ジークの実家。〜愛でられる〜
話は進み、ジークがどのように呪われたのかも全部初めから説明した。
わたしもちゃんと詳しく聞いたのは初めてだったので、怒り心頭だ!ぷんすこ!
人を陥れて、私が助けてあげるから、なんて痴がましいにも程がある!
恥を知れ!むきー!!
「シャルルは可愛いなぁ」
なでなで。
違う!そうじゃない!って、ジークはブレないなぁもう。
怒ってるのがアホみたいだ。
ふっと肩の力を抜いたら、膝に抱っこされた。
「ちょ!ジーク!」
ご家族の前!!
「ジーク、ママにもシャルルちゃん抱っこさせて」
え!?
「え!それなら俺も抱っこしたい!」
は!?
「ずるいぞ!俺だってしたいのに!」
げ!?
「ダメー俺だけの特権」
「シャルルさんも困るだろうに、な?」
と、わたしをひょいっと抱っこしたのは旦那様。
「うぇ!?」
「「「「あっ!!!」」」」
「えぇぇ!っと!あのあのあの!!」
この家みんな抱っこ好きなの!?だからジークも抱っこするの!?
旦那様!あなた王弟!王弟殿下ですよ!!
「父さん!!」
ヒュンッ!と飛んできてジークがわたしを奪還。
あぁ、慣れた抱っこだ。
「油断も隙もない!」
すりすり
ジークもだよ!?
確かにわたしチビだけど!って、男性陣ジークと変わらない位背が高い。奥様も長身だもんな。
わたしは美しい森の中のぺんぺん草みたいだ。
「はぁ♡見れば見るほど可愛らしいわねぇ。ジーク、でかしたわ!これは褒められ案件よ」
「そうでしょう?自慢の彼女ですから」
あっ!頬が赤くなる!やめて恥ずかしい!
「「わぁ……何この愛らしさ……」赤くなっちゃった」
声揃えて言わないでお兄様方!
慌てて両手で顔を隠す、が、見られた後だ。
恥ずかしい。
「「「「くぅ〜!」」」」
「ちょっと、見ないでくれる?シャルルが恥ずかしがってんじゃん」
あなたのせいでもあるんです!!
「娘が出来て嬉しいわ!シャルルちゃん、ママって呼んでね?」
え?
「ママ?」
はっ!声に出ちゃった!
「きゃああああああ!!!聞いた!あなた!!」
「じゃあ私はパパだな!」
え?言うの?マジで!?
あぁっ!キラキラ目で見てる!!
「……パパ」
すんごい満足そう……。
「「お兄様」はい!どうぞ!」
ぇぇぇぇ!!
「……クリスティアンお兄様、ユージーンお兄様」
ぱぁぁぁぁ!!ともんの凄い笑顔。
居た堪れないっっっ!!!
「俺のシャルルだから!」
あぁ、この家族にしてジークあり……。
恥ずかしいけど、どうやら受け入れてくれたようだ。
恥ずかしいけどっ!
そしてまだジークの膝の上っ!!
「可愛い容姿に可愛い声、まさに妖精ねぇ」
うっとりと頬に手を当てママ(仮)は言う。
そんな優美な姿に例えなくていいんですよ。
中身は残念少女ですから。
「やっぱ板「おっほん!げっほん!」通りだな」
さっきから何なの?
「ジーク喉痛いの?」
あはははは!
「シャルルちゃん違うから大丈夫だよ!」
「兄さん、余計な事は……」
じろり
「わーかった!もう言わないよ!」
「しかも、ケーキも作れるのよ!」
ちょ!?ママ(仮)!?
「「ケーキ?」」
「ケーキだけじゃないもんな?メシも美味いんだ」
あぁっ!変な自慢しちゃダメよ!
ケーキを見たお兄様方の反応が凄い。
甘党なの?
「晩餐前だけど食べたい!」
そう言って、全員が総ナメした。凄い。
「全部美味い。凄い。これなんか特に好き。見た目はこれがやっぱり1番だな」
好きなのはラム漬けフルーツのパウンドケーキ。
見た目はサンセバスチャン。
クリスティアンお兄様はそれね。ふむ。
「俺はこれだな。見た目は兄上と同じだ」
ユージーンお兄様は、ミルクレープ、と。ふむ。
「わたくしは食感がふわふわで、香りもいいこれね!」
ママ(仮)は紅茶のシフォンケーキ、と。
さっき食べられないって言ってなかった!?
「私はクリスティアンと同じだな」
パパ(仮)はラム漬けフルーツのパウンドケーキ。
「俺はこれ」
ジークはフルーツたっぷりタルト。
見事にバラけましたな!てゆーか、みんな凄いな!
健啖家一家だ。これで夕飯も食べるのかなぁ?
「シャルルちゃん、もしケーキを注文したら作ってもらったりする事は出来る?」
「はい、大丈夫です。ただ、サンセバスチャンのお花は時期があるので、同じデコレーションは難しいかもしれませんが」
「まぁ!今度お茶会があるのよ、それでこのケーキの中からお願いしたいの。いいかしら?」
「はい、どれでも、お気に召したのをどうぞ。でもわたしの作ったのでよろしいのですか?」
「あぁん、もっと砕けた話し方でいいのよ?えぇ、この中から選ばせてね!嬉しいわ!」
砕けた……うん、ちょっとだけなら大丈夫かな。
呼んでみる?
「ママの為なら」
にっこり
ふらり
「あっ!!」
あはははは!
「大丈夫!感極まっただけだから!」
ジークを見たら大笑い。
ふふっ!
ママ、か……えへへ。




