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餌巻き作戦。〜その15 手合わせ当日〜

 お風呂から出たら、タージェスさんが居た。


「あれ?」


「奥様、お久しぶりでございます」


「あ、はい。お久しぶりです。どうしました?」


「俺磨き。だってさ」


「はい。ジークフリード様を磨きに参りました」


「へ?」


「さ、ジークフリード様、参りますよ!」


「別にいいのに……」

 ぶつぶつ



「え、何事?」


「何年か振りにジークフリード様もピカピカになるのです」


「あ、エステするのね?」


「? はい、さようでございます」


「あ、エステはコンディションチェックよ」

 くすくすっ


「! なるほど!シャルル様は聡明でいらっしゃいます!」


 いや、前世の記憶パズルのピースがあったからです。


「さ、お茶をどうぞ」



 と、ジークがピカピカになって出てくるまで、のーんびり過ごし、夜ごはんは作るつもりだったのに、また料理長さんが、どうしても持って行け!との事で、豪華な晩ごはんになった。

 何でそんなに食べさせたいんだろ?

 美味しいからいいけどさ。







 ◇◇◇


 そして、手合わせ当日。

 午前中に、男性用と女性用の騎士服が届いた。


「んまああああああ!シャルル様!とても良くお似合いです!!」


「す、すみません、シャルル様……わたくし鼻血が出そうです」


 いやぁこれは男装令嬢だな。

「せめて身長がもう少し高かったら、もっと似合ってたと思うのに……」


「「いいえ!!」今でもたいそうお似合いですっ!」


「お!シャルルカッコイイな!よく似合ってる!って、デザインは近衛兵のものだけど、色違いだな」


「ジークもカッコイイ!!って、そうなの?」


「近衛兵は白が基調なんだよ。それは赤だろ?俺のは黒だしなー」


 あぁ確かに。

 パンツは白だけど、コートは赤だ。


「ブーツ、同じ黒だから自分のでもいいかな」


「履きなれた靴でいいよ。何なら服も狩り服で良かったのに」


「昨日、服持ってないって言っちゃったから送ってくれたんだと思う。てゆか、これ動きづらいなぁ。上着は脱いでもいいのかな」


 片足を上にあげて180°開脚。うん、パンツは問題ない。


「シャルル様、お身体柔らかいんですのね!凄いです!」


「柔軟には自信あるの」

 ふふふっ


「あぁコートは防御魔法が掛かってるはずだから脱がない方がいいかも。って、必要ないよな」

 はははっ


「当たらなければどうということはない!」

 って、何だったっけ?まぁいい。


 軽めのお昼ごはんを食べて、いざ出陣!

 また作れなかったけど……。





 ◇◇◇


 はぁん♡ジークほんとにカッコイイ!

 並んで歩いてると、みんなジークを見てるよ!

 分かるよ、カッコイイもんね!

 ジークは黒が基調の騎士服、やべぇ鼻血出る。


『みんなシャルルを見てるな』


『えっ!?ジークを見てるんだよ!だって本当にカッコイイんだもん!』


 ぶっ!

『益々無様な結果にならないようにしないと!やべぇ緊張するよ!』


『わたしも緊張して来た!こんな服まで用意されるとは思ってなかったよ』


『俺もー。単なる手合わせなのにな』


『ねー』



 と、まぁまさか手合わせの噂が広がってたなんて事はつゆ知らず……。






 わああああああああ!!!

 ”来たぞ!!””カッコイイ!!””やっちまえ!”



「ちょ、これ……」


「……」


「ジークフリード様!シャルル様!ようこそおいでくださいました!」


 コソコソ

「ちょっと兄さん!!何なのこれ!!」


「いやぁ……手合わせするヤツを募っただけで、こんな風になるとは思ってなくてな」

 はははっ


 闘技場には、溢れんばかりの人人人!!

 立ち見まで居るよ!


「しかもな、ほら」


 と、指し示す方を見ると、まさかの王様。

 呑気に手をふりふり。


「御前試合になっちゃった」

 えへ


「えへ、じゃねぇ!!」


 わたしはぽかーんのまま再起動出来ずにいる。

 え、ここで手合わせやるの?

 もう一度王様を見上げたら、隣のブースに見慣れた人が……。


「ママ!?」

 と、パパ!


「えっ!?」


「そうなの、母さん来てるの。ブース確保したの」

 はは、ははは……。


 ママもパパも手をふりふり……。

 何でこんなに大事にっ!!!


「あ、あー、シャルル騎士服良く似合うな!特別製なんだよ!」


 ぎょっ!?特別製!?


「ジークのも特別製!」


「……ねぇ兄さん?いつこうなるって分かったの?」


「……ぇ、昨日の6の鐘、くらい、かな」


「何で教えてくれなかったのさ!」


「教えたら来なくなるかもしれないじゃんっ!!」


 あ、確かに。こんなんなら来なかったわ。

 ご免状あるし。

 来ちゃったから、流石にこの歓声の中帰る訳には……。


 はぁぁぁぁ……

「シャルル、目立ってナンボとか言って悪かった。これじゃ目立ちすぎだよな」


「まぁ、仕方ないよ。流石にこのまま踵を返して帰るなんて真似したら心象悪いもの。やるだけやろ!」


 なでなで

「ごめんな、ありがとう」


 ひゅーひゅー!きゃあああああ!

 ”お熱いー!””流石新婚!””もっとやれ!”


 歓声が囃し立てに!!もうっ!!あなた達貴族でしょ!?


「あーもー!兄さん!さっさと始めてさっさと終わろう!」


「よし。サルマン!開始せよ!」


「はっ!」




 拡声魔法で、


「これより!ジークフリード・エイプリル様!シャルル・エイプリル様による!宮廷近衛騎士団有志との!御前試合を!開催致します!!」


 ぇー、手合わせですらなくなってるよ。


「ジークフリード様に!相対する有志は3名!シャルル様に!相対する有志も3名!前へ!」


『え、ジーク!3人とか聞いてないよね!?』


『……これは後で兄さんを〆るしかないな……ふふふ』


 クリスティアンお兄様……。

 ちーん……。






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