パーティーでお披露目。
「ちょ、なにこれケーキなの?最早芸術じゃない……」
「そんな大袈裟なモノじゃないですよ。大きさの違うケーキ重ねただけですって」
上からチョコ、いちご、バニラのスポンジだけどねー。
ピンクを出したいけど色粉ないし、いちごをドライにして粉末にして入れたんだけど、たまご色に押されてキレイなピンクにならなかった。
ちぇー
「うわ、これ凄いな!三段重ねになってんの!?」
「味もそれぞれ違いますよー」
よしよし!掴みはおっけー!
「ちょ!サラナ!つまみ食いするな!まだ早い!」
「えぇー今!今食べたい!」
「相変わらず仕事の鬼だな!後でにしろ!」
いや、いつ食べてもいいですよ?
何なら、しょっぱい甘いの無限食いでも!
「あ、すんません。マナー違反ですけどデンタツ出ます。ちょっと外しますね」
と、ジークが出ていった。
何かあったのかな?
サラナさんとデルタさんがケーキの前から動かない。
てか、デルタさんもか!
そんなに甘党だったっけ?
2人して飾りで盛り上がってるみたい。
口金駆使してクリームデコしたからね!
暫くわいわい話してたら、ジークが戻ってきた。
「シャルル!」
「うん?」
「俺の姓、エイプリルになったよ!」
「「「「「「「えっ!?」」」」」」」
「申請通って、その連絡だった!」
マジか!
はははっ
「ジークフリード・エイプリルだ!これからもよろしくな」
「やったー!」
みんなが何だ何だと聞いてきたので、エイプリルになった話をした。
「おぉぉぉぉ!おめでとう!」
「エイプリルにしたの!?ホントに?マジか!」
「結婚しちゃえば手続きは1回だったのに、何でまた申請にしたの?」
「結婚式するまで待てなかったから」
むふん!
と、ジークの言葉に、
「呆れるやら微笑ましいやら!とにかくおめでとう!」
「まぁ実際いつまでも”はぐれ”じゃ居られないし、それならエイプリルで申請した方が変な姓付けるより良かったからってのもあるしね」
結婚するには書類出して、はい終わりって訳には行かないんだって。
ちゃんと証人連れて、教会で手続きという名の結婚式をしないと認められない。
証人は、親がいたら親になるし、居なければ親の代わりの人を立てないとダメなんだって。
ジークの親は王弟なので、日取りも相談しないと決められないから、ちょっと先になる。
こぢんまりした式でいいんだけど、SSランクだし、それは無理そうだって。
なので、先取りのエイプリル。
「シャルル、手続きはもう少し先だけど、実質もう家族だよ」
家族。
じんわりと心に広がる。
「うん。嬉しい。凄くすごーーく!嬉しいっ!」
「「「「「「おめでとうっ!!」」」」」」
パチパチパチパチパチパチ!
「家族披露パーティーになったな!」
「結婚披露はまだこれからね!そっちも楽しみね!」
「ジーク、シャルルを幸せにしろよ?俺らの可愛い妹分だしな!」
「わたしもジークを幸せにする!」
「じゃあジークとシャルルの未来に!」
「「「「「「「「かんぱーーい!」」」」」」」」
あはははははは!
おめでとう!
幸せにね!
そんな言葉を受け取る日が、こんなに早く来るなんて思ってなかった。
1人でいた日々が遠く感じる。
まだこの世界に生まれて1年も経ってないのに、もう手放せない。
「ありがとうございます。結婚式にも来てもらいますよ?」
「呼ばれなくても行くよ!」
あはははははは!
「あっ!じゃあこのケーキは家族記念にしないと!」
記念日にケーキを食べる習慣もあるのか!
「切るのはジークだな!キレイに切ってくれよー」
「俺か……シャルル手伝って!」
ぶはっ!!
まさかの最初の共同作業!?
「三段重ねだけど、ひとつひとつ分けて切るよ?」
上から下までナイフ入る場所なんて作ってないし!
1番上のチョコケーキ、2段目のいちご、3段目のプレーンなバニラ。
それぞれをお皿に盛る。
解体すると、ちょっと無惨。
「あぁっ!キレイな飾りが!」
「飾りも食べて下さいね!」
「綺麗なものは綺麗なままで取っておきたいけど、食べて美味しい幸せもあるのよねぇ」
しみじみ言うのはサラナさん。
その割に食べるスピードは早いんですけどね。
みんなでわいわい!
無事を祈ってくれていて、ありがとう。
わたしとジークを祝ってくれて、ありがとう。
楽しくて嬉しくて、ほっこり心が暖かくなる。
「最下層の報告が終わったら、本格的に結婚式の準備だな!忙しくなるぞ〜!」
「あ、シャルルはハンターどうすんだ?続けるのか?」
「ジークとチームになります。なので、ジークのお手伝いですね」
「そっか。SSランクに討伐依頼はそうそうないし、政治にも関わらないし、実質ヒマになるんじゃね?結婚式の準備するには、もってこいだな」
はははっ
「現実味が帯びてきたなー」
ホントに。
わたしもちゃんと話さなくちゃ。




