ジークの報告。
「おはよう」
「ん……おはよ。あれ?なんじ?」
「そろそろ4の鐘が鳴りそうかな」
「え?1回起きたのに!お腹空いたでしょ?」
「大丈夫だから、慌てなくていいの。ほら、ぎゅー」
きゅっと抱き込まれ、トントンされる。
「気持ちいい寝ちゃいそう」
ははっ
「それでもいいよ」
「ごはん抜いたら、健やかな成長、ボンキュッボンが遠ざかる」
あははははは!
「じゃあ食べない訳にはいかないな、時停棚から出していいなら用意するよ」
「ジーク帰ってきたばかりで疲れてるでしょー」
「ココロの栄養貰ったから元気!」
さすがハンター。復活早いわ。
じゃあ一緒に用意しよう。と、ふたりで起きた。
ジークにカフェルを淹れてもらって、時停棚から食べたいものを出して簡単なブランチ。
「午後、ギルド行って報告してくるね」
「うん。あの、呪術の話もするの?」
「そうだね、軽くしておかないと。それと実家に行く日を決めないとならないんだけど、実家の都合で決めても大丈夫?」
「もちろん。わたしも自由人だしね!」
「下手すると明日とか言いそうだけど……」
「うぇ!?せっかちさんなの?」
「前に言ったろ?会わせろって煩いって。相当楽しみにしてるよアレ」
「そ、そうか、大丈夫。うん。大丈夫」
「全然大丈夫そうに見えないけど。俺がそばに居るから」
くすくすっ
「うん」
すーーはーー。よし!
◇◇◇
コンコン
「ジークです」
「入れ」
「失礼致します」
「随分早かったなー。モーリェ出たの昨日の朝だろ?」
「ぶっ飛ばしましたから」
「とりあえずお疲れさん!ジークが見つけた鱗が決め手となって、手が入るらしいぞ」
「決定早いですね」
「まぁ次回なんて許しちゃなんねぇからな。魔獣避けも稼働してたか?」
「それは大丈夫。設置してあるヤツは確認しました」
「そうか、お疲れ!で?」
「普通それじゃ何が”で?”なのか分かりませんよ?まぁまだ事情聴取前なので、あんまり詳しくは話せませんが」
「あぁそうか。モーリェのギルマスからは少し聞いてるけど、おまえも難儀だなぁ」
「まったく勘弁して欲しいっすよ」
「呪術避けみたいなのは付けてなかったのか?」
「付けてなかったですね。油断してました」
「まぁガッチガチに防御してるのもアレだけど、これを機会に付けとけよ」
「そう、ですね。でも呪術防御のお守りって、総じてデカいじゃないっすか。ドーン!と石付けてたら、何処ぞの坊っちゃまですよ」
あはははは!
「何処ぞの坊っちゃまじゃねぇか」
「今はハンターっす」
ぷぃっ
「シャルルちゃん心配してたろ」
「だから早く帰ったってのもあるんす。心配掛けるのは本意じゃないし」
「やっぱりデッカくても石付けとけよ。おまえ厄介な女にモテそうだし」
「……違うと言いきれないのが悔しい」
あはははは!
「今回、解呪したのは親父さん?ユージーン?」
はっ!!
「あ、あああああああ!!!」
「え!?どうした!?え?え?」
「あぁ、いや、ちょっと思い出しただけで、あぁそう、思い出し叫びです」
「何だそれ」
はははっ
「ちょっとやる事思い出したんで、帰りますね!」
「お、おう。身辺のごちゃごちゃ終わったら連絡してくれ。それまで休んでていいぞ」
「了解です、ありがとうございます。では」
◇◇◇
そうか!父さんか兄さんなら解呪出来る!
後はアリバイか……。
”デンタツ”
「ジークです。だから、それの連絡ですって。え!流石に今日は無理ですよ!今朝王都に着いたばかりだし、今ギルドの報告終わったばかりだし!最短で明日です!午後がいいんですね、はい。
それと、ユージーン兄さんのデンタツ知らないんで、伝えて欲しいんですけど、出来れば兄さんにも同席して欲しくて。
え?クリス兄上は呼ばなくてもいいですよ。聞きたいのは魔法ですし。
拗ねる?拗ねさせておけばいいじゃないですか。そこは母上が頑張って下さいよ。分かった、わーかーりーまーしーた!
でも、あまり仰々しくしないで下さいよ?シャルルが気後れしてしまう。普通に!普通にしてて下さいね?
お願いしますよ?はい、では」
はぁ……ホントにお願いしますよ……?
明日の午後か。
これ、泊まれって言うかな言うんだろうな……。
だから午後なんだろうな……。
今日中にヤっとこ。
何をって?ナニをですよ。
そうと決まったら早速帰るか!
思いっきり甘やかしてトロトロにしてあげよう。
そうしよう。




