様、シャルル様、この度は助けて頂き、誠にありがとうございました!感謝してもしきれません!また、お手数をお掛け致しまして、大変申し訳ない事でございます!どのような罰でもお受け致します!」
「助けたのはシャルルだ、罰に関しては何の事だか分からんな。まぁ回復して良かった。で、辛いとは思うが、どうして陣を受け入れたのか聞かねばならん。自ら受け入れたと言うのであれば、それこそ罰を与えるが?」
「いいえ!自ら受け入れたのではありません!呼び出され、何かを飲まされ、気がついたら、ここに居ました……」
「間の記憶はあるのか?」
「霞の中に居るような感じではありますが……」
「……今ここで聞いても、事情聴取でまた聞かれるよなぁ。うーん……、とりあえずフェスタリオスが終わらねば捜査は進まんから、それまで休むといい」
「お心遣い、誠にありがとうございます。ですが、ただ休むより働かせて頂く事は可能でしょうか」
「いや、それは無理だ。間者ではないと断言出来ないから、監視の上、部屋で待機を命ずる」
「……畏まりました。ありがとうございました。御前失礼致します」
「話しは聞かなくてよかったの?」
「きっとまだ、しっかりと回復してる訳じゃないだろうしね。事情聴取でも聞かれるだろうから、今は休んでおいた方がいいだろう」
「うん、そうだね」
「メイド達も回復したら、フェスタリオス終わるまでここにってのも無理があるし、一応医師の診断も必要だからなー。どこかに部屋を用意するか」
なるほど。
確かにここは第4扉の中で、医者に診せるとしても、居るはずのない人が滞在してるのも変だしね。
まだ問題は山積み!ぷしゅぅ。
19:00より閑話があります。




