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薬師ギルドからの召喚状。〜その2〜

「薬師ギルドマスターからの召喚状(・・・)により参りました、シャルル・エイプリルと申します。ギルドマスターにお取次ぎをお願いします」


 ぽかーん

「はっ!あ、はい、少しお待ち下さい」


 ママが言ってた、”女の戦闘服はドレスよ!”

 とは言え、流石にギルドにドレスでは来られないので、普通よりドレッシーなワンピースだ。

 毛皮のコートと紫紺のカシュクールのワンピース。

 普段よりちょっとゴージャス。

 いや、わたしが選んだのは普通のワンピースだったんだけど、ジークが、


「姿で威圧するんだ!」


 と言って選んだ。

 ちょっと何言ってるか分からない。


 でもまぁヘルベスさんも、ラシードさんも、それでいいと言うから、それでいいんだろう。

 ちょっと何言ってるか分からない。

 大事な事だから2回言ったよ!



「お待たせしました、こちらへどうぞ」


 そう言えば薬師ギルドの受付はお姉さんじゃなく、男性ばかりなのは何故だろう?

 ……まぁいい。戦闘開始だっ!!


 コンコンコン

「シャルル・エイプリル様をお連れしました」


「入れ」


「初めまして。シャルル・エイプリルと申します。この度、召喚状(・・・)を頂きましたが、何か問題がありましたか?」


 座る前に、こっちから仕掛けてやる!


 ぽかーん

「…………は」


「は?」


「……は!あ、いや、どうぞ掛けて下さい」


 座るとお茶を持ってきたお兄さんの手がふるふるして茶器がカチャカチャと鳴る。

 何だ?


「下がれ」


 無言で立ち去るお兄さん。

 んー?


「まぁ、お茶でもどうぞ」


 ……何やらニヤついてるけど、何だろう。

 いやーな予感。


「どうぞ」


 2度も勧める?

 茶器を持って”鑑定”


 ”コルサーナ国サンディア地方タージェン産紅茶。プロプス入り”


 え?プロプス?って何?

 知識庫探るが出てこない。

 ならば!調薬スキルの知識出てこい!


 ”プロプスは睡眠薬。睡眠障害の薬。プロフェースの実を潰してハルリランの雫と3:1で混ぜる。服用する量によっては、数日目覚めない事もある。微量の場合、意識混濁。即効性あり。適量は数滴。用法用量を守り服用するように”


 ……。

 これはあかんやつ。

 手に持った茶器をテーブルに戻す。


「お茶の前に、何故呼ばれたのか確認したいのですが」


 ちっ

「……何故も何も、あれだけのポーションが作れるのに、何故薬師ギルドで作らない?何故個人でハンターギルドに卸してる?薬師ギルドの功績にならないだろうが」


 舌打ちしたよ!

「何故も何もって、キチンと販売許可証も貰ってますし、何なら出店許可証もあるのに、何故薬師ギルドで作らないとならないんですか?それに、わたしは商業ギルドの一員でもあるので、個人でハンターギルドに卸してる訳ではありません。商業ギルドを通してます」


「……何だと?寄りにもよって、ハンターギルドだけじゃなく!商業ギルドも懇意なのか!ますますけしからん!薬師ギルド所属なら薬師ギルドに貢献しろ!」


「ポーションが売れたら、薬師ギルドにも多少は貢献出来てる筈ですが?」


「多少ではなく!全面的に!だ!」


「仰る意味が分かりませんね。先程も言いましたが、販売許可証、出店許可証があるので、どこで売ろうと、わたしの好きにしていいはずです」


「そもそも!そんな登録認めた覚えはない!いいか?よく聞け!今後もポーションを売りたければ、私に逆らうな!」


「は?」


「売れないように圧力を掛けることもできるんだぞ?それか……私の女になるか?」

 ニヤニヤ


 キモっ!!

「へぇ?それでこのお茶ですか。プロプス」


 ぎくっ

「な、何の事だ」


「入ってますよね?睡眠薬。何の為に?意識朦朧とさせて、何をしようとしてました?」


「何の事だか知らん!」


 あっ!お茶こぼそうとした!させるか!

 スっ!と鞄にしまう振りでインベントリへ!


「貴様!それを出せ!」


「何故?調べられたら困るから?」


「調べても何もないっ!」


「なら別にいいじゃないですか、そんなに慌てて変ですよ?」

 くすくすっ


「……貴様、俺を舐めてるな?元貴族共と繋がりがあろうが、所詮単なる新人薬師だ。そんな奴が残れるほど甘くないんだよ!貴様のポーションが売れなくなる前に薬師ギルドに納品しろ!」


「あぁ、そういう事。それで?何か書類でも書かせるつもりでした?残念でしたね、わたしも薬師ですもの、自分の口に入る物くらい確認しますよ」


「そこらの鑑定で出るようなヘマはやらん!」


「あぁ……語るに落ちましたねぇ。プロプス入れたの自分が自白しちゃいましたね」


「ふん。ギルドマスターの言葉と新人薬師の言葉、世間がどっちを信じると思ってるんだ!それを寄越せ!」


 あっ!鞄ひったくられた!

「バッグを返してください。個人の持ち物ですよ?」


「ギルドの備品を取り返すだけだ!」


 あぁあぁ、そんなにバッグ漁っても出てこないってー。


「どこに隠した!!」


 ちょっ!!

「止めて!触らないで!!」




 カチャカチャ!ドンッ!!


「なっ!!誰だっ!!」


 お!ヒーローは遅れてくるってか?




この後19:00に閑話が入ります。

読まなくても本編に影響ありません。

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新連載始めました! この世界の片隅で。〜新しい人生楽しみます!〜もよろしくお願いします♪
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