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森に帰る。〜その2〜

「今日は久しぶりにステルクバイソンが入ったんだよ!2人は運がいいねぇ!」


 お!ジークの家で食べたお肉!


「ステルクバイソンて珍しいの?」

 こそっとジークに聞く。


「そうだね、リェスカウカウよりは手に入りやすいけど、隠れるのが上手なんだよ。気配遮断と保護色を使い分けるんだ」


 何ですと!?カメレオン仕様なの?

 牛っぽいのに!

 ステル”ス”じゃないのに!


「はいよ!今日のオススメは煮込みとステーキだよ!取り皿も要るよね?」


「ありがとうございます!わぁ!美味しそう!」


 煮込みは慣れたブラウンソース。肉厚。

 ステーキは、これまた分厚い!

 ジークが取り分けてくれたけど、やっぱり多い。


「ここの盛りはハンター仕様だから」

 くくくっ


 キィ!

 キキィ!


「え?カーちゃんお肉食べるの!?ホントに!?」


 小さく切り分けて、ふーふー冷ましてあげると、両手で持って食べ始めた。ガジガジ


「……カーバンクルって雑食?」


「トーちゃんはこれがいいの?」


 付け合せのホクリのマッシュを所望のようだ。

 こちらも冷ましてお皿の端に乗せると、手で掬ってぺろぺろ。


「はぁ可愛いねぇ♡」


 と、うっとりのママさん。

 他のお客さんも、そっと窺ってる。

 まぁ珍しいもんね。


 持ってきた木の実も出しておくと、それも食べる。

 サラダの葉っぱも、パンまで食べる。


「うちでこんなに食べて……たわ。そうだった。しょっちゅう木の実の箱空にしてたわ。そうかー、雑食だからクッキーも食べたんだね。もっと早く知ってたら、色々あげたのに」


 お水を小皿に入れると、ぺろぺろ。

 満足したのか、膝に移動してくるんと丸まる。


 ふふふっ

「お腹いっぱいになったみたいね」


 わたし達もお腹いっぱいになって、お店を出る時に


「これ持っておいきよ、今日焼いたんだけど、木の実がギッシリの携帯食。腹持ちいいし、仕事中でも食べられるからね!」


「「えっ!?」ご馳走になったのに、お土産までなんて」


「いいんだよ!カーバンクルと出会えた記念だから!」


「ありがとうございます。ご馳走様でした!」


 キキィ!

 キキィ!


「あらまぁ!賢いねぇ!おチビさん達またいつか遊びに来てね」

 ふふふっ


 2匹が愛嬌を振りまいて、ママさんも外までお見送りしてくれて、ほっこり気分で家に帰った。





 ◇◇◇


 翌日、1の鐘で起きて、朝ごはんを軽く食べ、2の鐘で家を出た。


「よし、前回同様倒す必要のない魔獣は放置、登りだから、前よりも時間掛かるけど走って大丈夫か?」


「大丈夫!任せて!」


 ははっ

「頼もしいな!カーちゃん、トーちゃんは肩に居るか?」


 キキィキィ!

 キィキィ!


「時々降りたいみたい。森の子だから大丈夫だよね?」


「分かった、なら俺たちは俺たちのペースで走るか」


「うん!それで大丈夫!」


 身体を伸ばして軽く準備運動。

 今回はジークの荷物もインベントリに入れちゃったから、腰の剣以外は手ぶらで身軽だ。

 気配探知、気配察知をON!

 ジークが居るから、気配遮断と認識阻害はOFFだ。


「じゃあ行くぞ」


「了解!」

 ビシっ!


 キィ!

 キィ!


 シュタタタタタ!シュタンタンタンタン!


 2匹は最初は肩に居たが、森が深くなると木々を飛んで行く。

 嬉しそうに見えるよ!


 所々に赤い点が見える。

 ジークも上手に避けて行くから、安心して走れるね。

 うん、久しぶりに森を走る。

 気持ちいい!


「シャルル大丈夫か?」


「大丈夫!気持ちいいね!」


「さすが!」

 ははっ


 走りながら時々様子を窺ってくれる。

 気遣い上手さんだなー。


 鐘ひとつ分位、ノンストップで走って休憩。


「ふぅ!お茶飲む?」


「あぁ、ありがとう。冷たいお茶美味いなー」


「王都よりは涼しいとは言え、夏だからね!」


 キンキンじゃなく、程よく冷たいお茶、最高!

 2匹も来たのでお水を出すと、ぺろぺろする。


「今、中腹位かな?魔獣避けてたら、ちっと大回りになったな」


「お昼すぎ位には着くかな?」


「そうだね、聖域でメシ食えるように行くからね」


「はーい!」


 身体強化で4〜5時間走ったら、結構な距離よね。


「よし、行くか!」


 そしてまた走る。

 途中円形ハゲ(悲)が気になったけど、ジークに聞かれたらマズイので知らんぷりん。


 シュタタタタタンシュタタタタタ!


 そしてまた鐘ひとつ分位で一旦止まる。


「もう少しだから、このまま行っちゃう?」


「うん、わたしは大丈夫だよ」


「よし、それなら聖域で休憩しよう。行くよ」


 身体強化って凄いわー!





 ◇◇◇


 そして程なく聖域の、あの逆さ世界樹の所へ着いた。


「お疲れさん!」


「とうちゃーーく!」


 キィ!キキィ!

 キキィ!


 シュタッと、ジークの肩にカーちゃん、わたしの肩にトーちゃんが乗る。


「帰ってきた感じするの?そうだよね、安全な森だもんね」


 あと少しで、さよなら、なんだね。




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