王都に帰る。〜その3〜
車内もこれまた豪華!
と言うか空間魔法でだだっ広いんだわ。
まぁ車しては、と言う注訳は付くけれど。
ソファにローテーブルは勿論、トイレや更衣室、洗面所。コンパクトな部屋ですね。
わたし達10人の他にお世話係さんが一緒の空間に居ても、気にならない距離だし。
熟魔法は便利。
揺れないから、車酔いとかしなさそうだしね。
「じゃあ行程を説明するよ。今回は西回りだ。宿までは停車せずに、街の前を通る時は屋根開きで低速で走る。その他は高速移動で走るからな。4日後には王都だ。王都では、大門を通る前から屋根開きで王城まで行くぞ」
「え?王城?」
「そうだ。王との謁見がある」
王様に会うの!?
みんなを見て、顔が青いのが5人組。
流石にジークもアレクさんも平然としてるよ!
お貴族様強し!
5人組と顔を合わせ「あなた達だけじゃないよ!」と頷き合う。
今ここで分かり合えるのは5人組だけだ!
「謁見の後、パーティーがあるので心しておけ」
パーティー!?
心してって、何を心したらいいですか!?
「あぁハンターだから、マナーは問わないそうだ。そんなに緊張しなくても大丈夫だよ」
ははっ
「無理っすー!緊張どころか息の根止まりそう」
うんうん。分かるよ。
わたしもだよ。
「ジークとアレクがフォローしてくれるさ、大丈夫」
「ジークさんはシャルルさんに掛かりきりだろうから!アレクさん、頼んます!!」
「おー任せろ。大丈夫!飲んで食って見学しとけばいいんだしな」
はははっ
「……ダメだ。使いもんにならねぇ」
「失礼だな。美味い料理とキレイなお姉さん見てれば終わるってば」
あぁうん、この人に任せたらダメな気がする。
ジークがこそっと
「両親と兄さん達も多分来るよ」
ぱぁぁぁ!
「ホント?嬉しい!」
あっ、だから近々会うって、この事か!
「……その笑顔振りまいたら騒ぎになる気がするわ」
えっ!?
「笑ったらダメですか?」
「いいえ?この際どんどん見せつけたらいいと思うわ。ね?ジーク」
「そうですね、それならそれなりの対応しますけど、いいですよね?」
にっこり
うふふふふ♪
「やっちまえ!」
なになに!?
はぁ
「程々にしとけよー」
何が!?
「シャルルはどーん!と構えとけ」
何を!?
みんながニコニコしてる!
何をどうするのか教えてーー!
◇◇◇
そしてそれは1番最初の街を通過する時に分かった。
「屋根開けるからなー、笑顔を忘れんなよ!」
と、部屋仕様から席仕様の場所へ移動させられた。
どんな風に開くのかと思ったら、ぱっ!と明るくなって屋根と側面の上半分が消えて席までが丸見え。
は?
「風も来ないし快適でしょ?」
いや、うん、快適ですね?
「笑顔よ!笑顔!」
慌ててにっこり。
気を取り直して周りを見たら人だらけ!!
外の音も遮断されてるから静かだけど、様子から大騒ぎが見て取れる。
一気に緊張感が増す!
あははははは!
「ほら!5人組も笑顔よ!」
「無理っすー!何でジークさんもアレクさんも平気なんすか!?」
うむうむ!
「作り笑いの慣れ?」
「「「「「「作り笑い?」」」」」その笑顔が!?」
まったく笑顔を崩さずに、
「有象無象を遇う術だな」
と、更ににっこり。
「高ランクも大変なんすねぇ」
「お前らも覚えろよ?一気に有名人だからな!」
ビシっ!
ああああ!!余計に固まっちゃったじゃん!
「シャルルはここな」
あっ!
「ジーク恥ずかしいよ!」
お膝に乗せられた!
まさかこれがそれなりの対応!?
「ほら見て?あそこの女、俺を見てる。うぜぇ」
ぶはっ!!
みんなで吹き出した!
あははははは!
「牽制っすね!」
「自意識過剰と言えない所がジークだな!」
「だからシャルルに守って貰うんだよ。な?」
「そういう事なら任せて!」
「あぁ!だからスプ「バカ!こら!」」
もごもご
……あれ?何か聞こえた気が……
ちゅ
「ひゃぁ!ジーク!」
そこほっぺ!
「甘々っすねぇ……♡」
「微笑ましいっ!」
程々に緊張も解けて手をふりふり。
あっ!子供!あれ?そう言えば子供って見かけなかったな。
あれ?
手を一生懸命振ってる!可愛い!
わたしも振り返す。
にっこにこだね!
わたしも嬉しいよ!
「ジーク、子供って見かけないね?」
「そうだね、大事にされるから見かけることは少ないね」
ん?
んん?
また不思議な事が。
えーと知識庫ごそごそ。
出生率は低い。
身体の魔力庫が安定するまでは外に出さない。
魔力庫が安定するまでの死亡率が高い。
出生率が低い割に死亡率が高いんだ。
魔法の治療も出来ないから、見守るしか出来なくて、大事に大事にされて育つのね。
だけど、育ってしまえば長寿だと。
なるほど。
「子供欲しくなった?」
こそっと耳元で
ぼっ!!!
「あれ?シャルルさん真っ赤っすね?」
「いあああこれはそのあの」
あわわわわわわ!
「ジークお前何かしたな?」
「別に〜」
〜〜♪




