閑話 薬師ギルドマスター。
このお話の前に本編があります。
「何だと?ポーションを持って行ってない?どういう事だ!?」
「そ、それが、ハンターギルドで扱ってる特別なポーションだとかで……」
「何だそれは!私は聞いてないぞ!そもそも、そのポーションは違法な薬剤なのではないのか!」
「いえ、ちゃんと薬師ギルドで発行した証明コインを持ってる薬師が作ったモノらしく……」
「誰が作ったんだ」
「それが、調剤師の名前は秘匿されているようで……」
「秘匿?何の為に」
「さぁ、分かりません」
どういう事だ?最下層に行くのにポーションを持って行くと思って、最大数を準備してたのに、ポーションは1本たりとも売れてないではないか。
探ってみれば、最新のポーションだと?
「そのポーションは持ってるか?」
「薬師ギルドには置いていないので、ハンターギルドに行かねばありません」
ふむ。
ならば行って詳細を問いただすか。
あわよくば違法薬物販売でラシードの坊主を引きずり下ろせるやもしれん。
市井に降りてまで家の権力でギルドマスターになったに違いないのに、生意気なヤツだ。
……そう言えば商業ギルドのギルマスはマイク・ヘルベスだったか。
あいつも家の権力のお陰だろうに、忌々しい。
ふん。
「……確か今は戻ってるはずだな。これからハンターギルドに行ってくる。何かあったらデンタツしろ」
◇◇◇
コンコンコン
「ん?入れ」
「ギルマス、すみません。押し切られました」
と、緑髪のアネットが入ってきた後に、見たくない顔が出てきた。
「……アポは取ってませんよね?俺は最下層攻略指揮官でもあるし忙しいんですが」
「ふん。その指揮官様は違法なポーションを持たせているのではないか?最新のポーションとやら、見せてもらおうか」
「おやおや、これは異な事を。キチンと薬師ギルドで販売登録されているポーションですが?把握していないんで?」
「……そもそも、最新のポーション等、作れる者がいる訳がないのに、把握も何もないもんだ。で?その違法薬物はどこだ?」
棚から在庫の1本を取り出し、目の前に置く。
「殆ど最下層アタックチームに持たせたから、あるのはそれだけだ。そもそも薬師ギルドに登録した時のサンプルがあるだろう?この春に登録したんだ。まだ破棄されていないはずだ」
「なに?春に登録だと?そんな者は居なかったはずだ」
「あぁ、マルクスさんは居ませんでしたね〜。登録には俺もマイクも同行してるんで、登録したのは確かですよ。調べずに来たんですか?」
ははっ
「何だと?」
「まぁまぁ憤る前に鑑定して下さいよ。どれだけ優れたモノなのか、マルクスさんなら分かりますよね?」
「…………なっ!!!最上級!?それに、この形は薬剤の劣化を防ぐのか……くっ!これを頂けないかね?」
「あげられませんよ、言ったでしょう?今あるのはそれだけだって。持っていかれちゃ困りますよ」
「……!分かった、失礼する!」
◇◇◇
「おかえ「おい!薬師登録時のポーションを出してこい!この春からので構わん!それと登録者名簿だ!」」
「は、はい!」
あった。
本当に登録してある……。
受付者は……、ちっ!退職してやがる!!
製造者は、シャルル・エイプリル?聞いた事がない。
いや、待てよ?
確かアタックチームに、その名前があったはず!
くそっ!!出発した後じゃないか!
これじゃ召喚も出来ない!
しかし、見れば見るほど美しいポーションだ……。
内容は最上級。保存瓶は蓋のない劣化防止の形。
それに量が半分だ……。
こんなポーションが作れる薬師なら、うちで製造販売するのが当然じゃないか!
なのに販売許可証に、出店許可証まで!!
これでは薬師ギルドで作らせる事は出来ないじゃないか!!
小賢しい……。
きっとこれも、ハンターギルドが手引きしたに違いない……。
……まぁいい。
その製造者が戻ったら、ちょっと説得して、うちで作るようにすればいいさ。
それまでの辛抱だ。
◇◇◇
厄介なのに見つかったなー。
そりゃそうだよな。
薬師ギルドのポーションは持たせなかったし。
売れなければバレるよな。
ま、シャルルちゃんも最下層アタックチームに入ってるし、時間稼ぎにはなっただろう。
一応マイクにも言っておかないとな。
あの薬師ギルドマスター、トリアスロ・マルクスは貴族嫌いで有名だし、俺とマイクがギルマスになったのを家の権力だとか吹聴しやがって。
黒い噂も後を絶たないし……。
ホント、シャルルちゃんがマイクと知り合いになってくれて助かったよな!
おっと、マイクにデンタツしておこう。
何があっても護れるように。
さて、またウルディアに戻るか!
シャルルの登録してくれた新人の青頭さんは退職してました。
あのギルマスに着いていけなかった模様。
職業選択の自由〜あはは〜ん♪




