王都に帰る。〜その4〜
「さ、こっちに戻ってリラックスしてね」
全員が、はぁぁ……と脱力。
「これが後4日続くんすか……」
「パーティー入れたら5日じゃない?」
「マジすか……」
「たった5日だ!5日の我慢!今日は宿まで行くだけだ。そしたら後4日!ほらすぐだろ」
「ギルマスも笑顔絶やさなかったっすね」
はははっ
「ギルマスなんてハッタリで何とかするからな。作り笑いなんざ朝メシ前だ」
それ言っちゃダメな気がします。
◇◇◇
宿についてドレスを脱いで解放感を味わう。
あぁ!普段着最高!
赤茶色のチェックのワンピース。
丈は脛まであるし、スカートの左右がプリーツになってて可愛い。
ブーツにも合うね。
マリアーナさんに貰った秋の服、着ないで冬になっちゃったから、着られる時は積極的に着ますよ。
ジークと別のシングル部屋を案内されたら、ジークが一緒の部屋を希望。
シングルは見てないけど、この部屋は豪華!
流石SSランカーって所ですね!
ベッドがキングサイズより大きく見える。
何人で寝るんだよ。
わたしはAランクですし、きっとシングル部屋はそこそこだったんだろう。
「晩メシまで少し時間あるけど、外に出られないのは不便だよなぁ」
「行こうと思えば転移で行けるけどね?」
ぶはっ!!
「忘れてた!でもまだこの辺りは雪が多いからな。街中はダメだし、外は大雪だ」
「ねー」
……あ、うずうずとどこかへ転移で行きたくなってきた。
「シャルル?」
「そう言えばパパの転移はマーキングした場所限定だったよね?ジークはどうなんだろう」
「あぁ、うーん……試さないと分からんな」
「目視の場所はどう?」
シュンッ!
「わっ!」
「うん、行けるね」
ぎゅっ
「突然目の前だとびっくりするね!」
あははははは!
「近場だと魔力消費も少ないね」
「転移も隠さないで行くの?」
「まぁそうそう使う時も……あるか?」
「うーん……わたしは余り使わないけど、便利ではあるよね。足も使わないと歩けなくなりそう」
くすくす
タジルミール山では便利だったけどね!
「俺は使えますって宣言はしないけど、使う場面では躊躇せずに使おうとは思ってるかな。SSランカーに求めるのが何なのか、まだ分からないから」
「うん、まずはドラゴンさんの所に行けるように練習も必要だしね。近場から試してみよう?」
「そうだね。何かコツとかある?」
「コツ……場所を思い浮かべて、魔力を流す。乗せるの方が分かりやすいのかな」
はっ!
「……シャルル」
「ん?」
「ラスラ川」
ぎっくーーーん!
「う、うん?」
「シャルルだった、よな?」
「え……っと?」
ジリジリと追い詰められる!
「川に居たろ?俺が見た妖精。あれシャルルだよな?何で裸だった?」
うぐっ!!
バレた!!
「もしかして……露出き「違うから!!」」
「湖も、はだ「違うってば!!」」
っちゅーか!どっちもジークとか!
はぁ
「……川は多分わたし。初めて転移が使える事が分かった後で、お風呂入ってて、間違って飛んじゃったの。だから、その、露出狂じゃないし!
湖は水着がなくて、人なんか来ないと思ったからなのっ!
何でどっちもジークなんだろう……」
「俺以外に見せたらダメ!」
ぎゅっ
「ぐぇっ!じーぐぐるじい」
はぁ……
「俺で良かったと、つーくーづーくー!思うよ!」
「もうしないもん」
「当たり前でしょ!」
不可抗力っす!
「もう転移も慣れたし、間違う事はないから大丈夫!」
「うん、ホント気をつけてな?」
「はーい」
そんな事言ってたら食事のお迎えが来た。
お迎えって……。
◇◇◇
「まぁ!そのワンピースも可愛いわね!」
「あ、これマリアーナさんから秋のサンプルって貰ったんですけど、着る機会なく秋が終わってしまって、今着てます」
「動く広告って訳ね。マリアーナもやるわね」
おぉ、お見通しですね。流石オネエ。
食事の会場は、ホールになってて、さながらパーティー会場だ。
ジークにエスコートされていると、少数だけど女性の視線が痛い。
逆に男性の熱視線。
微笑ましげな視線もある。
居心地悪いなぁ。
「抱っこする?」
ぶはっ!!
「何で」
「何かそわそわしてたから」
ふふふっ
「大丈夫。このままそばに居て?」
「了解」
ちゅ
”ぎゃぁぁぁ””キスしたわ!””ジークさまぁ!”
「……給仕の接客態度が悪いな」
ぴたっ
タタタタッと、これは支配人さんかな?
ほぼ90°で頭を下げ、
「申し訳ない事でございますっ!!再教育いたしますので!何卒ぉぉ……」
ぺこぺこ
げっ!
あっ!叫んでた人達が連れて行かれた!
「ジークフリード様申し訳ないです。次の宿はちゃんと教育がされてるはずだから、ここは治めて」
ラシードさんまで!?
こそっと
「ラシードさんのはポーズだよ」
なるほど。
SSランカーは貴族より上の立場になるから、ナメられたらダメなのね。
めんどくさっ!




