奪還作戦。〜その後1〜
その後当然ながら説明させられた。
フルンソースを求めてガラティアに転移扉で行ったこと。
そこでカーちゃんと出会って保護して森に返したこと。
聖域とは言えないからね。
「それだけなんだよ?」
「転移扉は、俺が知る前だから言えなかったの?」
「……うん」
「そっか。なら仕方ないね。あぁ、ホントにこの子は!」
ぎゅぅっ!と抱きしめられてスリスリされる。
「あ、いつ行ったか分かったかも」
「えっ!?何で分かった!?」
「前にフルンソース知ってるか聞いたろ?その時だろ。俺がアレクと仕事行ってる時、だよな?」
うわぁ!なんて記憶力!
「ふふん、Sランク舐めんなよ?」
マジかー!
「まぁ行った事についても、カーちゃんを助けたことも言うことはないが、ほんっと!気をつけてな?」
「はいっ!気をつけます!」
ビシっ!と敬礼だ!
キィ!
ぶはっ!
「カーちゃんもな!」
あはははは!
トーちゃんもしっぽをフリフリ。
うん、可愛い。
「さて、事情聴取かー。この短期間で2度目とはなぁ」
と苦笑する。
確かにねぇ。
「一応、家には知らせないとならんから、今からデンタツしとくけど、言いたくないことはある?」
「……転移扉」
「分かった。ならそこは誤魔化しとく」
そしてジークは実家に連絡した。
◇◇◇
「シャルル、憲兵本部が1区だから、こっち来ておくか?だって」
「え?でも、トーちゃん動かして大丈夫かな」
「どっちにしろカーバンクルも確認しないとならんから、明日連れて行かないとだよ」
「そっか。カーちゃん、トーちゃん連れて事情聴取行かないとダメなんだって。カーちゃんはどうする?森に帰る?」
キキィキィ!
「あ、一緒に来るの?大丈夫?他に人が居るんだよ?」
キィキキィ!
「そっか、トーちゃんひとりじゃ可哀想だもんね。分かった」
「ならお願いしますと、」
『シャルルー!聞こえたわよ!大丈夫、一緒にいらっしゃい!まぁ!その子がカーバンクルなのね?』
わぁ!立体になってた!
「はい、暫定的にカーちゃんと呼んでます。檻には入れませんけど大丈夫ですか?」
『カーバンクルを檻に繋ぐなんて出来ないわ!大丈夫よ。カーちゃんもよろしくね』
キィ!
ビシっ!
ぶはっ!
「調子いい子ね!もう!」
「じゃ、支度したら行くから、後で」
『待ってるわ〜!』
フォン!
「今朝家に帰って、夜また実家か」
「ね、タイミングが……」
と、ふたりで苦笑する。
カーちゃん、トーちゃんが入れる籠を用意して、柔らかなクッションを敷き詰めて、その中にトーちゃんを寝かせる。
回復させてあげたいけど、過度なヒールは良くないから、ゆっくり時間を掛ける事にする。
「あっ!カーバンクルって何を食べるんだろう?」
「え?あ、ホントだな。何だろう……」
フルーツとか木の実とかを並べて
「カーちゃん、どれが好き?」
キィ?キィ!
「え?それクッキーだよ。ごはんにならないよ」
お茶請けのクッキーを食べだした。
キキィ!
「あ、木の実ね?分かった。トーちゃん食べられるかなぁ」
1粒トーちゃんの前に出すが、まだダメなようだ。
どうしよう……。
ペーストにしてみようかな。
ピーナツバターみたいにしたら食べられるかなぁ?
魔法ですり潰して、スプーンで口元に差し出してみた。
ぺろ。ぺろぺろ。
「あ!食べた!これなら大丈夫そう」
木の実2個分位を舐めて、水も飲んで、満足したようだ。
「ちょっと安心。よかった」
クリーンを掛けてあげたら、気持ちよさそう。
キィ!
「カーちゃんも?」
”クリーン”!
キキィ!
ふふっ
「カーちゃんも頑張ったものね?お疲れ様。出掛けるから、カーちゃんも籠に入っててね」
それから支度、と言っても着替えるだけだが。
「あぁ、お風呂入りたかった……」
「お、入ってから行く?夜に着けばいいし。メシも軽く食べてから行こう」
「え?いいの?」
「いいよいいよ、お湯お湯〜♪」
ふふんふーん♪
……ジークもすっかりお風呂好きに……と言うか、ごにょごにょ。
◇◇◇
お風呂に入って……まぁお察し。
軽くごはんも食べて、すっかり夜になってから家を出た。
慌ただしい!
「籠、膝で大丈夫?オフロードので行く?」
「目立っちゃうでしょ?膝で大丈夫よ」
2匹が寝ている籠を抱えて、フランシア家へ。
「おかえりなさい!朝ぶりね?ジークはやけにツヤツヤね」
くすくすっ
うぐっ!
「またお世話になります。すみません、何度も……」
「そんな他人行儀な!シャルルのお家でもあるんだから遠慮なんてしなくていいの!さ、入りましょ」
チャーリーさんを差し置いて、ママがお出迎え。
チャーリーさん苦笑してるよ。
この世界でも、トンボ帰りって言うのかなぁ。
とほほ。




