報告書とミニミニパーティーのお誘い。
翌日からジークは報告書に取り掛かった。
わたしは時々、あーだった?こーだった?と聞かれた事に答える感じだ。
最下層手前のヒュドラの素材はまだ出していない。
報告書と共に出すそうな。
まぁ先に出せ出せと言う研究者も居るが、無視している。
筆頭がユージーンお兄様と言う事は聞かなかった事にする。
その間に、ジークの実家に持って行く泡石ジャグジーの背当てを作る。
とは言え、どんなお風呂の形なのか実際に見ていないので、背当てと言うよりも、敷き型がいいと思い直した。
敷き型なら、聖域の岩風呂と同じように切ればいいので、すぐに終わってしまった。
まだ街には出ていない。
今出ると大変だと言う事は想像に難い事ではない。
これが王都だけじゃないっつーのがなー。
……変装グッズでも作るかね。
とりあえず必要な物はないので、余り不便ではないのだけれど。
「シャルル、ゴライアスの倒し方は書いても大丈夫だよな?」
「あぁ踵の上への攻撃ね、うん、大丈夫。隠れてたのも書いておくの必要かも」
ジークは時系列を確認中。
アレクさんと時々デンタツしている。
アレクさん、デンタツ持ってなかったけど、帰って来てから買ったんだって。
呼び出しが煩わしいという思いより、不便だという思いの方が勝ったらしい。
まぁダンジョンに潜る前に決めてたらしいけど。
あ、焼けた!
わたしはマカロンとマドレーヌ、フィナンシェの試作中。
「甘い、いい匂いするね」
「マカロンってお菓子なの。お茶にしようか?」
「もう少し待って、キリのいい所まで書いちゃう」
ならば、クリームをもう1つ追加してみよう。
ラムレーズンのバタークリームと、ハニークリームチーズ、チョコガナッシュ。あと1つは、ジャムとバタークリームにするか。
マカロンって、材料シンプルなのに手間が掛かるんだよね。
まぁ乾燥は魔法頼りだけど。
ピエがフリルみたいで可愛い。
今はシンプルな白だけど、色粉ないかなー?
あればもっと可愛いのに。
「ん〜〜!とりあえずここまで、お茶下さい」
「はーい!」
試作のお菓子とカフェルで休憩。
「マカロン?サクッとムチッと美味いね」
「今回はクリーム4種類あるよ。これならお茶会のお嬢様達にも受け入れられそうかな?」
「この試作、見た目が可愛らしいし、こっちの貝の形のなんて、受ける事間違いないね」
「なら、このレシピを料理長さんに渡そう」
「いや、ちゃんと商業ギルドに登録してからにしなよ」
「え?」
「シャルルの実績にしないとダメだよ」
「めん「面倒でもちゃんとする事」」
「サンセバスチャンも登録してなかったろ?あれはフランシアが買ったから他には渡らなかったけど、シャルルの実績になってないからな。これは登録しないとダメだ」
「……はーい」
チリン
「デンタツだ、出るね」
「シャルルです。こんにちはー。はい、あっ、言ってましたね。立体にしますね。ジーク、ヘルベスさん」
『よぉ!報告書は進んでるか?』
「こんにちは、まぁそこそこっすね」
『最下層潜る前に言ってたパーティー、ゴードンもサラナもマリアーナもノリノリでな、計画してるから、都合のいい日を教えてくれ』
「シャルル、予定は?」
「わたしは特にないから、ジークに合わせられるよ」
「俺も今は報告書書いてるだけだし、まぁ何時でも大丈夫っすね」
『分かった。なら今月末位で計画しとくな。シャルル、ポーション余ってるか?』
「ありますよ。納品行きましょうか?」
『あぁ、いや、取りに行くよ。まだ街の中が騒がしいからな』
「分かりました。いつでも大丈夫なので」
『了解。行く前にデンタツするな』
「はーい、よろしくお願いします」
フォン!
「パーティー、本気だったのか」
はははっ
「フェスタリオスで楽しかったもんね」
ふふふっ
「計画するって、何を計画するんだろうな」
「うーん、お料理とか場所?」
「場所かー。そうだな、この家より広い家は2区下では難しいだろうから、どこかに借りるのかな?」
「そうなんだ。楽しみだね!何かお手伝いあるかな?今度聞いてみよう!」
気の置けない人達でパーティーなら、堅苦しくないし、きっと楽しい!
またお料理作って持っていこうかなー。
食材はインベントリに山ほどある。
ダンジョン潜る時に貰ったアレだ。
ぬふふ。
「さて、もうひと頑張りするな」
ちゅ
「うん。また何かあったら聞いてね」
書斎もあるのに、リビングで仕事する。
ひとりで籠るのはイヤなんだって。
元々貴族なので、書き物は苦手ではないらしい。
お勉強とか、結構真剣に取り組む方だったと。
流石です。
アレクさんは、隣で邪魔専門だったんだって。
……わかる気がする。
さて、夜ごはんは何にしようかな?




