Sランク授賞式。〜その1〜
「まぁ!シャルル!とても綺麗よ!」
「ありがとうママ」
カサンドラさんにドレスの着付けとメイクをお願いした。
サポートにリリアさんとカレラさん。
いや、そんなに仰々しくしなくてもよかったんだけどー。
「シャルル様!お手伝いさせて下さい!」
と、言われてしまったのだ。
場所がフランシア家だったので、断るのもなぁと思ってお願いしたら、3人も付いてしまった。
まぁ、わたしが髪の毛を自分で結わえたら、いつものハーフアップだっただろうから、お手伝いは有難い。
「綺麗に結ってくれて、ありがとう!自分じゃ出来ませんでした」
腰まである髪を巻いて、くるくるの後れ毛を垂れさせたスタイル。
自分じゃ面倒でやらないよこれ。
「シャルル様がお綺麗なので、どんな髪型でもお似合いです!本当に素敵」
ほぅ……
照れる。
コンコン
「シャルル、時間だよ」
「はい!今行きます!」
「うん、凄く綺麗だ」
ちゅ
「ありがとう。ジークも素敵!」
もう、人前のちゅーは口にしなければ気にしない事にした。
仲良しの証拠!恥ずかしいけど!
「では「行ってまいります」」
◇◇◇
フランシア家のゴレ車で王城に向かう。
何故かクリスティアンお兄様も一緒だ。
「ユージーンが一緒に行きたかったとボヤいてたよ」
はははっ
「護衛は騎士が最適だしね」
ははっ
護衛!?
「SSランクは国の重鎮だしね、公的な事には護衛が付くんだよ。まぁジークは俺より強いんだけどね」
くくくっ
「そういや手合わせもしてないなー。兄さん、今度やる?」
「えー、勘弁してくれよ。負けたら立ち直れないじゃないか。今のまま、あやふやでいいんだよ」
あははははは!
「と言う訳で、シャルルは俺を顎で使っていいからね」
パチン!
いや、ウィンクされても!
「えと、お兄様って呼んでも大丈夫?」
「あぁそうだなー。公的な場所では出来れば名前の呼び捨てがいいんだけど、難しかったら団長でもいいよ」
「呼び捨ては無理ですっ!では、団長って呼びますね!間違えないようにしないと……」
団長、団長、団長……
あははははは!
「そんなに堅苦しくなくて大丈夫だよ、ハンターの受賞式だし、精々宰相位しか出てこないよ」
宰相さん!?
「後は防衛部の数人とハンターギルマスサブマス、野次馬位だね」
野次馬!?
「新しいSランクが、どんな奴か見に来る城勤めの奴がチョロチョロするけど、ま、気にしなくていい」
「全部パピだ」
ぶはっ!
「ジークのその例え、どこから来たの?」
「ん?……どこだっけ」
くすくすっ
「でも緊張は解れるよね」
そうこうしている内に、王城に到着した。
◇◇◇
「ジークフリード・エイプリル様!シャルル様!お着きでございます!」
ひぇ!?
コソコソ
「俯かず前を見て」
「はい」
お兄様から指摘されちゃったよ!
あ、団長ね!団長!
よし、わたしはジークのパートナー!
わたしがヘマしたら、ジークが恥をかく!
よし!顔を上げて微笑め!
コソコソ
「お!いいね!その調子!」
にっこり
……これ表情筋鍛えられそう。
「さぁ奥さん、行こうか」
「はい、旦那様」
ぶふっ!
ちょっと!吹き出さないでよっ!
「エイプリルご夫妻様、これよりお部屋に向かいます。護衛のクリスティアン・フランシア、並びにオスキャル・デクスターでございます」
「あぁ、頼んだ」
エスコートされつつ、前に団長、後ろにデクスターさんのサンドイッチ状態で控え室まで向かう。
わたしの中で最大限のしゃなりしゃなり歩きだよ!
「シャルル、歩きづらい?抱っ「しません」」
ぶふっ!
「……失礼しました」
デクスターさんに笑われたじゃんか!もう!
「いや、何かいつもと違う気がしたから。緊張してんの?」
「……」
「パピ」
ぶはっ!
「うん、大丈夫」
くすくすっ
「……微笑ましいっすなぁ。あ、いや、失礼しました」
「……デクスター、部屋までは緊張感を持て」
「はっ!」
◇◇◇
控え室に到着して、ソファーに座ると、お茶が出てきた。
ありがたい!
お砂糖は入れなくても、銀匙で、くるりと混ぜる。
毒の警戒なんだって。うへぇ。
カップ&ソーサー以外は銀食器だ。
お城って大変ねぇ……。
「お時間になりましたら、ホールにご案内させて頂きます。それまでは、ゆるりとお休み下さい」
お兄様とデクスターさんは扉の中で警護。
外にも近衛兵が居るんだよ。
どんだけガッチガチに固めてんだろ。
「まだ犯人は捕まってないし、貴族の可能性が高いから最大級の警戒をしてるんだよ」
「あー、……なんか申し訳ない」
「シャルルのせいじゃないよ。気にするな。それに、今日は高ランクハンターばかりの式典だから、犯人も出て来ないとは思うんだけどねー」
「発言をお許し下さい」
「申せ」
「はっ!此度の警護はSSランクのジークフリード様の為でもあります。シャルル様が気になさる事はありません」
「団長、お気遣い、ありがとう」
にこっ
「うちの義妹可愛い」
ボソッ
「……団長、台無しです」
はははっ
「堅苦しいから、ここでは普通でいい事にしようよ。ね?オスキャル?」
「ジークフリード様、そういう訳には……」
ん?
「お知り合い?」
「まぁ、広いようで狭い貴族社会だしね。何度か手合わせもしてるよ」
「ジークフリード様がSランクに上がり立ての頃でしたか。あの頃ならまだ辛うじて勝てましたが、今は無理でしょうね」
「無論、負ける気はないよ」
「うちの弟は凄いんだぞ!」
ぶはっ!
このフレーズはお兄様譲りか!




