奪還作戦。〜その後3 武装〜
「では、シャルルがガラディアで弱ってたカーバンクルを助けた。でもその時もカーバンクルは追われていたんだな?」
こくん
「それを助けて森に放した。そのカーバンクルがシャルルの魔力を追って助けを求めた。カーバンクルに導かれて行った先がコステア子爵の所、そこで第2のカーバンクルを保護、コステア子爵が襲ってきたのを返り討ちにした。ここまではいいな?」
「「はい」」
「シャルルは何故ガラディアに?」
「フルンソースがガラディア特産だとデンタツで調べたら出てきたので、ゴレ車で行って買いました」
ゴレ車ゴレ車、うん。ゴレ車!
「フルンソース?シャルルが使うの?」
「シャルルはメシも上手いんだよ」
「へぇ!多才だね!」
「家庭料理しか出来ませんが……」
そっち方面に行かないでー!
「まぁまぁ、その時追ってたヤツは見た?」
ふるふる
「カーバンクルを助けるのが先だと思って見てません」
「ふむ。今回カーバンクルを捕らえていたのは憲兵も確認してるし、大丈夫かな」
「明日憲兵本部に報告するのは今のまま言っても大丈夫ですか?」
「うむ。間違ってないし、証拠のカーバンクルがいるしな。大丈夫だろう」
ほっ
「カーバンクルは家で保護するのかい?」
「憲兵さんが連れていこうとしたら」
キキィキィキィ!
てしてしてし!
「こうやって嫌がるんです」
みんな苦笑してるよ。
キィ!
「大丈夫、トーちゃんが良くなるまで一緒に居るから」
キキィ
「トーちゃんて、あっちの子?何でトーちゃん?」
ぶへっ
それ説明すんの!?
「あー……ジークが、この子をカーちゃんって呼んだら、その、わたしのお母さんだと思ったらしく……」
「母ちゃんて言うからシャルルがカーバンクルの妖精かと勘違いしたの!」
ジーク赤い!ぷぷっ
「それで、母ちゃんなら父ちゃんかなと。暫定的だから決まってないんですよ?」
ぶははははははははは!!
「カーバンクルの妖精!!でも分かる!!でも父ちゃん!!」
あはははは!
分かるって何が!?
カーちゃんが肩に乗ってスリスリする。
あなたは母ちゃんじゃありませんよ!?
◇◇◇
翌日、出かける前。
コンコンコン
「シャルルー?ちょっといいかしら?」
「はーい!ママどうしました?」
うわ!?お仕着せ軍団!?
「ジークはちょっと出てなさい」
「え?あ、はい」
ママが指をパチン!と鳴らし
「やっておしまいなさい!」
「え?ええぇぇ!?うわわわわ!!!」
わっ!と囲まれて、ずるっ!と脱がされ剥かれた。
「ひゃぁぁぁぁぁ!!!」
”まぁ!腰の細いこと!””この肌!毛穴なんて見つからないわ!””この髪の滑らかさ!”
あれよあれよという間にドレスを着させられ、メイクをされ、髪を結われ、あら!お嬢様の出来上がり!
「は!?え?ママ?」
「ドレスは女の武装よ!うん、シャルルは飾りがいがあるわぁ!素敵よ?」
薄紅色のシフォンで、ふんわりとしたお姫様のようなドレス。
長さは足首まで、胸元はレースで覆われ、ドレープの短い袖がある。
「お嬢様お綺麗ですわ!」
「え!?これで行くんですか!?わたし平民ですよ?」
「えぇ、それで行くのよ?言ったでしょ?ドレスは女の武装!大丈夫、シャルルなら後で分かるわ」
うふふ♪
「えと、はい。ドレスなんて着た事ないから歩けるかな……」
「大丈夫よ〜!生地は柔らかいし、足捌きも問題ない長さにしたから!可愛いわ!」
ふむ。
歩いてみても問題なさそう。
ほぅ……とため息が聞こえるが……
うふふふふ
「みんなシャルルを見て感嘆してるのよ〜」
そうなの?あ、頬に手を当てうっとり顔。
なら大丈夫かな?
「さ!パパとジークに見せに行きましょ!」
静々と茶話室に向かう。
「「え?」シャルル!キレイだ!」
「ホント?似合う?」
「あぁ、凄くキレイだよ」
「ほぅ!いつもは可愛らしいが、今日は綺麗だな」
うんうん
お仕着せ軍団も満足そう。
えへへ!照れる。
「本当はね?逆に姿を隠そうかなとも思ったの。でもフランシアが付いてるのに、そんな後ろ向きじゃダメでしょ?だから飾る事にしたの!思った通り、ステキに仕上がったわ!」
「と言うか、このドレス、わたしにサイズがピッタリな気が……」
「そうよ?昨日作っておいたんだもの。こんなに早く出番が来るとは思わなかったけど」
うふふふふ♪
えっ!?まさかのわたしサイズ!!
「ありがとうございます」
照れる。
「違うわよ?」
「あっ。ありがとうママ」
ママにーーーっこり!
パパもジークも苦笑してるよ!
「さぁ!戦いに行くわよ!」
「いや、事情聴取なんだけど……」
ジーク、それな。




