ジークの実家。〜予約〜
「ここが俺の部屋ね。ほとんど使ってないから、俺にとっても他人の部屋って感じなんだけど」
「ひろーーーい!」
ジークが壁の立体に話してる。
「晩餐は何時?わかった、その頃に行くよ」
おお!室内インターホン!
「7の鐘半位に行けばいいから、ちょっとゆっくりしよ」
そう言ってわたしを膝に抱えた。
「ジークごめんね、泣いたりして」
「謝らなくていいんだよ?嬉しかったんでしょ?」
「その、家族っていいなって思っちゃって。ジークと2人なのが嫌なんじゃないよ?それは分かってね?」
ははっ
「もちろん、分かってるよ。シャルルはずっと1人だったもんな。でも、うちの家族押しが強くて困らなかった?」
ふふっ!
「最初はびっくりしたけど、温かくていい家族じゃない。ジークが優しいのも家族のおかげだなって思ったよ?でも、ママって口をついて出ちゃったけど、いいのかな……その、家族じゃないし……」
「シャルルは家族認定されたから大丈夫だよ。喜んでたしね。……で、その、」
「ん?」
「まだ、ちゃんとプロポーズは出来ないけど、予約!予約させて?シャルルと家族になる為の予約!」
「え?」
「俺まだ貴族籍抜けてないし、貴族でいると、その、婚約とか面倒なんだ。だから、貴族籍抜けたその後ちゃんとプロポーズしたいから、予約していい?」
ジークと?家族になれるの?ほんとに?
「ダメ?」
ぽろっ
「だべじゃだい、うれじい、まっでう」
ははっ
「また泣かしちゃったね。ありがとう、待っててね」
ぎゅっと抱き締めあって温かさを分け合って。
まだ先の遠くて近い未来に、あなたと家族になる予約。
その日を待ってるね。
背中とんとんされてたら、眠たk……
すぴー
◇◇◇
ちゅ
「シャルル起きて」
はっ!
「ごめん!寝ちゃった!」
「緊張して疲れたんだよ。大丈夫?起きられる?」
「うんうん!元気!」
はははっ
「もう少しで晩餐だから、目を覚ましといてね。お茶飲む?」
「飲むー」
はっ!?晩餐!?ごはんごはんと思ってたが晩餐!
付け焼き刃のマナーで大丈夫!?
「ジーク、わたしの食事マナーで大丈夫かな……」
「え?レストランで完璧だったよ?大丈夫、家族だけだからね」
「今更ながら緊張する」
はははっ!
「大丈夫、ごはんごはん」
「ジークのメシ屋メシ屋を思い出した。うん、大丈夫」
◇◇◇
フランシア家ダイニング。
家族ダイニングでこの広さ。
うちのリビングとダイニングが一緒になった位の広さだよ!
うちのリビングもいい加減広いと思ったが、井の中の蛙大海を知らずでしたな!
「シャルルちゃん!いらっしゃい!こちらにどうぞ」
「奥様!私がご案内しますので!」
「まぁチャーリーったら、うちで初めて食事をする娘なのよ?ママが案内してもいいじゃない」
「母さん、チャーリーの仕事取っちゃダメだよ」
はははっ!
「エイプリル様、こちらへどうぞ」
「ありがとうございます」
と、ジークの横に案内されて、ジークが椅子を引いてくれた。
食事はコースになっていて、この間のレストランで予行練習してあって、本当によかった!
たわいない会話をしながら食べるごはんは美味しい。
「こちらはステルクバイソンのブラウンソース煮込みです」
聞いたことない名前きたー!
チャーリーさん、ふっと表情を緩めると
「本日のステルクバイソンはウルディア産でごさいます」
と、説明してくれた。
ウルディア、北の領地か!
早速ナイフを入れると、柔らか!ナイフ要らない位!
口に入れたら、ブラウンソースの芳醇な香りに負けない肉感。カウカウに近い。
でもカウカウよりも野性的、なのに、嫌味のない後味。
美味しい。
「シャルルちゃん、美味しそうに食べるよねぇ。見ててこっちも幸せになるわ」
と、ユージーンお兄様。
「とっても美味しいです。ユージーンお兄様もですよ?美味しいってお顔してます」
にっこり
「俺は?俺はどう?」
「クリスティアンお兄様も、美味しいってお顔です」
にっこり
何ですか、そのガッツポーズ。
お兄様きたー!って、呼ばれたかったんですね。
「兄さん達、子供みたいだな」
はははっ!
「何だとジーク。可愛い妹を独り占めしやがって。ちょっと俺達にも触れ合いの機会をよこせ」
「お断りします」
にこっ
やいやい言いながら進む食事。
家族ならではの光景なんだろう。
この兄弟、本当に仲良しだなー!
パパもママもニコニコだ。
もちろん、わたしもニコニコ。
貴族マナーじゃなく、家族の食事として受け入れてくれた。
嬉しいな。楽しいね!
ご馳走様でした!感謝します。ありがとう。




