式服とシュークリームとお披露目日程。
何度か立体でママとやり取りをしたりして、Sランク受賞式の前日は実家に行った。
式服の進捗を見たけど、やっとパターンが出来上がり、これから裁断に入る所らしい。
あれぇ?
きっとまた顔に出ていたんだろう、ママが、
「これが”普通”よ?」
曰く、クリエイトスキルがあっても、スキルのレベルが低ければ、スキル持ってない人の1.5倍から2倍位早くなるだけなんだそうだ。
それでも一般よりは早いので、十分なんだって。
スキルがレベルアップするには、よっぽどの才能や実践回数等が関わる為、わたしの年齢でレベルMAXは通常有り得ない。
よしんば有り得るとしたら、よっぽど×10位の才能があったって事になるみたいだ。
レベルを数値化して見られないから、どこがMAXなのか誰も分からない。
なので、フロリアさんのように、極めたと思っていたら上がいた、何て事になりうるのね……。
こんな小娘が、なんかすんません。
そう考えると、わたしってば、パターンも引かずにデザインだけ決めて、一気に裁断してたなぁ。
……うん、作ってる所は人に見せないようにしよう。
鶴の恩返し、ヴェルデ星・コルサーナ国ver.
ん?
◇◇◇
「ここはお針子達に任せて、お茶にしましょうね」
と、ママに誘われて茶和室でお茶。
今日は、登録したてのシュークリームとエクレア持参だ。
どうやらパイは見た事あるようなので、ミルフィーユとパルミエは、また今度にした。
やっぱ新作の方が楽しいじゃない?
ジークはパパと執務室で、お披露目の日程を聞いている。
まぁ、わたしは流されるだけ〜。ふらふら〜。
「このお菓子は、どうやって頂くの?」
あっ、齧って食べてとは言えないよね!
食らいつくとも言えないし、ナイフで切るとクリームはみ出るけど仕方ない。
「丸いシュークリームは、上下分かれているので、上の生地を取って、クリームを掬って食べてみて下さい。下の生地はナイフとフォークで……」
いやでも、ママなら齧るんじゃね?
「もしくは、がぶっと」
うふ!うふふふふふ!
「がぶっと?こんな感じ?まぁ!美味しい!パリッとシャクっとした生地とクリームが合うわね!」
ぶはっ!ホントに齧った!
「もし、お茶会等で提供するなら、小さく焼いてクリームを中に詰める方が良さそう。ごめんなさいママ、最初から小さく作れば良かった」
「あら!これはこれで楽しいわよ?お家だけの特権!」
うふふふ!
そう言ってエクレアもがぶがぶ食べた。
もー本当にママ大好きだ!
その後、パパとジークも一緒にお茶。
パパはジークが食べてるのを真似して、最初からがぶっとね!
クリームがむにゅっとはみ出ても、焦らず慌てずスマートに食べる姿は、本当に見習いたい。
素晴らしい。
厨房にも差し入れしたら、料理長さんが鼻息荒く「シャルル様のレシピは全て買います!」とは言うけれど、考案者公開してないよ?
しかし、分かるのだそうだ。
なんで!?
「考案者公開してないレシピなんて、シャルル様以外居ません」
ぬぁぁぁ!!盲点っ!!これヤバくね!?ペンネームでも付けるか!?
と、考えさせられた出来事だった。
閑話休題。
パパとジークから、お披露目の日程を聞いたら、一応予定として彩葉の月初めを予定しているそうな。
秋の最終月ですね。
はい、お任せしますよー。
わたしは流されるだけですよー。
「俺らが用意する様なものは特にないけど、あ、シャルルのティアラとお揃いのブローチは持ち出しね。他は全部、国が揃えるってさ」
「分かりました。お任せします」
「ふたりはニコニコと手を振るだけでいいはずだよ」
うぇ!?凱旋パレードの悪夢!しかも2人だけ!?
「場所は王城バルコニーで移動はないはず。……襲撃犯が捕まればパレードも予定してたんだけどね。流石に捕まってない状態でパレードはちょっと危険だから」
「俺だけなら囮になってもいいんだけど、シャルルも居るからパレードは断ったんだ」
「わたしは大丈夫だよ?」
「いや、また尻尾だけ切って逃げられても、民衆が危険に晒されても困るからな」
なるほど。民衆が危険なのは困る。
むむむーーーん……。
「まぁそれまでには捕まえてやる!」
「……何でわたしなんでしょうね?ジークと結婚するのが許せないから?ジークを想う人の仕業?そうなると女性の線が濃厚だけど、ちょっとやり方が女性とは違う気がするんだけどなぁ。計画の練り方とか、女性ならもっと感情が顕に見える気がするんだけど、あぁ、でも力技と言うより呪術を使おうとしたのは女性ぽい?うーーん……」
「シャルルが他の男性のモノになるなら、いっそ……って事もあるよ?SSランクには力では敵わないから、とか」
「げ!病んでる!でも可能性としてはアリなのか……」
一体何が目的で狙うのか……。
幸いにもあれから襲撃はない。
見張られてる感じもない。
もう可哀想なアルディジャやパッセルを増やさないで欲しい。
……腹立ってきた。
しかし、何をしたら犯人が釣れるんだろう?
意図が分からないから動けないし……。
「シャールル!ほら、眉間に皺を寄せないの!」
「あ、うん。何か考えたら怒りが湧いてきちゃって」
へへっ
「俺もはらわた煮えくり返る気分だよ。絶対シャルルは護るからね」
ちゅ
「うん」
はっ!!!!
パパとママが見てた!!
ニヤニヤしてるぅぅぅぅ!!
「新婚ていいわねぇ♡」
ぎゃーーー!恥ずいーーー!!




