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餌巻き作戦。〜その16 追い詰める〜

 明日、必ず捕まえて全て吐かせるから、気配探知は消して今は寝よう。

 そう言われたけど、今までしっぽの先っちょしか見えて居なかった犯人の、しっぽの根元位まで見えたんだ。


 ……逃したくない。


 ってー事で、ジークの言い分をちょっとだけ無視して、気配探知は消さずに居る。

 ごめんね、ジーク。

 わたしの身体が心配だから言ってくれてるの、分かってるよ。

 チカチカ気になるけど、あと少しの間だから無茶させてね。


 あぁ、気になって眠れないかm……


 すぴー






 ◇◇◇


 ”ジークフリード様”


 ぴくっ

「何事だ」


 ”不審なメイドが第4扉の影で彷徨いています”


「泳がせろ。目を離すな」


 ”御意”



「ん……」


 とんとん とんとん

 すぴー……



 昼間の手合わせで疲れてたんだろうな……。

 不審なメイドって、もしかするとまたテイム調教されて居るかもしれない。

 殺されるのを防ぐには、一瞬で意識を刈り取らないとダメだ。

 それに、第4扉へは信頼性の高い者しか入れないので彷徨いてたんだろう。

 ……近衛兵に捕まれば最悪、前回のメイドみたいになるか?

 それはマズイ!


 ピュィ!

「不審なメイドの意識を刈り取れ。その後俺が出る」


 ”コン”


 そーっとそーっと……あ、寝衣掴まれてる!

 くぅ〜!可愛いっ!!って、そうじゃなく!

 指を外して、そーっと……って、今度は反対の手!

 ああああ!可愛い可愛い可愛いが氾濫してる!!

 意識刈り取っても放置じゃ意味が無い!

 どうしよどうしよ可愛いどうしよ。

 抱きしめちゃお。

 きゅっ


「んふぅ」


 ぬあああ!笑った!可愛い可愛い可愛い可愛い!!

 って!ちっがーーーーう!!

 よし、心を鬼にして手を外すぞ、よし。

 そーっとそーっと……


「ん……じーく?」


 失敗っ!!!

「起こしちゃったね、ごめん」


「ううん、だいじょぶ。どしたの?」


 隠せないな。

「第4扉の辺りで不審なメイドが居るって報告を受けた。もしかすると、またテイム調教ならヤバいので、意識を刈り取るように指示した所だよ」


 がばっ!!!

「行かないと!!」


「うん、まずは着替えて。あ、普段着でいいよ」


「分かった!」

 すたたたたたたたた!




「シャルル様?」


「カレラ!不審なメイドが居たんだって!ちょっと行ってくる!」


「えっ!?おひとりでですか!?」


「まさか!ジークとだよ!すぐそこだから、待っててね!」


「いえ!わたくしもお連れ下さい!リリア!」


「了解ですぅー」


「……リリア寝てたんじゃないの?」


「お気になさらず」

 にこっ






 ◇◇◇


 ビシッ!と敬礼の扉を守る近衛兵さん。

 何事か!?と顔に書いてあるけど態度には出さず。

 お疲れ様です。


「メイド人形が届く筈なんだが、見てないか?」


「いえ、見ておりません」


 とたとたとた

「おぉ!ジークフリード様!お待たせ致しました!」


 ぎょ!?×3(内訳 兵×2 シャルル)


「やぁ、待ってたよ。その子かい?」


「えぇ!どうぞお持ち下さい!」


「カレラ」


 すっと前に出てメイド人形(?)を担ぐ。


「あの、ジークフリード様……?」


「ん?」


「それ、は……?」


「ユージーンが作ったカラクリだよ」


「「なんと!」凄いですね!」


「でもまだ実験段階なんだ。ここで見た事は口外法度だよ?」


「「御意!」」






 ◇◇◇


「凄い言い訳だったね!」


「ユージーン兄さんだから通じる苦肉の策だな。時間が無い、陣を探せ。俺は出てる」


「わたしは残る!」


 メイドさん、ごめんね!

 服を脱がし、カレラと陣を探す。


「「あった!!!」やっぱりテイム調教!!」


 おしりのえくぼの上だよ!?

 こんなの……こんなの、どんな状況で刻まれたのか!

 識庫さん!陣を消したいの!出来る?

 ※リベレイトで解放可能です。


「解放するね」

 ”リベレイト”


 ふわっと光を放ち陣が浮き上がり、文字がバラバラになって消えていく。


「凄い……シャルル様、凄いです……」


「この子……きっと酷い事、されてる」

 ずびっ


「……はい。出ましょう」


 メイドさんに服を着せて寝かせる。

 暫く起きないように、眠りの香を焚いておいた。




「……どうだった?」


「……やっぱり、陣が、あったの。解放しっ」

 うっく……


「シャルル」

 ぎゅっ


「酷いよ!何で!関係ない人も巻き込むの!!」

 っく、ふっ……ぐずぐず……


「カレラ、どこにあった?」


「その、臀部の上、です」


 ギリッ!

「……今は?」


「眠りの香で、暫くは目覚めません」


「そうか。実は容疑者に影を付けてある。今日で終わらせる」


「御意。あの子はお任せ下さい」


「あぁ、頼んだ。そろそろ1の鐘、か?」


「えぇ、城全体も動き出しますね」


「考えたくはないが、もしかすると、他にも居るかもしれない。城に入った協力者にも伝えよ。不審な動きをしていても、泳がせて問い詰めるな。但し、決して目を離すんじゃない。いいな」


「御意」


「シャルル」


 ぐすっ

「うん、大丈夫。……絶対許さない。今日決着を付けてやる」


「急いで追い詰めると何をするか分からない。だから、ゆっくり、確実に、だよ」


 すーーはーー……

「分かった。焦らない。ジーク、テイム調教された子の生奪はどうやってするの?容疑者拘束した段階で殺されたりしない?」


「媒体と連動しているから、その媒体に魔力を流させなければ大丈夫。一般的には魔石だな。なので、魔力を封じる必要はあるな……」


 魔力封じ……

 識庫さん、わたしが他人の魔力を封じる事は出来る?

 ※魔力封じには陣が必要です。陣を刻んだ魔道具を作る必要性があります。


 結界じゃダメなのか……。


「魔力封じって、魔道具だよね?どんな形の物?」


「普通は手錠だな。素肌じゃないと意味が無い」


「それじゃダメだ。バレる前に装着(つけ)たい」


 チリン

 ”デンタツ”

『ジークフリード様、対象の身元判明しました!』





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