奪還作戦。〜その後6 お別れ間近〜
次の日、カーバンクル達を連れて家に帰った。
大分引き止められたが、ジークが蹴散らしていた。
わたしは近々お菓子を持ってくるねと約束した。
その2日後、アマンダの刑が確定し、ユージーンお兄様が言ってたように、生涯幽閉になったそうだ。
ジャファーソン家は、カーバンクルの罠が見つかり、当主の関与が確定された。
取り調べと言う尋問で、ピクシーの事も聞いたようだ。
実行犯はジャクリーンだが、当主も知っていて、隠していたみたい。
実際に関与はしてなかったらしい。
証拠も出たそうだ。
隠していた場所は、海の中の洞窟。
ピクシーの標本が何体も出てきたと。
胸糞だ。
ピクシーの標本は、収集家や、一部の貴族等に売っていたらしい。
ジャクリーンだけが知っていたので、誰に売ったのかは謎のままだ。
見つかったピクシーの標本は、あの保護区に丁寧に埋葬される事になった。
生まれた場所に帰りたいよね。
ジャファーソン家は取り潰し。
当主は極刑。関与した家族や使用人は罪によって年数は変わるが牢屋へ直行だそうだ。
極刑……重い罪なんだね。
幻獣だもんなー。
これで、ピクシーから続く事件の終息になる。
パパにとっては、長く憂いていた事件。
解決してよかった!
◇◇◇
「なんだか、どっと力が抜けた気がする」
キィ?
「大丈夫よー、トーちゃんも大分元気になったね!」
今ではとてとてと歩けるまでになった。
木の実も粒のまま食べられるしね!
「もう少しで秋の嵐が来るから、それまでに回復するといいねぇ」
キキィ
「ただいまー」
「ジークおかえりなさい!」
ぴょん!
ジークは一連の流れを報告という事でハンターギルドに行っていた。
「ラシードさんとゴードンさんが、シャルルの心配してたよ。元気にしてるとは言っておいた」
「うんうん。ジークもお疲れ様」
「今度こそやっとゆっくり出来るな」
「ねー、いっぺんにアレコレあり過ぎだよね」
「小出しも嫌だけどな」
ふふっ
「そだね」
「ラシードさんも緊急事態じゃなければ呼ばないから、ゆっくりしていいってさ」
「じゃあ、まったり週間だね!」
ちゅ
「うん。ゆっくりまったりのんびり」
キキィキィ!
はははっ!
「カーちゃん、トーちゃんもだな!トーちゃんも大分動けるようになったね、よかったな」
キィ!
キィ!
ふふっ
「仲良しだねー」
「俺達みたい?」
ちゅ
「うん!仲良し!」
ぎゅー
あはははは!
「ママにお菓子の新作も作らないと」
「まだ後でいいよ。例のお茶会も済んでないんだから」
「お茶会もうすぐだっけ?」
「夏の終わりって言ってたから、もうすぐじゃないかな」
「なら秋になったらで大丈夫かな?」
「うん、今は社交シーズンだから、ちょくちょくお茶会やらパーティーやらがあるけど、秋になったら大分落ち着くはずだよ」
「なるほど」
ちゅ
「だから、今はゆっくり。ね?」
「うんうん。うん?」
「ん?」
「あの、手」
「うん。ゆっくりスル」
「そっち!?」
「いただきまーす」
◇◇◇
それから3日経って、トーちゃんも走れるようになった。
2匹で追いかけっこしてるが、物を倒したり壊したりはしないので、好きにさせている。
時々庭に出て、木登りもしているので、もうそろそろ森に帰る頃だと思っている。
「元気になったね!」
「森に帰す段取りしないとだな」
そうだった。世界樹が1番安全だけど、ジークを連れては行けないから、聖域かなぁ。
「なら、薬草も欲しいから聖域に行く?」
「あぁ、聖域ならそうそう捕まらないだろうな。嵐の前に連れて行ってあげた方がいいだろうね。カーちゃん、トーちゃん、森に帰っても大丈夫そう?」
キィ?
キキィ!キィキィ
「うーん、分からん。なんだって?」
「大丈夫みたいよ?聖域ならウルディアが入りやすい?」
「そうだね、ならウルディアから入って、帰りに木もれ陽亭に行く?」
「あっ!うん!行きたい!ママさん元気かな?」
「元気にしてると思うよ〜!夏の初めに会ってるから、そんなに時間経ってないしね」
「うんうん、ならウルディア行く準備しとこかな。ごはん作って持っていこう」
「手伝うことがあったら言ってね」
「了解!」
ビシっ!
キィ!
キィ!
「敬礼覚えちゃった」
あはははは!
それから、おにぎりやらサンドイッチやら煮込みやら、とにかく作りまくった。
ジークはインベントリ知ってるから、詰め込み放題!
そして転移扉も使えるので、ウルディアの拠点の探索もする。
まだウルディアのは行った事ないからね。
今は街にも出てないし、どこに行ってたとしても時系列考えなくていいから無問題だ。
この2匹とお別れは寂しいけど、仕方ない。
あと少しだけ、わたしとジークを楽しませてね。




