交渉。
昨日作ったワンピースも着た。
ボレロも着た。
してるか分からないメイクもした。
ケーキ持った。
よし。
たのもーーーー!!!
「おはようございます。ギルドマスターのヘルベスさんにお取次ぎをお願いします」
お姉さん、口開いてるよ。
「は、はい、お待ちください」
何やら丸い物体にこしょこしょと話しかけてる。
「では、ご案内します」
ついて行くと、執務室に通された。
キョロリと見回すが、きちんと整頓されている。
「やぁ待たせたね」
「おはようございます。この間は送って頂きありがとうございました。これお礼です」
ピシッと一瞬固まった後に
「え?お礼なんていいのに。でもありがとう、頂くね。それで、考えは纏まったかい?」
昨日考えた事を話した。
納品にしたい。
自分の工房以外で作らない。
それがダメなら、この話はなかった事に。
「ふむ、まぁ君のポーションは、ちと特殊だし、その方がいいかもしれない。だが、薬師ギルドの連中が製薬してるのを見たがるだろうなぁ。後、登録する時はひとりで行かないように。俺とハンターギルマスは一緒に行くからな」
「はい、お手数お掛けしますが、よろしくお願いします」
それから週にどれくらい納品出来るのか、報酬はどうするのかなどの話をした。
現在売っているポーションと同額では出せないらしい。
特別品として、売り出すことと、毒消しや状態異常のも、出来れば作って欲しいとの事。
「毒消しや状態異常の薬草はどの辺りにありますか?」
「ん?ハンターギルドに依頼出せば手に入るぞ?」
「採りに行くのは難しいですか?」
「毒消しは大丈夫だが、状態異常の薬草が厄介だな。聖域近くの高ランク魔獣がいる所に多いんだ」
ほうほう。
家から行けるかも。
「薬師ギルドにはいつ行くんだ?」
「お2人の都合のいい時で大丈夫です」
「分かった、なら少し待っててくれるか?今から連絡するから」
そう言って、デンタツくんで連絡取ったんだが……。
『あぁ!!何だよ!シャルルが来たら呼べって言ったろ!!』
ホログラムで叫んでらっしゃるるるるる。
こっちは一緒にホログラムに映るために並んで座っている。
ヘルベスさんを見ると非常に満足そう。
何だこれ。
『今から行く!!!』
フォン!と鳴って切れた。
「え、お仕事いいんですかね……」
「知らん」
5分ほどで本当に来たよ!早すぎない!?
「お前……、身体強化で走ってくんなよ……」
「時間は有限なんだよ、それで決まったのか?」
「あぁ、薬師ギルド行くから、都合のいい時教えろ」
ぱぁっ!と嬉しそうなハンターギルマスさん。
結局明日の6の鐘に待ち合わせる事になった。
早く行ったら話を延ばされそうだから、サッサと切り上げるための手なんだとか。
その後、持って行ったチーズケーキをお茶請けに出して貰ったんだけど……。
わたしが作ったと言ったら、たいそう驚かれた。
レシピ売れとか。
ラッピングも、商品化しないか?とか。
いや、チーズケーキ位あるでしょうよ。
まぁラッピングは特殊かも知れないが、商品化せずとも、真似して作ったらいいよ。
そう言ったら、驚かれた。
何なの!?
「なぁ、何でケーキのお土産?俺には??」
「今食べたじゃないですか。この間ヘルベスさんに送ってもらったお礼ですよ」
「俺が送ればよかったー!」
「ハンターギルマスさんにもお世話になるので、いつか持っていきますよ」
「マイクは名前!俺は!?」
「え?名前を知りません」
あんぐりと口を開けて固まるハンターギルマス。
ニヤリと笑ったヘルベスさん。
「ラシード!ラシード・ウルヴァ!ラシードでいいから!」
と、名刺をくれた。
ヘルベスさん、ハンターギルマスが名乗ってなかったの知ってて敢えて名前言いませんでしたね!?
やっとハンターギルマスさんの名前が出ました。
ヘルベスさんはちょっと腹黒。




