Sランク試験と夏の嵐。
Sランク試験は若葉の月23日〜25日の3日間。
その後すぐに夏の嵐になるので、嵐の間に採点がされるらしい。
という事は、夏になったらすぐ結果発表になる。
アレクさんや5人組、頑張って欲しいですな。
ジークは講師も終えて家に居る。
チラッと聞いた話では、SSランクには仕事と言うものがないらしい。
そもそも最下層突破、航路開口が目的のSSランクだったし、政にも関わらないなら、既に仕事は終えているって事なんだって。
……名ばかりの名誉顧問だの、名誉会長だのって感じかな。
今まで我武者羅に仕事していたジークにとっては、長期休暇みたいなモノだけど、何もやる事がないと言われてもねぇ。
ハンター引退はしない方向だし、どうなる事やら。
「そういや明日から試験なんだけど、明日だけ試験監視員なんだ。午後はギルドに行ってくるね」
ちゅ
「うん、アレクさんや5人組、頑張って欲しいねー」
「アレクは今年落ちたら、5年間は試験を受けられないからなー。しかし、何で途中空けなかったんだろ」
「ん?」
「5年連続で落ちたらペナルティだけど、間が空いてたら連続じゃなくなるからペナルティがないんだよ。知ってるはずなのにな」
「単純に忘れてる、とか……」
「……有り得る。いやでも、アイツは追い詰められた方が実力を発揮するタイプ……だといいな」
ぶっ!
「希望的予測!」
あははははは!
◇◇◇
ジークの監視官も終わり、残りの試験も終わった。
後は受験生達ドキドキの結果発表を待つだけだ。
まだ合否は分からないけど、とりあえずお疲れ様の気持ちを込めて差し入れだ!
「こんにちはー!差し入れ持ってきましたよー。試験お疲れ様でした!」
「お疲れー!結果はまだだけど、とりあえずな!」
「「「「「ありがとうございます!」」」」」
「ありがとーぅ!もうヘロヘロのへーだよー。ジーク試験官様!どんな感じ?」
「え、俺採点には関わってないから知らんよ」
「っかー!使えねぇ!」
「……シャルル、アレクは要らないっ「嘘です!すんません!」」
あははははは!
「まぁ終わった試験は置いといて、召し上がれ!」
わいわいと、あの問題は引っ掛けだーとか、難しかったー!とか、マナーがネックだった!とか。
何だか学生みたいよねー。
ふふっ
あぁなるほど、マナーはここにも成果を表している。
ガツガツムシャムシャ食べる感じだったのが、ちょっと大人しめになって、ちょっと綺麗な所作になっている。
「マナー頑張ったんだねぇ。食べる姿勢が綺麗になってるよ」
むしゃごっくん!
「分かります!?ここにアレクさんと言うお手本が目の前にあったから、日々頑張ったんす!」
「最初は真似するのに忙しくて、味なんかしなかったけど、やっぱ日々努力したのは身に付いたって事っすよね!」
「まだまだ荒削りだけど、これからも気をつけたら、ちゃんと身に付くよ、頑張れ!」
「ジークさんみたいになりたいっす!」
「えっ!?そこは俺じゃねぇの!?」
「アレクさんもマナーは見習いたいっす!」
「マナーだけかよ!」
あははははは!
みんな疲れているだろうから、早めに帰宅。
お疲れ様でした!
◇◇◇
「あ、魔法カードだ。29日から嵐か。夏が来るんだなー」
ジークと出会った夏。
出会って結婚までしちゃった、怒涛の1年だったわねー。
「ジーク、嵐の予報のカードが届いたよ、29日からだって」
「おー、了解!嵐の間はなにすっかねぇ」
「お披露目の生地を探したいんだけど、生地が夏仕様なんだよねぇ」
「お披露目は秋だし、夏仕様でも長袖で自動温度調整付けたら大丈夫じゃない?貴重素材なら、暑さ寒さに強いのもありそうだし」
「あ、そっか。じゃあ候補を探してみようか」
「嵐の時に緊急呼び出しはないと思うし、デンタツが繋がらなくても大丈夫だろー」
「うんうん、じゃあ聖域で生地探ししよー!」
「おー!」
◇◇◇
ヒューーードッタンバッタン
ドドドドドバコンズバンバタバタバタ……
毎回毎回凄いわね。
って事で、聖域に来ております。
まぁ王都と代わり映えはしないので、普段の生活してます。
お風呂以外は。
ジークは、広々岩風呂初体験なんです。
「すげー!手足おっぴろげでもまだ余裕あるよ!すげー!」
「気に入った?」
「うん!あ、でもいつものお風呂にぺったんくっついて入るのもいい」
ぶはっ!
「ま、まぁ今は広々お風呂を楽しんで下さいな」
「広いとさ、色々出来そうだよね」
え?
「アレコレソレコレ」
「ナ、ナンノコトカナー」
「ね?」
ね?って!ちょ!まっ!あっ!あぁぁぁ……ぱくりんちょ。
そーゆーこともあーる。
へろん。
◇◇◇
結局、嵐1日目はヘロヘロお風呂で終わった。
遊んだからだよ?えぇ、パシャパシャして遊んだからですよ?
ふっ(遠い目)
とりあえず、2日目!
今日は生地を確認します!
何が出るかな♪何が出るかな♪ちゃらららんらんちゃらららん♪
……何だっけこれ。まぁいい。
「うっわぁ!こりゃ凄い!素材の宝庫じゃん!メリュジーヌ!?マジか!シムルグ!?え、実在すんの!?レヴィアタンの鱗!?は?いやいやいやいや!うぇぇぇ!?」
分かる人には分かるのか、そうか、そうなのか。
わたしが見てもちんぷんかんぷんだ。
「あー、ジークさーん?おーい!……おーい?」
「……はっ!!」
「大丈夫?」
「だ、だいじょばない。……あのサーコートを凌ぐ素材ばかりで……」
ありゃ、そりゃ困った。
ふへっ




