ジークの実家。〜到着〜
「ちょっと何この出迎え!はいはい!解散解散!」
ジークが、しっしっ!と手を振るが、そのまま立ってるお仕着せ軍団。
その奥から、静々と歩いてくる美男美女のふたり。
女性は、長身スレンダー色っぽ美人!
わたしの目指す美がそこにある!
わぁぉ!びゅーてほー!わんだほー!眼福!
じゃない!!
下々から挨拶だよね!
唸れ!付け焼き刃のカーテシー!
「初めてお目に掛かります。シャルル・エイプリルと申します」
左手でスカートを摘み、右手は胸に、左足を下げて、背中は丸めず、深く膝を折り、顎を引いて、軽く会釈。
(バッグはスカートを摘んだ左手にあるよ!小さくてよかった!)
立ち上がるが、顔はまだ上げない。
合ってる!?ねぇこれで合ってる!?粗相してない?大丈夫!?
ほぅ……と、アチコチから息が漏れてるのが聞こえる。
え?ダメだった?どうしよう!!!
ジーク!たすけてーーー!!
「シャルル完璧。凄いね、練習したの?キレイだ」
はっ!とジークを見上げたら満面の笑み。
思わずにっこりしたら、また、ほぅ……って!!
「父上も母上も、惚けてないで下さいよ」
「あ、ああ、すまない。余りにも美しかったから見蕩れてしまったよ。ジークの父、エルバート・フランシアだ。こちらは母のキャロルだよ」
「まぁまぁ!なんて美しいカーテシー!わたくしも見蕩れちゃったわ!それに、可愛らしい!やだもうジークったら、もっと早く会わせてくれても良かったじゃない!」
ほっ!合ってたみたい!良かったーーー!
と、ご両親を見るが、どう見ても親じゃなく、兄と姉だ。
こっそりジークに、
「お兄様とお姉様じゃないの?ご両親なの?」
と聞いたら、聞こえたみたいで、
「まぁぁぁぁ!!あなた聞いた!?お姉様ですって!嬉しい事言ってくれるわぁ!」
と、ガバッと抱き締められた。
ぐぇ
「ちょっと!母さん!」
ジーク奪還。ぐらぐらするぅ!
「キャル、ほらここじゃなく、応接室へ行こうか」
「そうね!チャーリー後はお願いね?」
「畏まりました。此方へどうぞ」
と、案内された扉に入ると、扉の並んだ廊下に出た。
扉の扉……。
その中のひとつに言われるまま入ると、眼下に噴水が見える?
あれ?入ったの1階だよね!?
「空間魔法で繋がってるんだよ」
と、ジーク。
なるほど!!凄いな!!階段上がらなくてもいいのか!
「さぁさ!こちらに掛けて!」
と、ソファを勧められたので、お土産を出した。
「お口に合えば良いのですが、ケーキが数種類入ってます。どうかお納め下さい」
と箱を見せたら、全員の目がまん丸になった。
あれ?
「なんて綺麗な装飾……。こちらにケーキが入ってるの?」
「はい、わたしの作ったものなので、拙い素人のものですが……」
「開けても?」
「はい、どうぞ」
すると、チャーリーさん?が、お茶の用意をし、ワゴンを持ってきて、箱を開け、中身を取り出して行く。
また目がまん丸だ。
え、変だった?
「……ステキ。これを作ったの?シャルルちゃんが?」
「はい」
釘付けになってるのは、エディブルフラワーのサンセバスチャンかな?
「ご説明しますね」
と、1つずつ軽く説明する。
お花も食べられるよー。
よしよし、掴みはOKかな?大丈夫、まだ失敗してないはず!!
やっぱり気になったのはサンセバスチャンだったらしく、切り分けて、また目がまん丸。
まぁ切ったら市松模様だしね。
「切るのも勿体なかったけど、食べるのも勿体ない位ステキね……」
ほぅ、と手を頬に寄せ息を吐く。
「どれだけ驚いたらいいのか分からなくなるわね、頂いてもよいかしら?」
「もちろんです」
ドキドキして来た!!!どうかな?どうかな?美味しいかな?
奥様が1口ぱくり。
旦那様が1口ぱくり。
2人とも目を閉じて咀嚼。
はっ!と目を開けて、2人で見つめ合う。
「「美味しい……!」」
「シャルルは凄いんだよ」
ふふん
とジークが自慢気だ。
照れる。
その他のケーキも、見た事がないと言われ、やらかした感満載だ。
「あぁ全部今すぐ頂きたいけど、流石に無理ね」
「あの、先程の箱に時間停止魔法も掛けているので保存出来ますから、いつでも「時間停止魔法!?」召し……」
ぶった切られた!
あれ?これもやっちゃった?マズイ?
「シャルルさん、凄いね。時間停止は使える人は少ないんだよ。こりゃ逸材だ!という事はこの箱も……」
え?売ってるマジックバッグは?
「付与してあるとバカ高い」
こそっとジーク。
まじか!!!知らんかった!!!
早く教えてよ!!
「お弁当ポーチ、俺が自分で用意するって言ったでしょ。あれ高いからだったんだよ」
そんな事とは露知らず……。
旦那様と奥様はワイワイとあーだこーだと盛り上がってました。
先は長い……とほほ。
カーテシーは、この世界のお作法ですよ?
地球のお作法とは違いますよ?
ツッコミなしで!(*・ェ・*)ノ




