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マリアージュ。〜当日 その2 ピンク!〜

 手を引かれ外に出てゴレ車に乗り込む時、ふと世界樹に呼ばれた気がして振り返る。


「は?」


「どうしたの?」


「世界樹が……」


「え?は?はあああああああ!?」


「奥様!?」


「世界樹が……ピンク」


「「「え!?」」」


 世界樹が!ピンクだよ!?何アレ!!!

 まるで桜みたいだ……。

 桜?あぁうん、桜、前世で知ってる。


「これは……吉兆!きっと世界樹もお祝いしてるんですよ!!」


 うん、わたしもそう思う。

 身体の真ん中の、何だかふわふわした部分に流れ込む温かさ。

 あぁすぐにでもジークと共感したい。

 抱きしめて、ありがとうって言いたい。






「はっ!お時間が!参ります!」


 ゴレ車の中は、広々空間。

 凱旋の時よりも凄いって何なの。

 第1門を抜ける時、左胸にブローチを付けた女性ハンターさんを見た。

 ビキニアーマーじゃなかったわー!

 外から中は見えないので、気持ちだけ、ありがとう。

 まぁ、ぽかーんだよねぇ。ははっ


 そのまま半刻もせず、大聖堂前に到着。

 警備を考えて大扉に横付け。

 本当は、招待客が外でお迎えなんだそうだ。


「さ、シャルル、行きますよ」


「はい、ママ」


 ママの手を取り、ゴレ車を降りる。

 大扉が開かれ、荘厳な音楽が流れる。

 本当に結婚するんだなぁ。

 なんて、今更思ってみたりして。


「ジーク」


 レッドカーペットの向こう。

 祭壇の前。

 愛しい人が待ってる。


 ……やっべぇ!!カッコイイ!!鼻血出そう!!

 ヴェールダウンしてるから、わたしのこのデレた表情は隠れているだろう。

 なので思いっきりデレ顔するよ!


 うふふ

「シャルルったら、見蕩れちゃって!」


 ぎくっ!まさか見えてるの!?


「さ、ゆっくりね」


 1歩、また1歩。

 左右には見知った顔ばかり。

 みんな笑が……うん?

 笑顔と言うより、ぽかーん顔だ。

 あぁ見た事ないドレスだからだね!

 だってほら、マリアーナさんは満面の笑みだもの。

 あら?この人誰?……うぇ!?王様だ!!

 変装のつもりですかそれ!

 前髪全部下ろしてるだけなのに!?


 うん、わたし結構余裕あるな。

 緊張して周りが見えないかと思ってたが、そんな事はなかった。

 ふふっ


 そして、祭壇に着き


「シャルル」


 ママの手から、ジークの手へ。


「ジーク」


 ヴェールをあげて、祭壇に向き直る。




「ジークフリード、並びにシャルル、天に御座す神に誓いを捧げよ」


「天に御座す神よ、この良き日に、ジークフリードとシャルルは、ふたりで苦難を乗り越え、喜びを分かち合い、共に歩む事を「誓います」」


「魔力奉納」


 ジークと手を合わせ、ふたりの魔力を混ぜ合わせるように、丸く整える。


 淡い光を放ち、ふわりと浮かんで、大聖堂の高い天井を超えて行く。


 ”フォーーーーーーン”


「「え?」」


 キィ!

 キィ!


「え?カーちゃんトーちゃん!?」


 キューーーーーン!

 キュイキュイ!


 ふたりの額の宝石が光る。


「「は!?」大丈夫か!?」


 パァッ!と光に飲まれたと思ったら

 目の前に女神様!?えっ!?


 ”おめでとう、愛し子よ。世界樹の花びらのお陰で、こうして姿を現す事が出来ました。これからも其方達を見守っているわ”


「ありがとうございます。この世界に連れて来てくれて!ジークに会わせてくれて!感謝してます!」


 ”うふふ!お使いを頼んだのはわたくしですもの。まだこの世界は広いわ。楽しみなさい”


「はい!ありがとうございます!」


 …………

 ……

 …




「「はっ!」あれ?」


「はっ!あぁ、それではサインを」


 ジークと顔を見合わせ、まずはサインをする。


「今此処に、神に認められたふたりは夫婦となりました!おめでとう!」


 ”わあああああああ!!おめでとう!おめでとう!”

 パチパチパチパチパチパチ



 招待客が席を立ち、大扉に向かって行く。

 その後ろから付いて行く。んだけど


「「さっきの!」シャルルも見たなら幻じゃないんだな」


「びっくりした」


「俺も。ちびるかと思った」


 ぶはっ!!

「やめっ!笑いが止まらなくっ!なるっ!」


 あはははははは!


 大扉が開かれた外はピンク!


「「「「何これ!!」」」」


「何あれ?」


「うん。よし!」


「えっ!うわわわわ!」


 お姫様抱っこぉぉ!!


 はははっ

「この抱き方、何気に初めてだな」


「いつも子供抱っこだもんね」

 あはは!



 外に出たら、ピンクの花びらの乱舞!!


「「わぁぁ!!」凄い!!」


「あ、これ!世界樹さんの花だ。これのお陰で女神様が……」


「世界樹って花咲くのか!?」


「だってピンクだったもん!」


 街中で大騒ぎ!

 わたし達の式の野次馬よりも、ピンクの花びらに夢中だ!

 世界樹を見ると、もういつもの緑になっていた。

 一気に花びら飛ばしたの!?

 大丈夫なの!?


「ジークフリード様!シャルルちゃん!おめでとう!とっても素敵だったわ!」


「「「「おめでとうございます!!」」」」


「「ありがとうございます!」これ、来てくれたお礼です!」


 瓶詰めクッキーをみんなに渡して行く。

 マジックバッグ籠ver.に詰めて、ジークのインベントリにしまってあったのだ。


「え!ありがとう!お祝いされる側なのに!気を遣いすぎ!」


「感謝の気持ちだけなんです。どうぞ」


 もちろん王様にも。


「おめでとう。素晴らしい式だったよ。まさか世界樹の花吹雪まで見られるとはな!」


「「ありがとうございます」その内シャルルと伺います」


「おまえの”その内”はアテにならんが待ってるよ」

 はははっ


 ジークは肩を竦めてる。


「お土産もありがとう。そろそろ戻るな」


「はい。お気をつけて!」


 ピュィ!

「行くぞ」


 そう言ったと思ったら、姿が掻き消えた。

 転移したんだろうなー。

 流石王様だ。





 まだ興奮冷めやらぬ大聖堂。

 影からシャルルを見る双眼が……。





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新連載始めました! この世界の片隅で。〜新しい人生楽しみます!〜もよろしくお願いします♪
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