ジークの登城。〜その1〜
翌日、ドレスと騎士服に掛かる時間をスキルで確認したら、ドレスは80時間、騎士服は50時間と出た。
えぇ、もちろん見直しました。2度見しました。
気が遠くなる……かと思ったけど、納得した自分も居る。
そりゃそーだよなー。
刺繍にビーズの縫い付けに時間掛かるよなー。
とりあえずスキル任せなので、拘束時間は長いが何とかなるだろう。
ドレスは1日4×2で10日と、騎士服は4×2で6日と2時間だ。
約2ヶ月と半分位で16歳になって結婚かぁ……。
今でも一緒に暮らしてるから実感湧かないな。
当日を迎えたら何か変わるかな?
でも、待ち望んだ日だ。
ジークと名実共に家族になる。
うん、楽しみ♪
◇◇◇
「じゃあ行ってくるけど、何かあったら必ずデンタツな?時間とか気にしなくていいから、約束な?」
ふふふっ
「大丈夫だよ。でも約束するね、何かあったらデンタツする。ジークもだよ?何かあったらデンタツしてね?」
ちゅ
「うん、約束」
「行ってらっしゃい」
……ちゅ
「あぁっ!シャルル残して行くなんて!速攻終わらせて帰るからね!」
ぎゅーっ
「うん、待ってるから早く帰ってね」
くすくすっ
「行ってくるね」
「はい、行ってらっしゃい。頑張ってね!」
今日はジークが登城する日。
褒賞の辞退と、今後の確認なんだって。
SSランクは政治には関わらない。
なので、基本はハンターギルドの所属のままだ。
だけど、国のイベントには参加義務がある。
今後、本格的に国交が成された時に、どのような立ち位置になるかの確認なんだそうだ。
ジークは、基本的には関わらない方向で行きたいらしいが、国のお偉いさん達が、どのような考えなのか明確にしておかないと、後で面倒だからね。
ジークがんばれ!
◇◇◇
【ジーク視点:王城にて】
「ジークフリード・エイプリル様!ご登城なされました!」
「ジークフリード・エイプリル様、御足労ありがとうございます。皆様お揃いでございますので、ご案内致します」
はぁ、面倒くさい。
さっさと終わらせてさっさと帰ろう。
廊下ですれ違う人達は頭を下げて居るのに視線を感じる。
どこだ?
あぁ気持ち悪い。
呪術避け、うん、持ってる。
結界も張っておこう。
増えた魔力のお陰で、長時間結界を張っても問題なさそうだ。
いっそ可視化しておくか?
牽制にはなるだろうから、薄く色付けしておこう。
「エイプリル様……、その、どうされました?」
「あぁ気にするな」
「しかし、それは結界、では?」
「そうだ。気味の悪い視線を感じるのでな、念の為だ」
「なっ!?どこでしょうか!衛兵を呼びますか?」
「いや、このままでいい。その為に可視化してある」
「畏まりました。しかし、警備強化はさせて頂きます。これ、そこの者」
コソコソ……
「はっ!直ちに!」
やれやれ……。
この城、実は穴だらけなんじゃなかろうか。
いや、クリス兄さんや、ユージーン兄さんが、そんなヘマする訳ないな。
武器の携帯は許可されていないが、インベントリが使えるので、武器は持っている。
いざとなったら……。
「この扉からは近衛兵がご案内させて頂きます」
「あぁ、ご苦労だった」
「勿体ないお言葉でございます。ではこれにて失礼致します」
この先は許可された者しか入れない第4区域になる。
案内は……ははっ、クリス兄さんか!師団長自らとは、何だか変な感じだなー。
「ジークフリード・エイプリル様、議会室までご案内させて頂きます」
「あぁ頼む」
「はっ!では参ります」
コソコソ
「クリス兄さん、さっき変な視線を感じたんだけど」
「何?どこでだ?」
「ここに来るまでの廊下、第1扉と第2扉まで」
「は?第2扉もか!?衛兵何やってんだ!」
「流石に第3扉に入ったら感じなくなったけど、第2扉に入れる貴族だと上位だろ?」
「あぁ、伯爵から上だな。伯爵でさえそんなに見ないぞ」
「なら公爵、侯爵、か。やたら粘っこい気持ち悪い視線だったよ。悪意と言うより、纏わり付く感じ」
「……呪術避けは持ってるな?」
「もちろん。結界も張っちゃったよ」
「あぁそれでいい。まったく、掃除のしがいがあるな」
ピュィ!
「行け」
「態々影動かさなくても」
くくくっ
「こんな時にしか使う機会ないしな」
ははっ
「まぁかなり強力な結界張れるようになったし、滅多な事ではやられないよ」
「何言ってんだ。やるやらないの前に、未然に防ぐ事が大事なんだぞ?御身に何かあってからでは困りますゆえ」
はははっ
「兄さんにその言葉遣いされると笑っちゃうな」
「笑い事じゃねぇっつーの。ジークも影持てよ」
「え、やだよ。監視されるのは御免蒙る」
「……まぁ今じゃ国1番の魔力持ちで、剣術も一流だしな。でも油断するなよ」
「もうあんな思いするのは懲り懲りだからね。大丈夫、油断しないよ」
「おっと、大分時間喰ったな。開けるぞ。俺は扉の内側に控えてるからな」
「あぁ」
「ジークフリード・エイプリル様!ご入場致します!」
「待たせた」
さぁ、何が出るやら?
※誤字報告ありがとうございます!
あぁっ!恥ずかしい!間違いをっ!(*ノωノ)キャー!!




