表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

305/386

Sランク授賞式。〜その2 殺気〜

「お時間でございます。ホールにご案内致します」


「行こうか」


「はい」



 控え室を出て、式が行われるホールへ向かう。

 またもやサンドイッチ状態。

 いや、それ所か、お付の人が増えてますけど!?


「あー、多すぎじゃね?」


「いえ、少ない位でございます」


「マジか。慣れねぇなぁ」

 ははっ


 そっか、ジークでも慣れてないんだ。

 それならわたしが慣れてなくても当然だよね!

 って、開き直り前を向く。

 なるようになれ〜!




「ジークフリード・エイプリル様ご夫妻、ご到着!入室致します!」


 ホールの扉が開いて左右に人がいっぱい居る。

 あぁそうだ、国王謁見の時にも味わったよねぇこれ。

 違うのは、ホールの大きさと、入る時にカーテシーをしないって事と、まさかの正面にある椅子に座ると言う事!

 わたしの笑顔にピシピシとヒビが入るよ!


「シャルル、パピ」

 コソコソ


 あっ、そうだった。

「うん、大丈夫」



 真ん中を突っ切って、2つ並んだ豪奢な椅子に座る。

 とりあえず、立つ時も座る時も、ジークがエスコートしてくれるので、笑顔を貼り付けておけばいいと。ふむ。

 地味に辛い。

 ホールの扉はオープンのままだ。

 なるほど、これなら野次馬も見放題よねー。


 あの人が宰相さんかな?笑顔だけど、目が笑ってなくて、ちょっと怖い。

 あ!ラシードさんとゴードンさんだ!こっち見た!

 お久しぶり!の気持ちを込めて笑みを深くする。

 軽く会釈を返してくれた!

 ケビンさんも居るねー。

 現Sランカーのお2人も来てる。

 あれ?ロイさんて、夏は引きこもりの人じゃなかったっけ?

 引っ張りだされたのね。ふふっ



「これより、Sランク受賞式を開催致します!新Sランカー、アレクサンド・ジャクソン!ガストン・メイウェザー!前へ!」


「「はっ!」」


 脇の列から出て来た2人。

 アレクさん、おめでとう!

 って、ガストンさんてポーションの人だ!

 初めてギルドに行った時、声掛けてくれた人!

 この人だったのかー!


 ラシードさんが、Sランク用のドッグタグを首に掛けるんだって。

 持ってるのはゴードンさん。

 金メダルみたい。

 ん?



 ジークがお祝いの言葉を述べ、ラシードさんのSランクの心構えのようなお話が続き、宰相さんが国の為になんちゃらかんちゃら……。



 その時だった。

 びくっ!

 鋭い殺気。

 鳥肌が立つ程だ。


 どこから?


 あぁダメだ、まだ式典の最中。

 険しい顔をしたら、折角のお祝いを壊してしまう。

 笑え!わたし!こんな殺気に負けるもんか!

 来るなら来い!直接相手をしてやる!

 コソコソ隠れるな!


 ジークは気づいていない。

 ピンポイントで殺意を向ける程わたしが憎いのね。

 ”気配探知”30m!

 おー、見事に赤いわ。

 誰だ?人が多くて特定出来ない。

 ”身体強化”で視力アップ!

 あの辺り……何だけど、人垣で分からんな。


「シャルル?」

 コソコソ


 あっ、バレた。

「なぁに?」

 にっこり


「……後で教えて」


 こくん


 あ、赤い点消えた。

 むーん……。




「ジークフリード・エイプリル様ご夫妻!ご退場!」


 式典も終わり、先程の控え室に下がる。

 もちろん大名行列だ。ふへっ

 歩きながらジークが問う。


「何があった?」


「部屋で話すね」


「……分かった」







 ◇◇◇


 控え室に着いて、お茶の準備が整い、人払いをお願いする。


「あ、お兄様、違った、団長はここに居て下さい」


「畏まりました。オスキャルは如何致しますか?この者、副師団長でございます」


 おやま!ツートップで護衛だったんすかっ!

 そいつぁ厳重警戒でしたなぁ!


「そうだな、今後連携に関わるかもしれないので、同席で構わない。シャルルもいい?」


「はい。お願いします」






 ◇◇◇


 念の為に”防音結界”っと。

「単刀直入に申し上げますと、鳥肌が立つ程の殺気を感じました」


「「「なっ!?」」いつだ!?」


「確か、宰相様がお話してる時、気配探知で場所を特定したら、開かれた扉の辺りだったので、野次馬の中に居たと思われます。身体強化で見ましたが、人垣で顔は確認出来ませんでした。なので、男性か女性かも分からずじまいですね」


「やはり貴族……」


「シャルルは貴族に恨まれる様な何かをしたのか?」


 恨まれる?

 はて。

「貴族絡みの事件と言えば、カーバンクルの時のコステア子爵……と、アマンダは直接ジャファーソン家とは関わってないけど、調べたらわたしと分かるはず。後は……覚えがないですね」


 ないよね?ないはず。


「その2家は、既に潰れているし、関係者は全員捕縛されている。が、残党が居たのか?」


「……何だと?もし残党がシャルルを狙ってるなら、近衛師団と魔術師団の怠慢だぞ」

 ゆらり


「だあぁぁぁぁ!ジーク待て!まだそうと決まった訳じゃないだろ!怒りを沈めろ!!」


「聞きしに勝る愛妻家だ……」

 ボソッ


 えっ!?


「あっ、失礼しました」

 こほん


「おい、オスキャル、ジークだけじゃないぞ。俺だって立派なシスコンだ!!シャルルを害する奴は許さんっ!!」


「なっ!?冷静沈着な団長がシスコンとか言うっ!?」


 ひやぁぁぁ!!お兄様ぁぁ!!

 ジーク!頷いてないで何とか言って!





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新連載始めました! この世界の片隅で。〜新しい人生楽しみます!〜もよろしくお願いします♪
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ