マリアージュ。〜計画その6 日取りとドレス〜
翌日、大聖堂に行って日取りを決めてきた。
「では、花の月1日という事ですね。警備とか、今から手配して間に合いますでしょうか……」
「あぁいや、身内だけで執り行うので大丈夫だ」
「えっ!?SSランクの方のお式が身内だけでございますか!?」
「秋にちゃんとお披露目するので、式は身内だけだよ。で、大司教に相談があるんだ」
「はい、何でございましょう?」
「式は外部に漏らさないでくれ」
「は?」
「婚姻の公示をするのは式が終わってからになる。なので、内密に、いや、極秘でお願いしたい」
「!……はい、畏まりました。しかし、何故?と聞いてもよろしいですかな?」
「あー、貴族連中からの横槍を避けるためだ。婚約者が居るのに未だに俺に釣り書を送り付けて来る奴がいて、ほとほと困っている。先に公示されてしまうと当日邪魔されそうだからな」
「ははぁ……なるほど。そういう事であれば全面的にお力になりましょう!もちろん、信者の事情を言いふらす輩は教会にはおりません。が、万が一の為に口外法度を申し付けましょう。お任せ下さい!」
ホッ
大司教様が味方に付けば、お式は大丈夫そうね。
日取りは決まった。
後は、招待する人、ドレス……後は何だ?
あっ!引き出物も?
……結構やる事ありそう。
その後、式の時間や規模はどれ位になるか等、話をした。
「その日はエイプリル様達のみにしますので、お時間はお気になさらずとも良いです。えぇえぇ、他の者は何人たりとも足を踏み入れさせません!」
大司教、めっちゃやる気だ。
もの凄くやる気に満ちている。
ありがたいけど、メラメラしてるのが見えるの怖い。
「歴史に残る方のお式を、我が大聖堂で行って頂けるのです!張り切りますよ!」
うむ。ママの言う通り、大聖堂にして正解だった。
もしこれで市井の小さな教会で式を挙げていたら、後々まで禍根を残しかねない。
ママ流石です。
「では、招待客の人数や、式の手伝いの人数、その他については、また後日来るのでその時に」
「畏まりました」
そうして大聖堂を後にした。
◇◇◇
「大司教様、張り切ってたね」
くすくすっ
「あぁ、あの分なら大丈夫そうだな」
「お式まで、時間が少ないから急いで準備しないとだね!」
「シャルルはドレス作るんだろう?招待状は俺が書くよ。呼びたいのは、いつものメンバーの他にいる?」
「ううん。そんなに知り合いしないし、あ、アレクさんや5人組は?」
「ん?あぁそうだなー。まぁ警備員がてら呼んでもいいか」
ぶはっ!
「ちゃんと招待客なんだから、警備させたらダメよ」
ちゅ
「分かってるよ。アレクもああ見えて口は硬いから大丈夫だろ」
あっ、そうか、アレクさんも貴族なんだった。
「うん。お貴族様にバレないように」
しーーっと人差し指を唇に当てる。
ははっ
「バレたらどこが情報源だか、すぐ分かるな」
ジークも一緒に、しーーっ
ふたりで笑い合う。
穏やかな時間。
◇◇◇
さて、ドレス。
ウェディングドレスかー……。
感慨深い。うむ。
わたしは身長低いからなぁ。(知り合いの中限定)
うーーーーん……。
とりあえず自分を鑑定。
おっ?
おぉぉぉぉぉぉ!!!
身長伸びてるぅぅぅぅ!!
2cm!!
春から2cm伸びてるっ!!
やったぁぁぁぁぁ!!
はっ!!ちっ!乳も!!ちょっとだけ大きくっ!!
おしりは、え、何で?変わらん。
ウェストも変わらん。
いや、ウェストはいいよ。うん。
でも!おしりは!増えてて欲しかったっ!!
ボンキュッボンじゃなくなるやん!
おしりも!キュッと上がった丸くて女らしいラインの美尻になりたいのに!
むぐぐぐ……。
まだ15歳だ。今後の課題だな。
とりあえずドレスだ。
そうだなぁ……。
上半身に目が行くようにして、がっつり背中を開けたオープンバックでもいいかも。
ビスチェにしちゃうのもアリかな。
いやでも、あんまり露出が多いのもイカンな。
ビスチェにするならレースのショールは必要だ。
オフショルは前の夏に結構多用したから新鮮味に欠けるよね。
オフショルはパス!
然らば、大きめのパフスリーブ。
……なんか違う。
うーんうーんと、いくつかのデザインを描いてみる。
オープンバックでAライン。
裾はロングトレーン。
ビスチェでプリンセスライン。
プリンセスラインは謁見の時に着たな。
パフスリーブでベルライン。
スクエアネック。
上も下も丸いのだとダルマみたいよね。
ダルマ?
首までレースのタートルネック、は、ちょっと年齢的に大人っぽ過ぎるかなー。
いっそ前をミニでロングトレーンとか?
身内だけだし、それでもいいかもしれない。
いややっぱり、そこまで砕けたのもどうなの。
それに下半身に目がいくし。
踝までの長さでバレエのラ・シルフィードのロマンティックチュチュぽいのとか……。
そうだ、ジークの服もドレスに合わせて作ろう。
騎士服みたいなヤツなのか、ペンギン服のモーニングか?
うーん……それも考えないと。
いくつか描いてマリアーナさんに見てもらおうかな。
この世界のウェディングドレスがどんなのかも確認せねば!
ふんすっ!
※誤字報告ありがとうございます!




