準備。
室内履きのまま歩いて帰った。
第1門では、飛び出したジークに驚いた門兵さんが、帰ってきたジークを見てホッとしてた。
わたしは出た形跡がないので、首を傾げていたが、にっこり笑って通り過ぎた。
すまんな!
足元を見て「ぐふっ」と、変な声を出していたが、流石に吹き出すことはなかった。
流石です。教育が行き届いています。ハラショー!
家に着いたら、ジークがわたしを抱っこした。
「シャルル、ありがとう。俺情けない」
「何で?情けなくないよ?」
「俺が、不安な顔してたから、だから待つの嫌だったんじゃないのか?俺、シャルルに危ない目に遭わせたくなかった、なのに」
「ううん。ジークが安心していいって言っても、きっと付いて行くって言ってた。誰も帰ってきた事がない所へ行くなら、わたしも行くよ。これは決定事項なの!それにね、わたし強いんだよ?戦えるの!知ってるでしょう?」
「うん、シャルルは強かったし、戦えるの知ってた。けど、リェスドラゴンとか!リェスウルフとか!何だよ!もうビックリだよ!」
と、ぐりぐりぐりぐりぐりぐり
「いだいいだい!!」
「ああ、もう!!シャルルだったなんて!!」
「だって!あれ倒したのジークと知り合う前だったんだもん!」
「それに!!転移しただろ!!俺、愛想を尽かされたのかと思って……妖精だから、消えたのかと……もう目の前から消えないで……頼む」
「……怒ってる?隠してた事」
「怒ってない。消えた事がショック過ぎて、茫然自失になった。探し回ったんだ、家中。なのに、居なくて」
「ごめんね。わたしも頭に血が上ってた」
「いいんだ。ピンク髪と戦ってるって聞いて、凄く焦った」
え、戦ってる最中の連絡で?戦ってる最中に来られたの?
「身体強化で走ってきたのね」
「うん。既に勝負は着いてたけど」
「あー、対人は初めてだったんだよね。ちょっとやり過ぎたかも」
「まさか蹴り入れてないよな、ワンピースだし」
ぇ、ぁ、ぃゃ
「シャルル?」
「ど、うだったか、なー?」
はははっ
「後で板確認しよう」
ん?
「何でもないよ」
「あ、ポーション、先に届けておかないと」
「あぁ、多分持てるだけ持って行けって言うから、卸してる場合じゃなくなるよ」
「あ、そっか。商業ギルドにも顔だしておかないとね。次いつ納品出来るか分からないし」
「シャルルは、最下層から戻ってもハンター続けるの?」
「うーーーーん……状況次第、かな」
「出来れば、その、休業か、ハンター続けるなら、俺と一緒の依頼をして欲しい。ソロや別チームには行かせたくないんだ。ダメ?」
「ダメじゃない!それが出来るなら、ジークと一緒なら、その方がいい!」
「なら、ふたりでチームだな」
「うん!」
「まだ最下層にも行ってないのに先の話が出来るのはいいね。必ずふたりで帰ってこような」
「もちろん!」
「しかし、SSランクって、最下層攻略した後、何すんだろうな?実質、国で1人だし、貴族よりも立場は上になるんだ」
何ですと!?
「いや、貴族席は抜けるから結婚する事に問題はないよ」
ちゅ
ほっ
「なら良かった。横からちゃちゃ入れされるのは嫌だもん」
「誰にも何も言わせない」
「うん」
「シャルル、愛してるよ」
あっ……
思い出しちゃった。
「真っ赤」
「もう!」
「シャルル?」
「わたしも……」愛してる
「聞こえない」
「意地悪だ!!」
あはははは!
「愛してる、ジーク」
◇◇◇
それから約ひと月、忙しく過ごした。
商業ギルドへ行ってハンターになって最下層に行くことを伝えたり。
「……はぁ、まさかついて行くとは思わなかったよ」
「戻ったら、またポーション納品しますね!」
ぽんぽん
「待ってるからな。絶対帰ってこい」
「はい!」
ガルボさんから型を受け取ったり。
「は?シャルルも行くのか!?」
「はい!わたし強いんです!」
むんっ!と胸を張る。
「誰も止めなかったのかよ!!!」
「止められて止まるわたしじゃないですよ?」
はぁぁぁぁ……
「……気をつけて行け。絶対帰ってこいよ」
「もちろんです!あっ!お金置いていきます!」
「いらねぇよっ!!」
と言い争ったり。
インベントリに食料詰め込んだり。
「シャルル!また差し入れ届いた!」
「え!今度は誰?」
「サラナさん!」
「うわぁ、有難い。けど、もう下手したら数年食べ物には困らない位あるんだけど……どんだけ潜ってるつもりなんだか……」
ジークは武器の数を揃えたり、手入れしたり。
わたしの武器はお手入れいらずだからね。
「シャルルが武器の手入れしてるの見た事ないな」
「うん、わたしのは神様謹製だから」
「は?なに?」
「ううん、何でもないよ」
ちょっとずつ、さりげなく、小出しに、サラッと、暴露を続けている。
多分、本気にはしていない。
今はそれでいい。
アタックの日が近づいてくる。
板で確認!?∑(・ω・ノ)ノ
板かー……うーん。
いつか番外編にでも載せるかもかもかも。
かもね?




