カーバンクル再び。ジークの実家。
「やっぱり!カーちゃん!トーちゃん!何してんの!」
サンルームのガラスの天井でカリカリ!
「カーちゃん1回失敗したじゃない!こっちよ!」
窓を開けて中に入れる。
「もう!賢いのに同じ失敗するなんて!元気だった?遊びに来たの?」
キィ!
キキィ!
ふふっ
「今回は遊びに来たのね!てゆーか!出てきて大丈夫なの?誰にも見つからなかった?」
キィ?キィ!
キキィ!
「心配してんの!まぁ罠さえなければ大丈夫だとは思うけど、強いしね?」
キィ!
むんっ!
あははははは!
「それで、遊びに来ただけ?」
キィキキィ
キィキィ
「え?えーと、もしかして、これ?」
キィキキィ!
キィキキィ!
クッキーかい!
オネダリに来たの!?
ぶはっ!
「そうか、寒くなるから、その前に色々集めてるのね?分かった、んーと、ちょっと待ってて」
入れ物に入れた方がいいよねー?
うーーーん……
あっ!
「カーちゃん、トーちゃん、サイズ測らせてね」
サイズを測って、よし!リュックを作るぞ!
空間魔法掛けたら沢山入るしね!
布、じゃあ何だから、柔らかい皮はないかなー。
ちと聖域行くか。
「カーちゃん、トーちゃん、聖域の家に行くけど、一緒に来る?」
キィ!
キィ!
「なら行こうか!」
◇◇◇
聖域の家で、2匹にリュックを作って、空間魔法と、時間停止魔法、自動サイズ調整、防水、防泥、後は、状態維持も掛けとくか。
何の皮を使ったんだって?見たら怖いから見ないよ。
「どう?中から出せる?」
キィ?キィ!
キキィ!
おお!手先器用だね!手で持って食べたりするもんねー。
ふふっ
「なら、ここに色々詰めてあげるから、ちょっと待っててね?」
キキィ!
キキィ!
クッキー沢山、うちの木の実、木もれ陽亭で貰った木の実ギッシリ携帯食、唐揚げ、ホクリのマッシュ、えーとえーと、だし巻き玉子、えぇい!手で持てそうなのは入れちゃえ!
「色々詰め込んだから、お友達にも分けてあげてね?」
キィ!
キキィ!
ふふっ
「良い子!」
キィ
カーちゃんが、しっぽから徐に出した何かをくれた。
「なぁに?そこ、秘密のぽっけなの?で、くれるの?」
くすくすっ
キィ!
キィ!
ふふふっ
「ありがとう。大事にするね」
2匹は暫く遊ぶと、
キィ
キィ
「うん、そうね。寒くなる前にお帰り。世界樹さんにもよろしくね。ここからなら近いから、帰るのも安心でしょ?」
キキィ!
キィ!
「また遊びにおいで!今度はちゃんと窓に来るんだよ?」
キキィ!
キィ!
「またね!」
そして聖域の窓から帰っていった。
さて、これ何だろう?
”鑑定”
世界樹の実
えっ!?世界樹の実!?
これをどうしろと!?
まーた貴重なモノ置いてったよー!
……インベントリ行きだな。
はふぅ……。
◇◇◇
【その頃のジーク】
「……ジーク。あぁ……ジークフリード」
「泣かないでよ母上。これで貴族籍から抜けても、誰にも文句は言わせないし、守るべき人も守れるよ」
「分かってるわ、だけど、だけど……」
「ほら、そんな姿見られたら、叛意があると思われてしまうよ。大丈夫、絶対帰るから」
「ジーク」
「父上」
「分かってる。多分、SSランクは覆されない。明日、貴族籍についても申請する。……必ず帰って来い。必ずだ」
「シャルルを待たせてしまうから、なるべく早く帰るよ。俺、シャルルと約束したんです。家族になるって。父さんも母さんも、兄さん達も家族なんだ。それに、あんまり待たせたら、あの妖精ちゃんは、どこかに飛んでいってしまいそうだからね。だから、俺が居ない間、シャルルを気にかけて欲しいんだ」
「ジーク!!」
「噂をすれば、だね?前もあったなー。お帰り、ユージーン兄さん」
がばっ!!
「ジーク……ばかやろ」
「ちょっと!バカはないでしょ!バカは!」
とんとん
「何でジークなんだろな。考えても仕方ないけど!!」
「俺、優秀だし?」
「知ってるよ……帰って来いよ、絶対」
「うん。帰ってくるよ」
「ジーク!!!」
ぶはっ!
「クリス兄さん、お帰り」
家族っていいな、ってシャルルが言ってたのが、身に染みる。
俺、自分はオマケだと思ってたし。
ハンターになったのも、半分は自分の意思だ。
まぁ半分は王家の依頼だけど。
まさか、本当にここまで来るとは思ってなかった。
フランシア家は武の家だ。
父さんは魔法、母さんは剣。
兄さん2人は、魔法と剣に分かれたけど、俺はどっちつかず。
あわよくば悲願の達成を、とハンターへの道が示されて、ここまで来てしまった。
あーぁ、来てしまった、んだよなぁ。
ボンクラな坊ちゃんなら、こんな事にはなってなかったかなー。
でも、そうしたらシャルルにも会えなかったもんな。
きっと、これで良かったんだ。
そう、きっと。
しっしっ!<シリアスさん (´・ω...:.;::..




