フルーレフェス。〜準備 その2 常識〜
常識とは、一般人が共通に持っている意識、または持つべき思慮分別。
欠けている自分。
いや、探せば頭の中で見つかるが、探さないと出て来ない。
ダメじゃん。
「俺の誕生日は光の月30日、年齢は28だ」
ほほぅ、28歳。
まぁ12歳違いなんて、この世界じゃ近い方だね。
光の月は、夏のひと月目、って事は
「去年、もう会ってたよね?」
「うん」
「言ってくれてたらお祝いしたのにー!」
「いや、そもそも20歳過ぎたらお祝いしないんだよ」
なんですと!?
「20歳までの誕生日が特別で、その間はお祝いするんだ」
「なんで?」
「魔力が安定して、ようやく外に出て、15歳で成人して、酒が飲める20歳になったら、無事に大人になって良かったなーって事で、お祝いする期間は終わり」
なんと!
「自分がもう、お祝いする期間をとうに過ぎてて忘れてた。ごめん」
「謝らなくていいよ!わたしも常識が欠けてたんだもの」
「いや、シャルルは悪くない。不安いっぱいでこの世に来てくれたはずだし、俺がもっと支えないと」
あぁもうホントに……
「ジーク、気負わないで?これからもわたしに教えて?一緒に過ごす中で、おかしいなと思ったら正して?わたし、やっぱりどこか抜けてるの。だから一緒に、ね?」
「……シャルル、愛してるよ」
「わたしも」
ちゅ
”うぉぉぉぉ!!ひゅーひゅー!お熱いー!”
”きゃーーー!!花畑のキス!!素敵ぃぃ!!”
げっ!!!外だった!!!
ちゅ
「ジーク!!」
「いや、見せつけてやろうかと」
あははははは!
「もう!」
※この後、このフィオーリの丘でキスすると、永遠の愛が叶うとの噂が立ったのは、また別の話し。
◇◇◇
「こうやってテーブルに出してみると、結構摘んだね!」
「花かんむりなら30個位作れそう」
ははっ
「エディブルフラワーとして残すのを選別して、残りの花と、お式の時に買った花を組み合わせようかな」
「あの白くてふわふわしたの使えそうじゃない?」
白くてふわふわ?
「ああ!かすみ草ね、うん、あれも使おう。ジークは?どのお花を胸に刺したい?」
「紫の花!」
ぶはっ!
「それならスターチスにしようか。花かんむりにも使おう」
かすみ草でベースを作って、合間に花畑のお花と、分解したスターチスを差し込む。
うむ、簡単。
「どぉ?」
「うん!お花の妖精みたいだ!可愛い!」
ちゅ
「大袈裟な」
あはははは!
「きっとシャルルが1番似合う!」
相変わらず贔屓目が凄い。
でも、そう言ってくれるのは嬉しい。
えへへ
「お祭りでは、絶対離れない事!「買い物も一緒!」」
あははははは!
「フェスタリオスでも聞いた!ちゃんと守るよ!」
「なら宜しい」
あははははは!
「いや、マジでフルーレフェスは男女共にギラギラしてるからな」
「え?」
「欲しがる男、挿したがる女、自慢する男、数打つ女」
「えーと、因みに、ジークは参加した事は?」
「1度で懲りた」
oh......
「うん、何か想像したら分かるわ」
「それからこの祭りの時期はダンジョンに籠るようになった」
「王都だけじゃないの?」
「基本は街の祭りだから、王都以外でも開催されるんだ。時期がズレて開催されてて、追いかけ回された」
oh......
「なら今回は大丈夫だね!」
「堂々と街を回れる!祭りメシ!」
「分かる!魅惑の祭りメシ!何故か買っちゃうんだよねー」
「雰囲気と言う極上のソースがあるからなー。祭り以外で同じモノ食べても、大して美味くもないのにな」
「ね!」
「そう言えば、このフルーレフェスが終わったらSランク昇格試験があるらしくて、アレクも5人組も試験勉強で不参加だって言ってたな。挿したい女が大勢居ただろうに」
「おぉ!やっぱり5人組も受けるのか!」
「まぁ年一のチャンスだしね。今回逃したら、また来年になっちゃうし」
「そっかー。何か差し入れしてあげようかな」
「アレクは常連なんだけどね」
あらま。
「難しいの?」
「そうだね、多岐にわたるから、どれかひとつでも落としたらSランクにはなれないんだ」
「それを突破したジークは凄いね!」
「貴族だったから少しは有利だったしね。マナーとかもあるから」
「なるほど。って事は……」
「アレクはサボり過ぎ」
「あちゃー。なら5人組はマナーも頑張らないとなんだね」
「そう。パーティーに呼ばれる事もあるから、そこそこに重要なんだよ」
「腕っ節だけじゃSランクにはなれないのね」
「うん。薬学もだし、魔獣の特性や繁殖地、野営とか植物なんかもあるな」
「うへ、わたしには無理かも」
「シャルルはそのままでいいんだよ。でももし目指すって事になったらサポートはするよ」
ちゅ
「ジークはわたしを甘やかし過ぎじゃない?」
「え?こんなもんじゃ足りないよ!」
ぶふっ!
「ジーク大好き!」
「俺は愛してる」
ちゅ




