奪還作戦。〜その後2〜
フランシア家に着いて暫く、
「ただいま、え?あれ?2人とも今日も泊まりだった?」
「クリスティアンお兄様おかえりなさい!」
「いや、諸事情があって戻ってきた」
「え?」
部屋の隅に置いてある籠を指さし
「奪還作戦敢行してきた」
「は?……嘘、カーバンクルだ。俺初めて見た」
「弱ってるから触らないでね」
「分かった。うわぁ……可愛いな。それで奪還作戦て?」
「父さんが帰ったら説明するよ」
「あれ?父さん居ないのか」
「ジャクリーン事件で出てるって」
「本格的にやるんだなー。まぁ着替えてくるわ」
そして半刻後、パパとユージーンお兄様が帰ってきた。
「「ただいま」」
「パパ、ユージーンお兄様おかえりなさい!」
「「あれ?」どうした?」
クリスティアンお兄様も交えて、説明する。
カーちゃんは起きて、わたしの膝にいる。
「カーバンクルなんて生きてるうちに会えると思ってなかったよ……」
「何故シャルルの居場所が分かったんだろうね?」
え?あ!ホントだ!
「カーちゃん、よく分かったね?」
キィ?キキィキィ!
「ん?何だろう。匂い?」
キィ
「違うの?うーん……」
「もしかして魔力の残滓?」
キィ!
ぴょん!
「うわ!返事する!可愛い!」
ユージーンお兄様凄い!当てた!
って、残滓なんて追えるの?
「魔法鍵か。魔法カードと同じ?」
キィ!
「恐らくヒールした時の魔力を覚えてたんじゃないかな?それで残滓を追えた?」
キィ!
「賢いな!さすが幻獣!」
むんっ!と胸を張るカーちゃん。
みんな感心するやら可愛いやらで笑うしかないよ!
「それで助けてもらった事があるから、シャルルを頼って来たんだな?」
キィ
「そっか、助かってよかったな?シャルルもジークもお疲れ様。カーちゃんもだな」
と、パパ。
「さて、事情聴取か。カーバンクルを捕らえていた貴族は誰だ?」
「確か、コステア子爵だったな」
「ふむ……」
「父さん大変。コステアってジャファーソンの腰巾着」
「何?」
「落ち目のジャファーソンに融資してるハズ」
「……まさか、ピクシーの次はカーバンクルなのか?」
「あ、確かに家は趣味の悪い装飾品ばっかりだった。ギラギラしてんの。金かけてるぞって感じ」
うむうむ。確かに趣味悪かった。
「領地持ちじゃないよな?」
「こっすい金貸ししてたはず。貴族相手じゃなく、平民を食い物にしてるって話だよ」
「何とまぁ……平民相手なら、貴族の噂にも登らんか」
「ユージーンのその情報はどこから?」
「ふふふん!情報戦は負けないよ?出処は……ひ、み、つ♪」
「おまえ独自に影持ってんだろ。それだな?」
「秘密だってば!」
影?
ジークを見ると、にっこり。うん、これは聞かない方がいい案件だ。
「と、なると、一網打尽に出来るかどうかってトコだな。また証拠不十分で捕まえられなかったら……いやでも、まだジャファーソンの関与があるかも分からんのか……十中八九あるとは思うが……」
「コステアに吐かせればいいよね?」
にやり。
わぁ黒い笑顔!さすが宮廷魔術師団長!
「執事も絡んでたみたいだし、執事狙いでもいいかも。逃げてたしな」
「どっちかだと、お互いに擦り付け合いになるから、どっちにもだな」
何だろう、みんなイキイキしてるぅ!
「事情聴取にはわたくしも行くわ」
「「「「えっ!?」」」」
「何よ。息子と娘を守らなくちゃ!特に娘!」
ママっ!!
「うちの娘と言えども立場は平民。貴族の家での捕物で、ヤイヤイ言われるのは分かるでしょ?ジークだけでも大丈夫とは思うけど、頭から抑えるストッパーの役目をわたくしがするのよ!親の威光?そんなのあるなら使うに決まってるでしょう。悪い事してる訳じゃなし。ね?」
「いや、俺も一応Sランク……」
ママ強い!ジークもね!
「……大丈夫よ、ジークとママがシャルルを守るわ」
「……ありがとう」
嬉しいよぅ。泣きそう!
キィ!キキィキィ!
「え?カーちゃんも守ってくれるの?」
キィ!
むんっ!
あはははは!
「頼りにしてるね?」
キィ!
「ねぇ、もしかしてカーバンクルの言葉が分かるの?」
「えと、何となく?」
「凄いな……」
そうなの?
「シャルルは凄いんだよ。ね?」
「そ、そんな事ないもん」
それ恥ずかしいから!




