閑話 室内履き。
読まなくても本編に影響ありま……せんが、
読むと後で「あぁ!あれか!」になります。
秋になるなら、室内履きを変えよう。
うさぎの毛皮、脱色して真っ白にしてある。
カーちゃんとトーちゃんを模して作ろう。
白っぽいあの子達ならこれでいいだろう。
ジークが見てるけど、構うもんか。
どーせバレてる。
「何か作るの?」
「室内履き」
「見てていい?」
「うん」
”クリエイト”
スリッパ型じゃなく、スリッポン型で踵まで全部入るやつだ。
足の甲の所に顔を作る。
額の宝石の代わりに赤いボタン。
カーちゃんの目はクリクリのまん丸だ。
トーちゃんの目はちょっとタレ目。
「それ、カーちゃんとトーちゃん?」
「おぉ!よく分かったね!」
耳はぴこんと立っている。
鼻は小さい丸っこい三角。
「それ……俺のも?」
「うん、ジークはカーちゃん」
マジか……アレ履くのか……
ボソボソ聞こえるけど無視だ。
ジークには可愛い過ぎるけど家の中だし、ね?
同時進行してるから、ちょっと時間掛かったけど。
っても、鐘ひとつ分だ。
自動サイズ調整、防水、防泥、うーん、自動温度調整も付けるか。
「出来た!」
ジークの足に履かせる。
「うぉ!自動サイズ調整まで付いてる」
ジークの全体像を見る。
「……」
しゅたっ!とモデルポーズをとるジーク。
あははははは!
「ヤバい!似合わなすぎて笑える!」
「シャルルが作ったんだろ!」
「ごめん、やっぱダメだわ!似合わなかった!お腹捩れる!腹筋割れる!」
あははははは!
床を叩いて大笑い!
「俺はこれを履く」
キリッ
「待って待って!他の作るから!ちゃんとしたの!」
「いや!コレがいい!シャルルとお揃い!」
「他のお揃い作るから!」
面白くて涙ちょちょ切れる!!
「シャルルも履いてみて」
わたしもトーちゃんver.を履く。
しゅたっ!とモデルポーズだ!
「うん、シャルルは可愛い。ので!俺も履く!」
やめて!真顔でそれはやめて!
お腹痛い!ほっぺも痛い!
あははははは!
「ホントにそれでいいの?かなりお茶目さんだよ?」
「うむ、コレがいい」
「大丈夫?ヤケになってない?」
「なってない」
キリッ
あははははは!
「他のが欲しくなったら言ってね?ちゃんとお揃いで作るから」
「コレ見てたら、あの子達もいつも一緒みたいだし。うん。コレがいい」
なんと!
「あぁ!ジーク!大好き!」
ぴょん!と抱きつく。
「やっぱりちょっと寂しいんだろ?ちゃんと知ってるよ」
よしよしと、わたしを慮ってくれる。
「秋になったら履くから、今はしまっておこうな」
「うん」
2つをクローゼットにしまって、お茶を飲む。
ホントに、この人を好きになってよかったなぁ。
好きになってくれてありがとう。
「しかし、室内履きにするとは……」
「単なるぬいぐるみじゃなぁって思ったら室内履きしか出てこなかった」
「まぁ家に居たら必ず履くしな。分からなくもないが……まさか俺のもあるとは思ってなかったよ」
はははっ
「家の中だし、お揃いで履いたらいいなと思って作ったけど、まさかあんなに似合わないとは思ってなかった」
ぷぷっ
「見慣れたら似合うように見える!」
あははははは!
「そうだね!」
秋がちょっと待ち遠しくなったよ。




