王都に帰る。〜その2〜
「いやいやいや、途中で宿泊あるでしょ?ここから着たら窮屈じゃん!」
うんうん
「途中の街でも手を振るのよ?」
「は?」
「あぁ、ジークとシャルルちゃんは見てないだろうから知らないでしょうけど、空にも海にも光の道が出来たのを、殆どの人が目撃してるの。その功労者が帰ってきたのよ?みんな見たいに決まってるじゃない!」
「「えっ!?」」
ドラゴンさんが言ってた航路が開かれて大騒ぎってこれかぁぁぁぁ!!
「当然、宿泊地も抑えてあるし、着替えも持ってきてるから安心しなさいな」
ちっとも安心出来ない提案がここに決定されている。
「シャルルちゃんは、どこぞのお姫様になるわねぇ。楽しみっ!」
うふふふふ♪
「でも、わたし1人じゃドレスなんて着られませんよ?」
「抜かりはないわ。ちゃんとお世話係を連れて来てるから」
さいですか……。
「じゃ、明日は2の鐘でハンターギルドよ!支度があるからね!」
「俺、口挟む隙がなかった……」
ラシードさん、項垂れるの巻。
◇◇◇
わたし達は拠点に帰り、みんなは宿に泊まった。
「暫く騒がしくなる予感」
「わたしも同じく思います」
ため息が出ちゃう。はぁ。
「まぁ、それだけの偉業を成し得たって事なんだろうな」
「そうね。うん。確かに冒険だった!」
ふふっ
「暫くは甘んじて受けましょうか」
「うん。でも早くパパママお兄様達に報告したいな。ただいまって」
ちゅ
「ありがとう」
「家族になるんだもんね?」
「そうだよ。って、俺の姓をエイプリルにしたいって思ってたんだけど、いいかな?」
「!!」
あっ!泣きそう!
「あぁ!零れる!」
ぽろん
ぎゅっ
「その涙はどっちの涙?」
「うれじだびだ」
ぐす
「結婚する前から一緒の姓になっちゃうけど、いずれシャルルの姓になるつもりで居たんだ。だから、エイプリルで申請するね」
こくこくこくこく
「うれじい」
「シャルルは可愛いな」
ちゅ
「ジークフリード・エイプリル、か。うん。いいね」
こくこく
「次に名乗る事があれば、エイプリルで名乗ろう」
「申請まだなのに?」
「すぐだよ」
ははっ
家族になれる。
嬉しい。
「嬉しそう」
「うん。凄く嬉しい」
えへへ
ちゅ
◇◇◇
「揃ったわね!さぁ!やっておしまいなさい!」
あ、またこれ!?
「ひやぁぁぁぁぁ!!」
おはようございます!
別室でひん剥かれてます!
3度目ですが慣れません!
”ひぇ!細腰!!””この肌何なのつべつべ!”
褒めてくれるのは嬉しいけど!
あれよあれよとドレス姿のお嬢様に。
長袖の薄いピンクのドレス。
ふわふわ毛皮で装飾されてます。
暖かいです。
白いポンチョ風の毛皮のコートが可愛いです。
足元はブーツだけど、こちらも毛皮仕様。
ふわふわです。
おや?自動温度調節付いてますね?
快適です。
ヘッドドレスもふわふわです。
手袋にも毛皮。
もう全身ふわっふわ!
「んまっ!シャルルちゃん!可愛いわぁ!銀髪に似合うわね!流石アタシ!」
「ありがとうございます。ってゴードンさんの見立てですか?」
「そーよーぉ!バッチリだわ!ほっぺも唇もバラ色!あぁ素敵ね」
流石オネエだ。
ツボを押さえてる。
「ゴードンさんも素敵です!男性仕様ですね」
「礼服にドレスがないからね!」
作ろうかしら……ぶつぶつ
みんながいる所に行くと、一瞬ピンッ!と空気が張り詰めた。
え?
「シャルル!素敵だね、すごく似合うよ」
と、ジークが手を取りキスした。
「ジークもカッコイイ!」惚れ直す!
「聞こえた」
ちゅ
「シャルルさん、キレイっすー……」
「お姫様っす!」
「シャルルちゃんキレイだねぇ!ジークやめて俺にしない?」
べしっ!
ふふふっ
「みんなも似合うわ!素敵!」
「車の用意が出来たぞ!おぉ!シャルルちゃんキレイだね!似合うわー!」
「ありがとうございます。ラシードさんも素敵ですよ」
意外と着心地のいいドレスで良かった!
コルセットでぎゅーぎゅーしなかったし、ふわふわは着心地にも適用されてたね。
ジークにエスコートされて車に行くと、どえらい高級感!
「街に入ると屋根開きだからねー。寒くないように結界張ってあるから心配無用だよ」
まさかのオープンカー!
正に凱旋!
「これに乗るの?」
「そうだよ。ジークとシャルルちゃんは1番目立つ所に座るからね?にっこり手を振ってあげてね」
マジか!
「俺もいる」
「うん。がんばって笑うわ!」
はははっ
「引き攣った笑顔でも可愛いよ」
「ジークだけよ、そんな事言うの」
「シャルルさんは可愛いっす!」
「「「「うんうん!」」」」妖精たん
ん?何か聞こえた気がするが……
気の所為だ。うん。
「さぁ、乗って!王都に帰るよ!」
久しぶりの王都へ!




