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お茶会。〜その1〜

「うん?正面じゃないのか?」


「は、ごく私的なお茶会との事で、王族用門から入ります」


「ふぅん」


 こりゃまたとんでもない事でございますですよ!

 通常は正面から手続きをして、いくつもの扉を潜り、やっと王族のプライベート空間まで行くはずなのに、直接!?

 あ、これはクリスティアンお兄様からの情報です。


「シャルル、手を貸してごらん」


「うん?」


 ジークに手を預けると


「くるくるぽっぽのめーだーま、なんにもみてないみーえーない、ぽっぽのめだまをよーこーせ!」


 ぶはっ!

「なぁにそれ!」


「緊張を解くおまじない」


「ありがとう、大丈夫」

 くすくすっ


「抱っこ「しません」」


 何言いよるか!

 まぁ緊張は解けた!……少しだけど。

 程なく、ゴレ車が停まった。


「あぁ、俺に構うな」


 ジークがドアを開けて、回り込み、わたしをエスコートする。

 これじゃどっちが上位なのか分からんがね!


Z(ズィー)だ」


「はっ!」


 門扉を護る兵士さんが扉を開ける。


「中に入りましたら、執事がご案内致します。お疲れ様でございました。これにて御前失礼致します」


「ご苦労」


「ありがとうございました」


 にこっと笑った黒服の人。

 いや、名前知らんからさ。




「ようこそおいで下さいました。私、ベンツと申します。ご案内致します」


 高級車さん!

 ん?


 ベンツさんの後を付いて豪奢な廊下を進み、これまた豪奢な部屋に案内される。

 が、その奥のドアへ。

 ドアを通る時に感じた違和感。

 思わずジークの手を握る。


「あぁ、結界を抜けたんだよ、大丈夫」


 結界?

 え、もしかして正真正銘のプライベートスペース!?


「やぁやぁ!いらっしゃい!待ってたよー!」


 深々カーテシーでご挨拶。

 ジークも膝を折り


「お呼びにより罷り越し「いいからいいから!」」


 いや良くないよね!?


「ここは完全にプライベートスペースだから、うるさいヤツもいないし、普段通りにしてねー。ベンツ、お茶!」


「畏まりました」


「……では、そのように。お菓子をお持ちしたので、お納めください」


「硬いなー。もっと砕けていいよ。そんで?お菓子?」


「最近、市井で売り出されたレシピです」


「おぉ!ベンツー!お菓子貰ったー!」


 子供かっ!!

 え、パパのお兄さんだよね!?


「ありがとうございます。お出ししても宜しいですか?」


「はい、どうぞ」


「これは、美しい箱でございますな。おぉ!マジックボックスですか!」


 次々とケーキを出してワゴンに並べるベンツさん。


「え!?何なに!凄い!初めて見るケーキだね!箱も素晴らしい!」


 突っ込まれるとめんd げふんげふん

 ここは何も答えず微笑みだ!

 にっこり





「さて、お茶も整ったし、本題行こうか。欲しいものは決まった?」


「”権利”を所望します」


「権利、ねぇ。どんな権利?」


「不干渉と断りの権利です」


「ふむ……その、不干渉って言うのは?」


「私達を放っといて下さい」


「と言うと?」


「そもそも政には関わらないのがSSランクの定めなので。以前、ダンジョンの褒賞の議会に出向いた時にも大臣達に伝えてあります。それを覆さず、国交にも不干渉でお願いします」


「あぁそれは聞いてるよ。そもそもがハンターだから、だろ?」


「はい」


「では、断りの権利とは?」


「無理難題を断る権利です」


「例えば?」


「一例になりますが、私達の持ち物を献上しろと言われても断る権利。不干渉が通らなかった場合、政や国交に関する事に対して断る権利、ですね。まぁあくまでも一例ですよ」


 はははっ

「曖昧だけど、そこを決めないのはわざとだろ?」


「まぁそういう事です」


「ふむ。政はともかく、どうしても国交には関わりたくないんだなー」


「国の顔にはなりたくありませんから」


 ぴくっ

「この国を捨てるのか?」


「は?」


「いずれ出奔する気なのか?と聞いている」


「いやいや!考えた事もなかったです!」


 うんうんうん

 いや、黙って聞いてたけど、なるほど、その懸念があったのね。


「頑なに国交を拒むし、国の顔になりたくないって事は、他国に行っても面割れしたくないから、じゃなく?」


「いや、ぶっちゃけ面倒なだけです」


 ぶっちゃけたー!


「あー、エルバートの息子だったわー」


「はい?」


「いや、あいつも面倒くさがりだったなと」


「そう……でしたか?父ながら、そうは見えませんでしたが……」


「そうじゃなきゃ、エルバートが王になってたよ。あいつ儂に押し付けたんだぞ!一言、面倒だからと!」


「え、それで回避出来るものなんですか!?」


「とっとと自分の部下を連れて城を出やがった!そしたら?残るの儂じゃん!やるしかないじゃん!」


 ぶはっ!

「あ、失礼しました」

 吹いちゃったよ!!不敬罪にならない!?


「自分は宮廷魔術師団長になってるしさー。まぁ確かに魔力はエルバートの方が多かったし、今となっては適材適所だったんだなとは思うけど!面倒だからって!……まぁそれを思い出したってだけなんだけど」


「何やら申し訳ない……気がします」


 うん、この国は平和だ。うむ。






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