マカロン・フィナンシェ・マドレーヌ。
翌日、料理長さんにお菓子のレシピを持って行った。
「これはこれはお嬢様!また新作ですか!?」
「え、お嬢様はやめて下さい。シャルルでいいですから」
「いえ!そういう訳にはいきません!お嬢様は既にフランシア家にとって、なくてはならない存在ですからね!慣れです!慣れ!」
そう力一杯言うけど、慣れないよ!
この料理長さん、以前持ってきたレシピのサンセバスチャンを完璧に作り上げ、ママのお茶会で大成功を納めてから、わたしを持ち上げまくるんだよぅ!
”お嬢様のレシピ講習がなければ作れませんでした!”
そう言って両手でぶんぶんと握手された時には、腕がもげるかと思ったわ。
「今回は、大きなケーキではなく、小さな焼き菓子です。型が必要なので、それも渡しますね」
と、フィナンシェとマドレーヌの型を見せる。
「ほぅ……これは変わった型ですな。貝殻ですか?」
「はい。この形になるんです」
「可愛らしいですね!お茶会でウケること間違いなさそうです!」
そうでしょう?可愛らしいでしょう?
お嬢様方の小さなお口にもバッチリですよ!
「で、今回も講習して頂けるんで?」
あっ、そうか。
マカロンのマカロナージュとかは、レシピじゃ分かりづらいもんね。
「では、ここに居る事を伝えて来るんで、少しお待ちください」
「あぁ!伝言を頼みましょう!ステラ、頼んでいいか?」
「はい!では奥様にお伝えして来ます!」
お仕着せさんのステラさん?が、すっ飛んで行った。
素早い。
今日ジークは、パパに付いて城に行った。
王様に式の事を伝えに行くのに、パパだけじゃ色々押し切られそうだからって。
……何を言われるんだか。
しゅたっ!とステラさんが
「戻りました!奥様から、楽しみにしてるわ、と言伝をお預かりしました!」
え、試作品はチャーリーさんに渡したけど。
ふふっ
「屋敷に漂う甘い香りも楽しみなんでしょうね」
なるほど!確かに!あの香りは素晴らしい。
とても素晴らしい。
「じゃあ張り切らないとね」
ふふふっ
◇◇◇
お砂糖を粉糖にする所からなんだけど、この料理長さんは魔法を使えるので、難なくクリア。
アーモンドプードルは市販されている。
後は卵白。
基本これだけだ。
そう!マカロン!
材料シンプル〜♪
早速作る。
メレンゲ!粉糖投入!アーモンドプードル投入!
ボールに生地を擦り付けるようにマカロナージュ!
リボンの様に落ちるようになったら、絞り袋に入れて絞る!
乾かす!
焼く!
その間にクリーム!
まだフランシア家にはチーズケーキのレシピはなさそうなので、クリームチーズがない。
バタークリームにしよう。
ラム酒漬けのレーズン持ってきたので、それを入れて〜♪
焼けたら冷ます!
うんうん!つやつやでピエも可愛く出来てる!
クリームを挟んで……
「はい、完成です!」
「これがマカロン!可愛らしいです!食べてみても?」
「どうぞ〜」
ぱくっ
「……うむ、うむうむ、これは美味しい……サックリ、クリームのラム酒漬けのフルーレ(ぶどう)がいいですね」
「バタークリームじゃなくても中のクリームは何でもいいんです。ジャムでもチョコでも。生地にココアを入れたら、チョコマカロンになります」
熱心にメモする料理長さん。
待たずに、フィナンシェとマドレーヌ行くよ!
フィナンシェは、アーモンドプードルと焦がしバターがキモ。
焦がして、濾して、生地に加える。
これは難しくないので、マドレーヌと並行して作るよ!
フィナンシェは卵白のみ。
マドレーヌは全卵。
うーむ、マカロンも卵白だけだったし、卵黄が残るので、プリンのレシピもあげちゃおうかな。
よし!
型はないけど、キャセロールででっかく作るか、ココットで小さく作るかで対応しようそうしよう。
生地を寝かせる時間で両方の生地が出来たので、同時に焼く。
焼き時間に多少の違いはあるが、様子を見て出せば無問題。
うん、両方ぷっくりおへそが出来た!
「こっちの貝殻型がマドレーヌで、インゴット型の方がフィナンシェです」
「ほうほう」
ぱくっ
「フィナンシェの方が香ばしいです。サクフワですね。マドレーヌはふわっと優しい感じがします」
「今日の3種は焼きたてよりも、翌日の方がしっとり美味しいですよ。で、卵黄が残ったので、プリンのレシピもあげます」
「ぷりん、ですか?」
「では作りますね」
カラメルソースは、苦めの大人ver.
ガルボさんにあげたのと同じやつ〜。
今日はキャセロールで作る。
どどーん!とね!
プリンも簡単なので、ちゃちゃっと!
湯煎焼きにして、スが入らないようにぷるぷるに!
魔道具のオーブンは、温度調節も簡単だし、使い勝手がいいわ。
こちらも出来上がり!
後は冷やすんだけど、今回は魔法で冷却。
時短時短。
「おぉっ!ぷるんぷるん!何だこれは!」
「これがプリンです。小さな型で作るのもアリですよ」
「もうお茶会のお菓子に困る事はないですな!いやぁ、ありがとうございました!」
ママがマウント取れるなら、これ位、へでもないさ!




