ジークの受難。〜その1〜
(`・ω・´)ノ<やあ!ボクシリアス!お邪魔するよ!
これよ、これさえあれば……。
ふふふっ
待っててね、私が助けてあげるから……。
◇◇◇
シャルルが居ないモーリェになんか行きたくない。
シャルルが居なければ泊まりで仕事なんて行きたくない。
あーもー俺の全部がシャルルに染まってる。
あ、もう帰りたい。
まだ王都出てないけど、帰りたい。
帰っていんじゃね?ロイさん引っ張り出せばいいんだろ?
あ、どこに居るのか知らねぇや。
もう帰りたい。
ポーチのお弁当だけが救い。
でもシャルルと一緒に食べたら100倍美味いじゃん。
帰りたい。
◇◇◇
帰りたいって思って自動運転にしてぶっ飛ばして来たらモーリェ着いちゃったよ。
魔力えらい減ったけど、早く帰るには早く着いて早く仕事終えて早く帰るしかない。
あー帰りたい。
◇◇◇
「ギルマスいる?」
「居ますよ、ち「ジークさん!」」
げ、出たよ。
シャルル居るのに声掛けてきたやつ。
無視しよ。
「待ってください!」
ちょ!触んな!痛てっ!なに!?
「なんなの。触んないでくれるかな」
「ジークさん騙されてるだけですから!私が助けますから!」
「はぁ?意味わからん」
え、キモっ、ニヤニヤしてる……。
◇◇◇
コンコン
「ジークです」
「おう!入れ」
「ちわっす。マーマンに襲われた街、ほぼ元通りになりましたね」
「おう、火を使わなかったから二次災害が少なかったからなー。感謝してるよ。今回はウチが見た侵入ルートの特定と、Sランカーの見たのとの違いがあるか、なんだけど、ロイじゃねぇの?」
「ロイさん夏は引きこもりですよ」
「あー!あいつ使えねぇな!ラシードが引っ張り出さなかったのか?」
「失敗しました」
「かーー!!情けねぇな!んじゃジーク悪いけど頼むわ」
「へーい、とりあえず宿はさざなみ亭にしたんで、宿の秘密厳守よろしくっす」
「了解」
「んじゃ1回見回って宿行くっすね」
「もう夕方だし、仕事は明日からでいいぞ?」
「や、早く帰りたいんで」
「どんだけ急いでも、ここで4〜5日は掛かるだろうに。ま、好きにしてくれや」
「じゃ、明日から本格的にやりますね」
「おう、頼むな」
◇◇◇
この間、戦った街を見回る。
「あっ!ハンターのお兄さん!俺アンタに助けて貰ったんだよ!ありがとうなー!」
「元気になって良かったっす!」
助けた人に、ありがとうって言って貰えるのは嬉しい。
ここも被害が少なくて良かった。
って、何か手がジンジンすんな……なんだろこれ。
”ヒール” ん、マシになったな。
宿行くか。
◇◇◇
さざなみ亭の裏口からチェックインして部屋に行く。
表から行かないのは、場所を特定されない為。
Sランカーってだけで、ギルド通さず尋ねて来て、勝手に依頼を出すやつが居るんだよな。
こういう宿は街に幾つかある。
ギルマスと高ランクしか知らない。
はぁ何か疲れたな。
ゴレ車ぶっ飛ばし過ぎたのかな?
シャルルに伝話して、早めに寝よう。
”デンタツ”
『ジーク!無事に着いたのね!お疲れ様!』
「シャルルーもう帰りたい」
『どうしたの?随分疲れてるみたいよ?』
「ゴレ車ぶっ飛ばし過ぎたかも」
『無理しちゃダメじゃない。明日も早いんでしょ?ゆっくり休んでね?』
「うん、シャルルからちゅーくれたら元気出る」
『えっ!?えっと……ちゅっ』
「ふふふー元気出たよ、ありがとう。ちゅっ」
『ふふふっ おやすみなさい』
「うん、おやすみ」
ああ、やっぱりシャルルは可愛いなぁ。
ちゅーを忘れないうちに早く寝よう。
◇◇◇
コンコン
え?
コンコン
「誰」
コンコン
今何時だ?大分夜更けだと思うが……
デンタツにメッセージもない。
伝話が来た様子もない。
「誰だ」
”私です。アマンダです”
「は?誰」
”ハンターギルドの受付のアマンダです”
え?何でここに居るの知ってんの?
「帰れ」
”……”
ちっ。
さざなみ亭に伝話すると、受付の人が追い払ってくれた。
「どこから入ったんでしょうか……もう入口も閉めてあったのに……」
「ここに居ることは誰にも言ってないよな?」
「もちろんです!それは間違いありません!」
「そうか、ならいい」
「申し訳ない事です。お休みなさいませ」
どこから入ったのか分からないだと?
まぁいい。
◇◇◇
”……”
はっ!
”気配探知”
……いる。ドアの前。
もうすぐ夜明けか……。
もう一度、受付に伝話した。
”ちょ!!あんた何度もどこから入ってんですか!警備呼びますよ!次に見つけたら問答無用ですからね!”
”……”
”まったく……ハンターギルドの人だからってダメなもんはダメです!”
”……”
”お客様すみません!追っ払いましたんで!見張りも付けます!”
やれやれ……
もう少し寝るか。




