SSランク。
「え?」
「マーマンと、ピクシー事件解決への道、カーバンクル保護、これを合わせての褒美だって」
「いやだって、マーマンは兎も角、ピクシーは俺じゃないでしょ?あれは成り行きだったんだし」
「それでも上はそうした。ジーク、SSランクは決定と見ていい」
……おめでとう。
……俺が?
……SSランク……。
そりゃ一時は我武者羅に目指してたさ。
俺の存在意義だと思ってたし。
……でも。
「シャルル、は、どうするんだ?」
「SSランクになったら貴族じゃなくても守れるから、プロポーズするって、約束しました」
「……待たせるのか?」
「……絶対に帰ってくる。だから」
「帰って来い。絶対だ。シャルルを悲しませるな。……王宮へは5日後だ。多分そこからひと月掛からず出発となるだろう。説得しろ。実質婚約者となるなら、話して構わん。同行者に希望はあるか?」
「……そう、ですね。Aランクを、いや、余り多くても纏まらないので、任せます」
「分かった。フランシア家には?」
「王宮行く前に」
「そうか。ジークがアタックしてる間、シャルルはどうする?」
「……それも相談して来ます」
「王宮から戻ったら顔出せ」
「はい、では」
◇◇◇
ハンターギルドから帰る道で考えた。
俺が、SSランク。
SSランクの足枷。
SS大型ダンジョン最下層到達使命。
そこに、この国の悲願が隠されていると文献にある。
この国が国交していないのは何故か?
海も空も航路が絶たれているからだ。
この国は島国だ。
以前、遥か昔には航路はあった。
だが、安全な航路が絶たれた事で、この国は孤立した。
幸い3番目の世界樹が守るこの国は、孤立しても国で自給自足出来るし、特に困ることはないけれど、発展する事も無い。
国はそれを憂いている。
他国の情報が何も入らない国。
ただ日々を過ごすだけで、進化も発展も何も無い。
俺だって高ランクになるまで、特に不思議に思ってなかった。
他の国なんて考えた事すらなかったし。
この国で全てが終わる。自給自足。完結出来るんだ。
だが、世界は広いと知った。
3番目の世界樹。
世界樹は、この世界に10本あるんだと。
その中の3番目が、この国を守っている。
高ランクしか、この情報が開示されないのは、無駄に命を散らす事がないように。
最下層までは、過酷な旅になる。
今まで、何度もアタックしたが、帰ってきた人は居ない。
だからSSランクしか挑戦は出来ないと国が決めた。
途中までの同行者も、多い魔獣を殲滅する為であり、文献によると、最下層に近くなるにつれ、魔獣の数は減り、その分、一体の強さが跳ね上がる。
だから、魔獣が多い場所だけ同行者を連れていく。
その後は、ひとりだ。
流石にSランクは同行出来ない。
この国に、俺を抜かして2人しか居なくなるからね。
AランクじゃSランク魔獣には太刀打ち出来ないから、俺はひとりで向かう。
実際に行った人の話を聞いた事がある訳じゃないから、最下層に本当に何か隠されているのか、何があるのか分からないけど、文献だけを信じて行く事になる。
はははっ
怖くなってきた。
シャルルに出会って、一緒に過ごして、温もりを感じて、生きる事への執着が芽生えた。
それまでは、どうでもいいと思ってたしなー。
でも、絶対帰るんだ。
シャルルと家族になる約束したんだ。
待ってて……くれるよな?
◇◇◇
「ただいまー」
「ジークおかえりなさい!」
ぴょん!
ははっ
「シャルルは可愛いな」
ちゅ
「ラシードさん、何だって?今度はどこの領地?」
「あー、その前に実家に行ってくる。んで、その後王宮だな」
「え?王宮?」
「うん。マーマンの時のアレ」
「あー!ご褒美?」
「それと、ピクシー事件解決への道と、カーバンクル保護も追加された」
「え?」
「SSランクになるらしい」
何ですと!?
「目が落ちそうだよ」
ちゅ
「え、じゃあ……足枷……?」
「多分。ちゃんと王宮で聞かないと分からないから、今は何とも言えないけどなー」
「だから実家?」
「うん。今回はシャルル、ここで待っててな?」
「分かった。でも、約束して?帰ったらちゃんと話してくれるって」
ちゅ
「もちろん。ちゃんと話すよ。大好きだよ」
「わたしも。ジーク大好き」
◇◇◇
そうしてジークは実家へ、そのまま王宮に行った。
SSランク……。
足枷って何だろう?
何かするの?
ちょっと浮かない顔。
心配そうな顔。
笑ってるのに、笑ってない。
何か、胸騒ぎがする。
何があるの?
あぁ、考えても始まらないのに、ムズムズする……。
ベタンッ!
ベタンッ!
カリカリカリカリカリカリ!
えっ!?
この音!!
もしかして!?




