ジークの受難。〜その3〜
ゆ!る!さーーーーん!!!
ジークに何してくれちゃってんのよ!!
これはジークを守るために秘密のひとつをバラさないとならない。
ジーク、引かないかな……。
いや!引かれても!もし変な子だと思われても!
ジークが元気になるなら!
よし、転移部屋でモーリェの拠点へ!
◇◇◇
きょろり。
ううん、今は探検してる場合じゃない!
とりあえず、鍵登録窓探そう。
玄関近くだよね。
階段は、あった。
ここ?は、え、厨房だ。
ここは食事を出す店舗か。
店の入口と、玄関こっちかな?
あった、鍵窓。
次は、この場所。
”マップ” おお!わたしがモーリェ歩いた所が白くなってる!
ここは、貝殻モチーフのアクセサリーボックス買った所の近くか。
あの雑貨屋さんに来てもらおう。
よし。
すーーーーはーーーー……。
秘密、バレちゃうけど。引かれないと……いいな。
”デンタツ”
「ジーク?お待たせ。これから言うところにゴレ車で来て。ううん、モーリェだよ。お土産買った雑貨屋さん覚えてる?うん、そう、そこ。そこに来て。じゃ切るね」
フォン!
よし、雑貨屋さんで待ってよう。
◇◇◇
来た。
「えっ!?シャルル!?どうなってんの!?」
「いいから、乗せて!」
ゴレ車で拠点へ。
「入って」
「え?」
「早く!」
「はい」
門を閉めて、玄関に入って、鍵窓にジークを登録。
結界を強めて、ジークに向き合う。
「ジーク……」
「シャルル?これは?」
「後で説明するから、ジークを鑑定してもいい?」
「え、あ、うん」
”鑑定”
頭、肩、お腹、背中、腕、右手……
「ジーク、手に違和感ない?」
「ん、ちょっと痺れる感じがしてたけど、自分でヒールしたらマシになった」
「ここ、誰かが触ったりした?」
「え?…………した。あいつだ」
「ここにね、針が刺さってる。中に入り込んでて見ただけじゃ分からないようになってるの。これ、すごく禍々しい感じがする」
「マジか……」
「……よし。こっち来て、ここに座って」
取れるかな、解呪出来るかな。
えーとえーと、識庫さん!!
*リムーブで取り出し、リトリビューションで解呪、ピュリファイで浄化出来ます。
リトリビューションは、解呪後、呪術を相手に跳ね返します。
識庫さん!さすがです!
「ジーク、これ解呪するから、じっとしてて」
「……シャルルは危なくないのか?大丈夫なんだな?」
「あたぼーよ!!こんなん許せるわけがない!!相手に跳ね返しちゃる!!」
ぶはははははは!!
「分かった、頼むよ」
深呼吸。
自分とジークにクリーン。
”リムーブ”
ジークの顔が歪む。痛いんだね。ごめんね、すぐ済むからね。
この針をアンプルに閉じ込める。
”リトリビューション”
パァッ!と光ったと思ったら、黒い靄がずるっと出てきて、どこかへ飛んで行った。
跳ね返すって言ってたから、女の所だろう。
”ピュリファイ”
ジークの中に残ってるかもしれない呪術を浄化。
「はぁぁ……。終わったよー。どう?痛くない?」
「……シャルル」
え
そーっとジークがわたしを抱きしめる。
「シャルル」
「シャルル、ありがとう」
とんとんと背中を叩く。
「良かった」
「……腹減った」
ぶはっ!!
「食べられなかったの?」
「うん。お弁当食べていい?」
「どうぞ、食べて」
ポーチからお弁当を出して、むっしゃむっしゃ食べた。
見てるわたしは、あんぐり。
その、あんぐり開いた口に唐揚げが放り込まれた。
むぐむぐ。うん、美味しい。
ぐぐっとお茶を飲んで、
「はぁ、満足した」
ふふっ
「良かった」
えーと、さて……これをどう説明したもんかしら。
「シャルル、説明聞いてもいい?」
「……うん」
「おいで」
どうしようかともじもじしてたら、お膝に連行された。
「さて、お願いします」
ここはモーリェの自分の家、店舗付みたい。
王都の家と繋がっていて、いつでもすぐに来れる。
来たのは初めてだけど、来れることは知っていた。
……実はウルディアにも、ガラディアにもある。
どうしてこの家があるのかは、まだ言えない。
「……黙っててごめんなさい」
「ちょっと頭が混乱してるんだけど」
「……うん」
「今回、俺が下手打ったから、それを助けるために来てくれた。って事で合ってるね?」
「えと、それはその通りなんだけど、その、ここに来られる事を黙ってて……」
「それに関しては、俺は”すげぇな!”で終わっていいんだ。隠してたのも、こんなにすげぇんだもの、仕方ない。でも、その秘密を俺を助けるために使ってしまわせた事が申し訳ない。会えて嬉しいより、少し申し訳ない方が上回ってる。ごめんな」
「ふぇ……っく……」
「ああ、泣かないでいいから、ね?」
「ふぇぇぇん」
ははっ!
「可愛いなぁもう。ありがとうね。今回本気で死ぬかと思ったんだ。シャルルに会えずに死ぬのかと思ったら物凄く怖かった。来てくれてありがとう」
ホントにこの人は!わたしの不安も何のその。
どこまでわたしを甘やかすんだろう……。
あぁもう……。
「大好きだよ」
お知らせ++19:00にアマンダの閑話が入ります。




