街歩き。
大聖堂の帰りに商業ギルドに寄ってポーションの納品をする。
ヘルベスさんにはメッセージを送ってあるが、忙しくて今日はギルドに居ないらしい。
フルーレフェスあるからねー。
「こんにちは!ポーションの納品に来ました。来月は月初めに来られないので2ヶ月分です。ヘルベスさんにも了承頂いてるので、管理をお願いします」
「こんにちは!態々ありがとうございます!フェスの準備はほぼ終わってるんですけど、細々と出てくるもので、ギルマス不在で申し訳ないです」
「いえいえ!お忙しいのは分かってますから大丈夫です。ではお願いしますね」
「はい!キチンと管理させて頂きます!」
「ジークお待たせ!」
「はいよ、他に何か用事はある?」
「うーん……たまには外食したいけど、まだちょっと無理よね」
「そうだなー。店で食べるのはもう少し後がいいかな。万が一野次馬が出張ったら、お店に迷惑になるかもだし。でもいつまでも隠れてるとレア感が増して、余計に騒ぎになりそうだから、ちょっとずつ街歩きもするか。何か買って帰ろう」
なるほど。
「うん、そうだね!じゃあ目に付いた美味しそうな物買おう!」
はははっ
「それいいな!」
手を繋いで街歩きなんて久しぶり!
商業ギルドを出たらザワついたけど、前回みたいに囲まれる事はなかった。
ホッ
2区の市場近くにあるパン屋さんで、サンドイッチを買った。
サンドイッチと言えば丸パンなんだよねー。
と言うか、大小の違いはあれど、全部丸い。
食パンの型も登録した方がバリエーション増えそうだよね。
あ、でもガルボさんがてんてこ舞いになりそうだ。
もう少し後にしよう。
「あっ!泡ジュース!ジークも飲む?」
「うん、飲む飲む」
「ちょっと並んでるね、待ってもいい?」
「もちろん」
最後尾に並んだら
(以下棒読み)
「あっ!俺用事思い出したー」
「俺もだー、お先どうぞ!」
「私も!」
と、並んでた人達が次々と列から外れて行った。
これは……
「あぁ気を使わせたなぁ。別にいいのにな。泡ジュースふたつ」
「あっ!!はいっ!!いつもありがとうございますっ!」
ふたつ受け取ってお金を渡す。
「まいどありぃぃっ!!」
ふふっ
「ここの泡ジュース、美味しくて好き!」
バタリ
「「えっ!!」大丈夫ですか!?」
「だだだだいじょうぶれす!!ありがとうごじゃます!」
あははははは!
「また来るよ。おーい!気遣ってくれてありがとう!でも次回から普通に並ぶからなー!」
”ひゃっはー!””いいえー!お気になさらずー!”
ふふっ
うん、ちょっとずつ街に出ないとダメだね!
確かにジークの言う通り、レアキャラになったらザワザワするのは道理だ。
しょっちゅう見かけたら、レアキャラにならないから”あ、いるなー”って思われる位にならないと!
えぇ、もうね、有名人は受け入れたよ。
凱旋パレードもやっちゃったし、この目立つ銀髪でバレるよね。
最近気づいたのよ。
わたしの他に銀髪を見かけないの。
最初に街に出た時は、みんなカラフルな髪色だから、きっと埋没出来ると思ったんだけどなー。
今の所目撃ZERO.
はははのはー。
開き直って今に至る。
しかも、このイケメンオーラ出しまくりのジークと居たら、そりゃー目立ちますって。
だからもう気にしない!へへん!
「そう言えば市販のお菓子買った事ないから買ってみようかな」
「あぁ言ってたね。お菓子を買えないのか、いつもお菓子を作ってくれる人がいるのかと勘ぐったよ」
はははっ
「そんな事言ったっけ?」
「モーリェに行く途中だったよ。俺記憶力はいい方なの」
ふふん
マジか!自分で言って忘れてるとは!
「どの店で買う?」
「決めてないから、このまま歩いて初めに出会ったお店にする!」
はははっ
「OK!」
探すと意外とないもので、雑貨屋さん、服屋さん、本屋さん、うーん。
あっ!あった!
「ジークここで買ってみる」
「はいよー」
お店に入って店内物色。
ふむふむ。
あっ、チーズケーキがある!へぇ、レシピ買ってくれたのかな?
焼き菓子数種類買って外に出る。
「お茶する時に食べてみようね」
隣でジークはニコニコしてる。
そう言えば、
「ジークは買い物に付き合うのに抵抗はないの?」
「え?何で?」
「一般論として、男性は女性の買い物に付き合うのは面倒って思うんじゃないかなーと」
「そうなの?俺は大丈夫だけど」
わぁ。いい人だ。
「あぁでもシャルル以外なら面倒と思うだろうな」
あ、わたし限定だった。
それが最初だけじゃない事を祈ろう。うん。
「帰ろうか!」
「よし、徒歩?ゴレ車?」
「久しぶりだし、歩いて帰ろう」
手を繋いで、笑いあって、視線は感じるけど害意はなさそうだし、春の街をてくてく歩く。
まだ春になったばかりなので、芽吹きもこれからだし、街の色彩は地味目だ。
でも風は暖かいし、うん、気持ちいいね!
「あっ!ジークさんとシャルルさん!」
ん?




