ジークの告白。
”おはようございます。ちょっとお願いがあり、近々シャルルを連れて行きます。ジークフリード・フランシア”
チリン 早ぇな。
”おはようございます。いつ来るの?泊まるの?それを聞かないと何も準備出来ないじゃない。キャロル・フランシア”
”特別用意する事はありません。泊まらないで帰ります。日程はまた連絡しますが、父上にもお伝え下さい。ジークフリード・フランシア”
”フェスタリオスも終わったし、エルバートも時間は取れるはずよ。伝えておくわね。キャロル・フランシア”
はぁぁぁ……
ゴネられなくて良かった。
さ、帰って休んでおくか。
◇◇◇
まぁ!!珍しくジークから、いえ、初めてジークからのメッセージが!妖精ちゃんを連れてくるですって!?
……お願いって何かしら?
まぁそんなのはどうでもいいわ。
妖精ちゃんよ!会えるのよ!
いつかしら?泊まるのかしら?
肝心な事が書いてないじゃない!もう!
え、泊まらないですって?
何言っちゃってんの。
こっちで全部用意しておけば当日のお泊まりだって問題ないわ。
うふふ。うふふふふ!
こうしちゃいられないわ!エルバートにも言っておかなくちゃ!
あぁ楽しみだわ!早くいつになるか教えなさいよね?
そうだ!クリスにもユージーンにも教えておこうかしら。
うぅん……。
別に教えなくてもいいわね。
泊まるなら夜に会えるだろうし。
うふふふふ!さぁ!準備しておかないとね!
◇◇◇
「ジーク?いるの?」
「あぁ、お帰り。いるよー」
「お仕事の方も休んだのね。よかった。無理しちゃダメよ?」
「仕事は痕跡を見つけたから、とりあえず一段落ついてたんだよ。後は憲兵からの連絡待ち」
「そっか。まだ落ち着けないね」
「まぁ遅くても明日には連絡来るはず。あいつ、捕まったんだ」
「えっ!?早いね!」
「道端で鬼の様な有様だったらしい。ギルマスも聞いただけだから、又聞きの又聞きだけどね」
「怖っ……」
ふるり。
自分の腕を抱いたら、その上からジークが抱き締めてくれた。
ちゅ
「今は拘束されてると思うよ。もう大丈夫」
「……うん」
今更ながら、怖い状況だったんだと思った。
解呪出来て良かったけど、それを受けたあの人は……。
「シャルルが気にする事はない。それで、シャルルにお願いがあるんだ」
「お願い?」
「うん。一緒に俺の実家に行ってくれないか?」
「ジークの実家?行くのは構わないけど、何で?」
「俺、貴族なんだ。そのうち貴族籍から抜けるから、今はまだ、なんだけどね。で、きっとシャルルは解呪した本人として事情聴取されると思う。そうなると、解呪出来るって事で、アチコチの貴族が群がってくると思うんだ。だから、俺の親に後ろ盾になってもらう」
え?
あぁ、やっぱり貴族だったんだ。
でも、
「後ろ盾?」
「そう。うちが後ろ盾になってたら、他の貴族を黙らせる事が出来る」
「へ?」
「俺の父は、王弟なんだ」
え?おうてい?
えーっと、OK!……いや、違う。
王弟……?王様の……弟?
ビシィッ!!
「え?シャルル?」
え、まさか時が時なら
「あぁ!!固まっちゃった!!」
まさかの
「え、どうしようどうしよう。えっと固まったらえっと」
王子様……?
「風呂だ!!あっためて解す!!この家風呂あんのか?どこだ!!あぁ!抱っこで連れていくか」
え?いや、うん。確かにこの容姿は王子様だ。
え?まじか。白馬は?
「あった!お湯!お湯入れて、シャルル?大丈夫?」
だって、もの凄く食べるよ?
「まだ溜まりきってないけど、流しながらなら!ほら腕上げて!」
白いタイツ履いてないよ?
「俺も脱ぐから、ちょっと待っててね!」
かぼちゃパンツだって……
あら?割れた腹筋が見える。
何ならその下も……あれ?
ぽちゃん
「ほら、力抜いて?」
「あれ?何でお風呂に入ってるの?」
「シャルル!あぁ良かった!固まったから、お風呂でほぐそうかと……」
ふにゃり
「あぁ……ふにゃふにゃシャルルになった、よかった」
いや、ふにゃふにゃシャルルって……
ジークの胸に顔を付けて脱力する。
人をふにゃふにゃシャルルなんて言う人が王子様?
ふふふっ
「ジークはジークだった」
「え?そりゃそうだよ。俺は俺だもん」
「うん」
もぞもぞすりすり
「……あー、シャルル?」
「なぁに?」
「息子がおっきした」
「え?あっ」
そうね!ここで主張してるね!
「と、言うことで、いただきます」
そして、ぺろりと食べられたのでした。
シャルルの思い描く王子様の姿って……。




