フェスタリオス。〜パーティーその4〜
わたわたぽかーんしてたら、はっと思い出した。
そう言えば、くっついたり離れたり、それはこの世界では普通なんだった。
しかし、知り合いの中でそれがあるとわたわたするよね!?
「あの二人は割と有名だからなー」
そうなの!?そうなんだ。ほぇー。
「でもシャルルは誰にも渡さない」
ちゅ
「ちょ!外!」
「え?家だよ」
「みんな居るし!」
「気にしないわよー!」
サラナさん酔ってる!?
「おう!もっとやれー!」
ガルボさんも!?
「酔ってないわよ!楽しいだけ!」
「な!飯は美味いし、いい雰囲気!いい夜だ!」
「これからメインの魔法花だしなー!」
「もうすぐじゃね?そろそろ暗くなってきたし」
見上げると明るかった空は群青。
月はないけど、二つ星が寄り添い輝いている。
シュンッ!と空に青い光が走った。
音はしない。
パッ!と花が舞う。
「わ!」
「お!始まったな!」
「シャルル、座ろう」
って、何故膝!?
「俺に寄りかかって見て、楽だから」
「ありがとう」
ジークに寄りかかり、頭を肩に空を見上げる。
うん、確かに。
「初弾、あれユージーンじゃないか?」
と、ヘルベスさん。
「多分そうですね」
ジークの知り合い?
なんて思ってると、シュンッ!シュンッ!
パッ!パパッ!
「うわぁ!!!」
光の渦!丸い花火じゃない!空がキャンバスになって、物語が進むよう!
ラシードさんが音楽を魔法花に合うように変えてくれた。
淡い光の時は優しく、激しく光る時には大きく、魔法花に合わせた音楽もあるんだ。
「この音楽は音楽筐体通してデンタツで流すんだよ」
なんと!ラジオか!放送局(?)!やるじゃん!
ん?
女神様がこの世界を作り、人々を生み出し、慈しみながら見守る。
魔獣の出現や、魔素の嵐、海の大しけ等には、人々を両の腕で抱え込み、世界樹は大地を守り、人々は繁栄して行く。
え、凄い。
魔法花で物語が綴られてく。
音楽と合わさって大空の映画みたいだ。
大きく、小さく花が咲く。
空一面に。
すると、地上から光の玉がふわりふわりと上がっていく。
「シャルルも」
え?
みんなが両手で水を掬うような形にしてる。
最初にヘルベスさんの手から、ふわり。
「光が」
「手をこうして魔力を少し集めるんだ。まーるくするように。丸くなったら魔力を手放すと、空に上がって行くよ。願いを込めて空に放すんだ」
手に、魔力を、丸く。
丸くなったら、手を掲げて、願いを込めて、魔力を手放す。
こらからも穏やかに暮らせますように。
みんなが元気で楽しく過ごせますように。
ジークとずっと一緒に居られますように。
ふわり……
「あ」
みんなの手の光も登っていく。
ふわり ふわり。外の街からも、ふわり ふわり。
やがて、沢山の光の玉が空へ登る。
「わ、ぁ……キレイ」
「神様にこの光を奉納するんだよ」
あの1つ1つの光に願いが込められてるんだね。
あんまりにも綺麗で空を見上げた目尻から涙が零れた。
「シャルル」
ちゅ
「あっ!ジーク泣かせたな!?シャルルちゃん!こっちへおいで!」
厳かな雰囲気をぶった斬るラシードさん。
さすがだ!!
「ダメ!「違います!ジークのせいじゃないもん!」」
あはははは!
「今年の魔法花は何か迫力あったなー」
「師団長変わったからかな?」
「それにしても、この場所いいわね!迫力満点!」
「場所もあるか!2区下でも凄いと思ったけど、上だとまた違うな!」
「場所提供してくれたシャルルちゃんに感謝ね!」
「パーティーも、もう最っ高!だった!」
「お料理も、飾りも、シャルルちゃんも!全部ステキだったわ!」
やだ照れる。
そろそろお開きの時間。
「今日はありがとうございました!とっても楽しかったです!今後もお世話になる気満々なので、よろしくお願いします!」
パチパチパチ!
「さぁ!野郎ども!片付けるわよ!」
「「「応!」」」
え?
残った料理は、誰かが持っていった。ほぼ残飯よ!?
ジークがテーブルはこっち、とダイニングに案内した。
汚れた食器は誰かがクリーンで綺麗にした。
ワゴンは誰かがキッチンに運んだ。
え?
あれよあれよという間に、バルコニーにはガーランドとお座布団のみになった。
あれ?
「使用人居ないでしょ?だからみんなで片付けるって話してたの、細々したのは出来ないけど、迷惑だった?」
と、ゴードンさん。
「いえ、あの、ありがとうございます。びっくりした」
「あれだけの準備をひとり、ジークさんもか、でしてくれたんだもの、こらくらいはさせてね?」
「そうよね、準備手伝えなくてごめんなさいね」
と、サラナさんとマリアーナさん。
「いいえ、ありがとうございます。助かります」
「ほぼシャルルがひとりで頑張ったもんな?俺、試食と花摘しか手伝えなかったよ」
と、ジーク。
「ううん、助かってたよ?ありがとう」
「参加させてくれてありがとうな!」
「兄弟でパーティーなんて初めてじゃねぇか?」
「「楽しかったよ!ありがとう!」」
と、ガルボさんとデルタさん。
「型やクローシュ、ありがとうございました。助かりました!」
「突然決まったパーティーだったけど、準備大変だったよな?ありがとう、楽しかった!」
と、ラシードさん。
「いいえ、わたしも楽しかったです!」
「最初に送った時!嵐の時!使用人居るか聞いたよな!なんで言わなかったんだ!」
ひぇ!
「ごめんなさい!!」
「まぁジークが居なくて手が必要な時は言ってくれな?」
「はい、ありがとうございます。ごめんなさい」
頭をぽんぽん
「もういいよ」
「みなさん、今日はありがとう!気をつけて帰って下さいね」
「ありがとうございました。これからもシャルルをよろしくお願いします」
旦那かよー!
あはははは!
そうしてフェスタリオスは終わりを告げた。
この後19:00に閑話があります。
読まなくても本編には影響ありません。




