ジークの受難。〜その2〜
「え?ジーク?どうしたその顔」
「どうもこうも、あのアマンダって受付の女、あいつ俺がさざなみ亭にいるの知ってましたよ。戸締りした宿のどこから入り込んだのか知らないけど、夜中にドア叩くし、勘弁してくださいよ……」
「は?極秘情報だぞ!?あ、入る所見られたか?」
「あー、その可能性もあるのか。でも戸締りした宿に入り込むなんて犯罪っすよ」
「うむ。呼び出してとりあえず話を聞いて謹慎させる」
「あ、今俺がいる時は勘弁。顔も見たくない」
「だよな。悪かった。宿変えるならどこにする?」
「やどかり亭にすっかなぁ。さざなみ亭が良かったなぁ。ちくしょう」
「じゃ、やどかり亭に連絡しとくよ。ホントにすまない」
「あぁ、今日は調査終わったら、そのままやどかり亭行きます」
「分かった、頼むな」
◇◇◇
マーマンが侵入したと思しき岸壁は、今は魔獣避けがちゃんと稼働している。
ふむ。ここ以外だと、あっちの森だけど、遠いしな。
ちょっと降りてみるか。
それにしてもダルいのが抜けないな……。
この感じ、魔力が減りすぎた時の感じに似てるけど、もう1晩経ってるし、俺、回復早い方なんだけどな。
何なんだろ……。
あ、これ、マーマンの鱗じゃね?
保存瓶に入れとこ。
やっぱここ通ったみたいだな。
あぁ疲れた……。
早めに切り上げて宿に行こう。
◇◇◇
「ばんわー、チェックインよろしく」
「おう、ジークさん!部屋用意出来てるよ。何だか疲れた顔してんなぁ。ゆっくり休んでくんな!メシは?」
「ありがとう。メシはあるから大丈夫」
「あいよー」
はぁ。シャルルのお弁当が心の支え!
食べたら伝話して癒されよう。
……食欲ないな。
おかしい。
シャルルのメシが喉を通らないとかありえない。
俺、どうなってるんだろう……。
とりあえず伝話しよ。
”デンタツ”
「シャルル」
『えっ!?ジーク!!どうしたの!?立体越しでも顔色悪いの分かるよ?具合悪いの?』
「何か疲れが取れなくてなー。歳かな」
『そんな訳ないじゃない。ねぇ大丈夫?明日は1日寝て様子見たら?もう、心配だよ!』
「いや、サッサと終わらせてシャルルの所に帰るのが1番の薬だよ。大丈夫、無理はしないから」
『ホントだよ?約束ね?』
「うん、約束。約束のちゅーは?」
『ふふふっ んちゅぅ!』
「うわ、濃厚なの来た!ははっ!頑張れそう!また明日な。ちゅぅぅ!おやすみ」
『うん、おやすみなさい』
◇◇◇
コンコン
はっ!!嘘だろ!?
コンコン
何で!?
入る時気配探知して誰も居ないのを確かめたし、知ってるのはギルマスと宿主だけ。
なのに……
コンコン
宿主かな……
「誰だ」
”アマンダです”
……。こいつ、おかしい。
ヤバい感じ。
ギルマスに伝話してみよう。
一応結界張っとこ。
”デンタツ”
「ジークです。夜分にすみません。またドアの前にいます。知らないハズですよね?こいつ、おかしいです。
はい、よろしくお願いします」
ふぅ……。
”気配探知”
あ、居なくなった……
はぁ……。
暫くして、
コンコン
「ジーク!俺だ!」
カチャ
「すんません。居なくなったみたいです」
「大丈夫か?顔色悪いぞ。俺ん家来るか?」
「新婚の家に上がり込むなんてしませんよ。宿出て、ゴレ車のテント使います。街中でゴレ車泊まりは出来ないから、出てすぐの所に居ますね。はぁ……」
「分かった。あいつは謹慎させたんだが……執着が凄いな」
「彼女連れてても平気で誘うようなヤツですからね、怖ぇわ」
「まぁゴレ車なら大丈夫だろ。とりあえず今晩はそうして明日また宿は考えよう」
「はい、じゃ支度するんで」
「受付には言っておくよ」
「よろしくっす」
◇◇◇
ゴレ車のテント何て久しぶりに使うな。
あー、やっと眠れそう……。
はっ!
”気配探知”
嘘だろ!!!
何で分かるんだ!?
この車の周りでウロウロしてんのは人間の動きだよな……。
魔獣ならこんな動きしない。
俺、殺されるかも……。
シャルル……
シャルル……
チリン
”デンタツ”
「シャルル!!」
『気になって……遅いけど伝話しちゃった』
「シャルル……」
『何があったの!?』
シャルルに、昨日からの事を話した。
体力が回復しない事、ストーカーされてる事、今日も宿に来られてゴレ車に居たのに、今も周りをウロウロされてる事。
『ちょ……っとぉ!!許さん!!ジーク、よく聞いて?これから1回伝話切るけど、すぐにまた伝話するから!ゴレ車のテントから、運転席まで外に出ず移動出来る?』
「うん、何するの?」
『説明は後!!いい?1回切るよ?すぐかけ直すから待っててね?』
「分かった。後で説明してくれるんだよな?」
『うん。ジークは絶対守るから!!』
フォン!
何すんだろ……。
:( ;´꒳`;):<ちょっぴり夏仕様。




