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餌巻き作戦。〜その1〜

「クリスティアン!!」


「はいっ!」


「何故シャルルに伝えたの!シャルルの性格を鑑みればケンカ売られたって思うのは分かるでしょ!?売られた喧嘩は買うって言っちゃう子なのよ!?それに!伝えるにしても言い方ってものがあるでしょう!」


「いや!あの!注意してって!事で……伝えたんです……」


「言い訳は結構!1度口から出た言葉は消せないのよ!あぁシャルル、可哀想に……。聞けば殺気まで浴びたそうじゃない。それなのに!メイドの悲惨な死まで聞かされて!自分のせいだと思ってたらどうするの!!」


「そんな!シャルルのせいじゃないよ!」


「黙らっしゃい!そんなのは分かってるわよ!」


 くどくどくどくどくどくど……

 お説教は鐘ひとつ分続けられ、まだ続きそうだったので、仕事から戻ってきた父上が止めてくれた。


 シャルル、ごめんな。

 お兄様失格だよね……。とほほ。






 ◇◇◇


 ふ、と目を開けたらジークが見てた。

 あれ?


「おはよ。って、もう夜だけど」

 くすくすっ


「え?」

 あぁ、気を失っちゃったのか。

 失態だ。


「お茶淹れようか。カフェルでいい?」


「ジーク……」

 きゅぅっ


「ん?もう少し寝る?よしよし、俺が居るからね」


 抱き込まれ、背中をトントン。

 あぁまた涙が出ちゃう。

 こんな事じゃダメなのに。


「ねぇ、シャルル?俺思ったんだけど、シャルルが餌になるってヤツ、やってみようか」


 がばっ!

「えっ!?」


「その代わり、絶対にひとりにならないと約束してくれないと、その作戦はやらない」


「約束する!」


 はははっ

「そんなにすぐ返事していいの?」


「だっていつも一緒じゃない。出来る!」


「トイレもだよ?」


 はぇ?


「作戦の場所は城だ。今は社交シーズンで多くの貴族が城に居る。受賞式の野次馬も多かったろ?フェスタリオスも近いし、やるなら今かなって思ったんだ」


「それとトイレとの関係は!?」


「トイレって、唯一絶対の個室だろ?そこを狙われたら、ひとたまりもない。だから、トイレも一緒」


 うぇ!?

「あっ!ならトイレは家に転移で戻ればいいよね?ね?ね?」


「あぁそうか、うん、それなら大丈夫だね。飛ぶのも一緒にね?」


 うんうんうんうん!

 焦ったっ!!


「それと、常にデンタツは繋いでおいて念話モードにする事。あと、コレが厄介なんだけど……」


 ごくり……

「なに?」


「城を彷徨くと、貴族達が群がってくる」


 ああああーーね!そーね!確かにね!

「厄介過ぎるぅ……」


「だけど!俺達には?」


「ん?」


「一諾千金のご免状がある」


「おぉぉぉぉ!!」

 パチパチパチ!


「しかーし!」


「まだあるの!?」


「あるよー?恐らくシャルルにとって一番面倒な事」


「な、何でしょう……」

 ごくり……


「貴族マナー」


 うげっ!!


「シャルルは顔に出るからなー。立ち居振る舞いは、はったりかましておけばどうにでもなると思うけど、咄嗟の時の対処が大事なんだ」


「咄嗟とは!?」


「残念な事に平民を下に見るヤツは居る。選民意識が少ない貴族の方が少ないと言える。なので、嫌味を言う奴も居るだろう。それを笑顔で対処しないと、益々奴等の思うツボだ。俺の奥さんでも、そんな風に扱うヤツは居ると思う。……俺は、そんな所にシャルルを連れて行きたくはない。ないんだが、シャルルを餌にするなら、城じゃないと意味が無い。……どうする?」


 あぁ、わたしのメンタルが持つかどうか、なのねー。

 幸い、今まで過ごして来た中で、嫌味を言う貴族に会った事が……って、あったわ。

 嫌味というか、下に見られて、理不尽にポーション納品しろって言いかけられたわね。

 ううん、今はあの時とは違う。

 SSランクのジークの妻だもの。

 わたしがヘマしたら、ジークに泥を塗る!

 見てろよ犯人!絶対に貴様は地獄に送る!


「やる!マナーはママにレクチャーしてもらう!」


 ふぅ……

「言い出しっぺは俺なんだけど、気が進まないのも俺だなぁ……」


「これ以上の犠牲は出したくない。わたしに出来る事なら、わたしは頑張る!だからお願い!やらせて!」


「分かった。なら、下準備として宰相に会う。城での行動の許可は必要だからね」


「はい!あ、でも先にママに会う!はったりだろうが付け焼き刃だろうが、マナーは必要だもんね!」


「一応、明日か明後日には行くって言ってあるから」


「うん、その時ママにお願いする」


 ちゅ

「じゃあ、今は眠る?ちょっとでも何かお腹に入れておく?」


「……お腹は空いてない、けど、お茶は飲みたい」


「よし」


「ぉわっ!」

 急に抱っこはびっくりするよ!


「お連れしますね、お姫さま」


 ふふっ

「お願いしますね、王子さま?」


 くすくすっ







 ◇◇◇


 翌日。


「シャルル!!」

 がばちょ!


「ぐぇ」


「母さん!加減してよ!」


 時間短縮の為に、フランシア家玄関前に転移でお邪魔。

 通常はしませんよ?つーか、出来ません。

 結界あるからね。

 そりゃみんなが出来たら、結界の意味ないし。

 まぁ、わたしは出来るけど。


「ジーク!転移で来るなら転移でって言っておきなさい!門番も大慌てじゃない!」


「ごめんなさい!」


「シャルルのせいじゃないわ、全部ジークが悪いのよ!」


 いや実際飛んだのはわたしだ。

 つーか、デンタツしておかなかったわたしも悪い!


「申し訳ない。失念しておりました」


「……まぁいいわ。シャルル、大丈夫?さぁ入りましょう」


 そう言って、わたしの手を引き家に入るが、ジークが置き去りだ。

 ママったら。


 ふふふっ





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