服飾ギルド。
「私、服飾ギルドのマリアーナ・コルスと言います。突然声をお掛けしてすみません」
「あ、いえ、大丈夫です」
「何かお急ぎのご用事でもありますか?よければ少しお時間頂けませんか?」
「えと、特に急いではいませんけど……。どういったご用事ですか?」
美女でも、用心に越したことはないよね?美人局とかあるし!って、あれは男性に対してか。
「そのお召し物とバッグがステキだったので、どこで購入したものかと」
「え?えと、ありがとうございます。自作です」
そうでしょう?ステキでしょう?自信作ですもの!
「まぁ!!もしかしてスキル持ちですか?」
うっ??これは……答えていいもの!?
ふふっ
秘技!笑って誤魔化せ!!
「あぁ、ここではお話ししづらいですよね?ギルドがすぐ側にありますから、ギルドでお話聞かせて頂けませんか!?」
「えっ?」
「さぁさぁ!」
ぇぇぇぇ!?なんだろこの人!グイグイ来るぅ!!
腕を引かれて、半ば強引に連行される!
この美女さん、ギルドに着くまで、まぁしゃべるしゃべる!
唖然としてたら、どこかの部屋で座って、目の前にお茶があった。
あれ?
「改めまして、服飾ギルドのギルドマスターのマリアーナ・コルスです。お見知りおきを」
にっこり。
「はぁ、シャルル・エイプリルです」
「シャルルさんと仰るのね!名前も可愛らしいわぁ!」
「はぁ」
勢い凄すぎて気の抜けた返事しか出来ないよ!
「それで、先程のお話なんだけれども、見た感じ、まだお若いでしょう?お仕事とかはしてらっしゃるの?もししてなければ、うちのギルドでデザイナーとしてお仕事しない?あぁ、モデルの方がいいかしら?そうよね、そんなに美しいんだもの!裏方なんてもったいないわよねぇ!どぉ?どぉ?」
ひーーー!!!
口挟む隙がないよ!!
「あのあのあの!せっかくのお話ですが、わたしにはもったいない事でして……」もごもご。
「あら何故!?その美しさは見せびらかすべきだと思うのよ!しかも!お洋服や小物も作れて、自作自演出来るのよ?そのお洋服もバッグも、見た事ないデザイン!華美過ぎず質素過ぎず、可愛らしさも兼ね備えて一石何鳥にもなるのよ!?」
うわぁぁん!これどうしたらいいのぉ!?
キッパリ!キッパリ言ってやれ!
「いいえ、目立つのはあまり好きじゃないので、モデルはやりませんし、いまやりたい事を探してる最中なので、デザイナーの仕事も縫製の仕事も、今はやるつもりはありません」
言ってやったどー!!
「えぇ……そうなのぉ?でもねぇ……」
あれ、言いすぎた?
でも服も小物も広めたい訳じゃないし、モデルなんて言語道断。
出来れば売りたいものは流行に左右されないポーションだし、服に掛かり切りになってられないもんね。
まぁわたしの作ったポーションが売れればだけれど。
その為にも売ってるポーション確認しないとならんのだよ!型もまだだし!はよ行かねばカフェ行き損ねる!
「えと、お話が以上でしたら、お暇させて頂きます」
「そう、残念だわ、残念過ぎるけど仕方ないわね。もしやる気になったら連絡してね?いつでも待ってるから!」
そう言って魔力登録されている名刺?を貰った。
デンタツくんに登録出来るらしい。
デンタツくん、持ってるの黙っておこう。
「下まで送るわね、お出かけの邪魔しちゃって、ごめんなさいね」
「いえ、ここで大丈夫です。お茶ご馳走様でした」
「んもぅ、可愛い上に礼儀作法もバッチリね!」
では、と挨拶をして、
ぶへっ!!鼻!鼻潰れる!!
ドアを開けて出ようとしたら、誰かにぶつかったよ!!
 




