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謝罪。

 お茶会の翌日、フルーレフェス最終日なんだけど、外に出る気にはなれず、家でまったりしていたら


 カランコロン〜♪


「ん?誰だろ?はーい!」


 モニターを見ると、正装したラシードさん、ゴードンさん、他2名。

 誰っすか?


『お忙しい所の訪問をお許し下さい。本日は一昨日の件で参りました』


「はい、どうぞー」


 門を開けて4人を招き入れる。

 ジークと玄関までお迎えに行くと、もの凄い緊張してる。


「どうぞ中へ」


「失礼致します」


 4人を連れてリビングに行き、わたしはお茶の用意をしに……行こうと思ったら、ゴードンさんに視線で止められた。

 何が始まるの!?





 部屋に入るなり平伏する4人。

 うぇ!?


「お見知り置き頂いているギルドマスターと、サブギルドマスターの他2名は、執行官ザカリー・ワイズとハンターギルド職員のケビン・モルフェでございます。エイプリル様のご自宅、その他エイプリル様ご夫婦に関する一切の情報は魔法契約で話さないようにしております。ザカリー・ワイズのみ、報告の義務がある故、報告に関する事柄だけはお許し下さい。先日は当ハンターギルド職員が大変なご迷惑をお掛けしまして、申し訳ない事でございました」


 え、こう言うのどうしたらいいの!?

 ジークを見ると特に狼狽えてもいない、落ち着いてる。

 その後、難しい言葉で謝罪をつらつらと述べているが、わたしは居心地が悪くて、ただ黙って成り行きを見守るだけだ。


 要は、ピンク髪さんが逆恨みして暴れた場所に、丁度ぶち当たって、ピンク髪さんを止めて、逮捕に協力してくれてありがとう、お手数かけてごめんねって、今後は絶対ないようにするからねって事、なんだけど、言い回しがくどくどしてんのは貴族仕様なんだろうな。

 SSランクの足枷って、こんな所にも適用されんのか。

 ジークも大変だなぁ。

 なんて思ってるうちに


「相分かった」


「ありがとうございます。謝罪の気持ちとしてこちらを」


 ずいっと何かを差し出してきたが


「いや、謝罪はもう受けた。俺に差し出す物があるなら、傷を負った民や店舗に使え。それと、ラシード・ウルヴァ、ゴードン・バックラー、2人は今後もギルドマスターとサブギルドマスターの職務を全うしろ。退位なんぞ許さん」


 ラシードさんとゴードンさんが、一瞬目をギュッと瞑り、手を握り締め頭を下げた。


「「ありがとうございます」」


「ザカリー・ワイズ、異論はないな?」


「はっ!ございません!」


「ならもういい。……お茶飲んでく?」


 ぶはっ!

「用意しますから、是非」


「いえっ!本日は謝罪の為にお時間を頂いたので、これ以上は!」


「もうそれは終わりでいいじゃん。堅苦しくて甘いもの欲しくなるよなー。な?」


 はぁ……

「奥様、お手伝い致します」


「ちょ!バックラーさんっ!?」


「ザカリーさん、シャルル様のスイーツは絶品ですよ?」


「ゴードンさん持ち上げないで!」


 はははっ

「まぁこっち来て座れよ。シャルル、何か手伝う?」


「ううん、すぐだから大丈夫よー」


「て、手伝うって……ジークフリード様が……」


「え?何か変?奥さんは大事にしないとダメだよ?」


 心底驚いたのか、ザカリーさんもケビンさんもピクリとも動かなくなった。

 が、見なかった事にして、お茶の用意しよーっと。


 キッチンで


「シャルルちゃん、驚かせてごめんなさいね。これも必要な事だったのよ」


「うん、びっくりした。こう言うのは全部ジークにお任せしてるから見てるだけだったけど」


「ホントはギルマスもサブマスも退位するはずだったのよ」


 えっ!?


「その為に執行官も来たんだけどね。だけどジークに止められちゃったわ〜」

 ふふっ


「多分、ジークも分かってて止めたんでしょうね」


「そうね。助けられちゃったわ。んまっ!美味しそうなケーキ!」


「季節のフルーツタルトですよ!さぁ、持っていきましょ!」




 リビングに行くと、ザカリーさんも、ケビンさんもカッチコチになって座ってた。

 ラシードさんは、まぁいつも通りだ。


「お待たせしましたー、どうぞ」


 まずはジークが、続いてラシードさんやゴードンさんがぱくり。


「「美味い!」」


「相変わらず美味しいわぁ♡」


 ふふっ

「乗せるフルーツが違うだけで、いつものタルトなんですけどね」


 ぱくりと食べたザカリーさんが


「美味しい……これは奥様のお手製でしょうか」


「はい。お口に合って良かったです」


 ケビンさんもぱくり。

 おぉぅ、めんたま落ちますぞ?


「美味しい……っ!自分、甘い物が好きで食べ歩くのが趣味なんですけど!今まで食べたどのスイーツより美味しいですっ!!」


「ありがとうございます」

 ふふっ


「シャルルは凄いんだよ」

 なでなで




 その後は緊張が解けたケビンさんの褒め殺しかっ!って位の食レポ独壇場だった。

 ラシードさんもゴードンさんも


「「こんなケビン見た事ない……」」


 には笑った。



 帰り際


「トーリエ・モリスンの刑が決まり次第、お知らせします」


 の言葉に


「いや、必要ない。ただ、もうこの世に出すな。害になる」


「はっ!畏まりました」


 と、言うが、この世に出すなってジークが言ったら、もうそれが通っちゃうんじゃないの!?

 ジークが決めていいの!?


「そもそもSSランクと奥方への殺人予告しちゃったからね。出られないよ」


 あぁ、そう言えば殺してやるーって騒いでたな……。

 納得。

 この世界にも精神鑑定とかあるのかなぁ。

 病んでたもんなぁ。



「それでは、御前失礼致します」


 そう言って4人は帰って行った。

 ここ数日で、何度も聞いた、御前失礼致します、って……。


「あー!堅苦しかった!シャルルおいで!」


 この大型ワンコみたいな人に言ってると思うとなー。

 ふふっ

「抱っこして!」

 ぴょん!


 ジークはジークだし。

 ま、いっか!





※誤字報告ありがとうございます!

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新連載始めました! この世界の片隅で。〜新しい人生楽しみます!〜もよろしくお願いします♪
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