監視突破方法。
「「「「お帰りなさいませ」」」」
「「ただいま」帰りました!」
「早速だが、カサンドラとチャーリー、話がある」
「畏まりました。部屋をご用意しております。こちらへ」
チャーリーさんの後を付いて茶話室に行く。
この家、いくつ茶話室があるんだろう。
カサンドラさんは、お茶の用意をしてくれてたみたい。
さっき買ったチーズケーキ2種類を渡しておいた。
「シャルル様がお作りに?」
「いえ、監視の目を確認する為に入ったパティスリーの物なの」
え、あからさまにガックリしてる!?
「じ、次回は作って来ますね!」
「あぁ!いえ!申し訳ないです!その、シャルル様のお菓子のファンだったもので……」
ふふっ
「ありがとう。内緒だけど、レシピはわたしなので、味は変わらないはずです」
コソコソ
「まぁ!内緒ですね?分かりました。墓場まで持って行きます!」
ぶふっ!
そこまで厳重じゃなくてもいいけど!
しーーっ!ね。
「シャルル?」
「あ、はい!お茶ありがとうございます」
カサンドラさん、ニッコニコ。
チャーリーさん、片眉上げて思案げ。
……あれは聞こえてたな。
まぁいい。
「当日の警備の事なんだ。現在監視されている。今日もアルディジャを確認した。だけど、2区では何も感じないから、俺達が1区に住んでると思ってるフシがある」
「ジークフリード様がSSランクなので、最上か1区だと思ってそうですな」
「恐らくそうだと思う。こうして出入りもしてるし、前回視線を感じた時は特別門入って転移で帰ったからな」
「しかし、2区でも活動はされているのですよね?」
「うん。2区は平民の方が多いから、範疇外にされてるんじゃないかな」
「と、言うことは、貴族。若しくは貴族に使われてる輩、となりますでしょうか」
「恐らく。今の所害意はなく、ただ監視してるだけみたいなんだ」
「……理由をお聞きしても?」
「気配探知を使った」
「何と!街中でですか!?なんて無茶を!お身体は大丈夫でしたか!?」
はははっ
「まぁ大丈夫だよ」
ん?
街中で気配探知はダメなの?
「情報が多いから、身体に負担が掛かるんだよ」
なでなで
あー、まぁ確かに。チカチカするわな。
でもそうか。普通はやらないのか。そうなのか。
なら、わたしは大丈夫だから、ジークの代わりにやろう。
何せ女神様謹製のこの身体だ。丈夫はお墨付き!
後から聞いたら、街中では気配”察知”は使う事あるけど、気配”探知”は危険なんだって。
万人が自分を好きなんて有り得ないし。
それならトーちゃん探す時に言ってくれたら良かったのにー。
知らんかった。
閑話休題。
「式の当日に、何か仕掛けて来るかもしれないので、配置は十分気をつけて欲しい」
「人員を増やしますか?」
「いや、ハンターにも警備を頼んであるから、人員は増やさなくていい。頼んであるハンターの特徴は…」
エアハルトさんから聞いた、ハンターの特徴を伝えて、間違って排除しないようにした。
つーか、そこそこ熟練のハンターを排除って、フランシア家の警備陣凄い。
「しかし、テイム調教ですか……アルディジャならすばしっこいですし、厄介ですな」
「逆に鳥じゃなくて良かったと思うべきかもな。アルディジャは飛べないから、追跡も振り切ろうと思えば振り切れる」
「……鳥が居ないとも限りませぬぞ。最悪はいつも想定しておかねばなりません」
「そうだな」
動物かー。厄介だなぁ……。
動物……。
動物の事は動物に聞くのがいいかな?
幻獣は動物じゃないけど、聞くのはアリかな?
「ジーク、ちょっと席を外してもいい?」
「うん?いいよ」
トイレに行くフリで部屋の外に出る。
一応どこに行くのかはデンタツのメッセージでジークに知らせておこう。
”世界樹に行って、カーちゃんトーちゃんに聞いてくるね!シャルル・エイプリル”
返事を待つ。
チリン
”分かった。ここで待つね。ジークフリード・エイプリル”
よし!”転移”!
シュンッ!
◇◇◇
「世界樹さん、こんにちは!カーちゃんトーちゃん居ますかー?」
さわさわ……
キキィ!キィ!
キィ!
「カーちゃん!トーちゃん!教えて欲しいの、テイム調教された動物の監視を避ける方法ない?」
キィ?
キィ?
「あのね、わたしとジークが監視されてるの。なのでそれを外したいの。テイム調教されてる子は、捕まえたら、その子の主人に殺されてしまう可能性があるから、それはしたくないのよ。何か手はない?」
キィ……キィ!
キキィ!
「え?一緒に来るの?」
キキィ!
キキィ!
「どうにか出来るって?」
キィ!
キィ!
ふたりとも胸を叩いてふんぞり返ってる!
さわさわさわ……
「あ、はい、花の月1日に式で間違いないです」
さわさわ……
キキィ!
キキィ!
「分かった。お願いしてもいい?」
キキィ!キィ!
キキィ!キィ!
ふふっ
「では一緒に行こう!世界樹さん、行ってきます!」
キキィ!
キキィ!
ふたりを連れて、フランシア家に”転移”!
シュンッ!
◇◇◇
「ただいま戻りました」
キィ!
キィ!
「「は?」」
ぶはっ!
「カーちゃんトーちゃん、よく来たな!」
しゅるるるん!とジークの肩に乗るカーちゃん。
スリスリしてる。可愛い。
「あ、あの、カーバンクル様達は、どこから……」
あ、やべぇ。




