2人のギルマス。〜その1〜
突然現れた商業ギルマスさん。
何か気になる事言ったっけ??
思い返してみても、そんな事ないと思うんだけど……。
「で、ポーション買ったかい?」
「いえ、これからです」
「どれ欲しいの?」
「そうですね……」
てか、ポーションでかくね?わたしの作ったやつの倍近くあるんだけど。
「あのぅ、このポーションて何回分ですか?」
「ん?1回分だね」
えっ!?マジか!!
「そんなにどんぐり眼になったら目が落ちそうだね」
と笑う、2人のギルマス。
「えっと、ではこのヒット、マナ、毒消し、状態異常の4種を1本ずつ下さい」
「自分で使うの?」
何だろう、背中にひやりと汗が流れるんだけど……。
言っちゃう?自分のと比べたかったと。
元々商業ギルドに相談に行く予定だったし、ここで言っちゃってもいいかなぁ。
よし、2人ともギルマスだし、何かあっても口は固いだろう。言っちゃおう。
「実は、自分で作ったポーションと比べてみたかったんです。先程、商業ギルドで相談に行くと言ったのは、ポーションの事でした」
「なるほど。今そのポーション持ってるかい?」
「はい」
バッグから出すふりでインベントリからヒットとマナを出す。
「え?随分小さいね」
「はい、売ってるポーションを見て、サイズが違うと思いました。でもこれで1回分のはずです」
「鑑定していいかい?」
「どうぞ」
「は!?こ、これは……、おい、ちょっと見てくれ」
「うん?……なに!?」
なになになに!?なんか変なの!?
「お嬢さん、これ自分で作ったって本当かい?」
「はい、あ、シャルルでいいです」
「うーーーん……、じゃあシャルル、このポーションな、えらく出来がいいんだ。最高品質。持ち運びにも、小さいから場所を取らないし、量も少なくて、何回も飲む必要があった時、使用者の負担が少ない」
「それに、この瓶の形。蓋と本体に繋ぎ目がないから品質も悪くなりにくい」
あー、アンプルの形だからね。
「シャルル、製薬とクリエイト持ちだね?しかも魔法のレベルも高い」
たらーーーーり……。
まぁバレるよねぇ……。
「言いふらさないから、そんなに警戒しなくても大丈夫だよ」
そう言って苦笑するギルマス。
「えーと、はい」
「だからマリアーナも欲しがったのか。それにモデルも出来そうな逸材だもんなぁ」
「なに!?マリアーナとも知り合いか!?」
「路上でナンパして玉砕したらしいよ」
はははっ!
「で、シャルルはこれをどうしたい?」
ん?どうしたい?
最初は売れるならと思っていた。
まぁお試しで作って、在庫が増えたからだけど。
まさかこんなに違いがあるとは思ってなかったんだよなぁ。
うーん……。
「もし売るつもりがあるなら、買い手は多いと思う。しかし薬師ギルドに登録してからでないと売れない。薬師ギルドに登録したら、ヤツらきっと引き込もうと躍起になるだろうな」
は?
そんな制約があるとは!!
めんどいのは嫌ァ!!
「まぁ、服飾、ハンター、商業のギルマスの後ろ盾があれば、薬師ギルドなんぞに口出しさせないけどな」
何ですと!?
「おう!いいぞ!そのポーションが使えるなら、後ろ盾なんて、いくらでもなってやるぞ!」
わははは!
ハンターギルマスさん……何か軽くないですか?
「で、どうする?」
どうしよう!?
※誤字報告ありがとうございます!




